In vitro転写ベクター(in situハイブリダイゼーション用)

概要

当社のin vitro転写ベクターはシンプルかつ効率的にRNAを可能で、様々な研究目的に利用できます。In situハイブリダイゼーション用in vitro転写ベクターはin situハイブリダイゼーション用RNAプローブ(リボプローブ)作製に適しています。

当システムはT7とSP6プロモーターが目的配列のクローニングサイトを挟むかたちで配置されています。ヌクレオチド三リン酸を適切な反応条件で使用してT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(RNAP)もしくはSP6 RNAPが希望する配列に対応したリポプローブを効率的に生成します。T7とSP6プロモーターは逆の方向性を持っているため、片方がセンス方向の転写産物、もう一方がアンチセンス方向の転写産物を生成できます。クローニングされた目的配列の方向と、どちらの方向の転写産物が必要なのかによってT7 RNAPかSP6 RNAP、もしくは両方を選択してin vitro転写反応を実行してください。両端に配置されたT7とSP6プロモーターはシークエンス目的のPCRプライマーサイトとしても利用可能です。In vitro転写反応中にハプテン、蛍光色素、もしくは放射性同位元素によってラベルされたヌクレオチドを取り込ませれば、in situハイブリダイゼーションアッセイでプローブの局在が検出できるようになります。論文等で確立されているin vitro転写とin situハイブリダイゼーションのプロトコルを参考にして使用することをお勧めします。

T7 とSP6 RNAPどちらも効率的な転写開始のために必要な塩基配列があり、それらは既にベクター内に組み込まれています。T7 RNAPを使用した場合、RNA転写産物の最初の2塩基はT7プロモーターの3‘末端とおなじ“GG”になります。SP6 RNAPの場合はRNA転写産物の最初の3塩基はSP6プロモーターの3‘末端とおなじ“GAA”となります。T7 RNAPをつかうと、T7プロモーターの3‘末端の“GG”が目的配列の転写に伴ってRNAの5‘末端に付与されます。SP6 RNAPの場合はSP6プロモーターの3'末端の“GAA”が目的配列の転写に伴ってRNAの5‘末端に付与されます。

当社のin situハイブリダイゼーション用in vitro転写ベクターはrun-off転写方式で設計されています。つまり、T7およびSP6 RNAPはプラスミド内の特定の場所で転写を停止することなく、DNAテンプレートの最後まで転写を続けます。そのため、環状プラスミドを使う場合はin vitro転写を実行する前に制限酵素で切断、線状化する必要があります。当社のベクターはT7プロモーターの隣にBsiWI, AgeI, AscIサイトが、SP6プロモーターの隣にはAvrII, XhoI, NotI, SapIサイトが配置されています。これらの制限酵素サイトは目的配列のすぐ下流に配置されており、当社のベクターを一度だけ切断できます。転写する目的配列にプラスミドの線状化に使う予定の制限酵素の認識配列が含まれていないことを確認してください、さもないと配列内で切断されて不安定な短いmRNAが生成されてしまいます。制限酵素反応液からの混入物がin vitro転写反応を阻害することがあるのでDNAカラムもしくはフェノール/クロロホルムによる抽出をおこなうことをお勧めします。T7もしくはSP6プロモーター配列を持つ断片だけが転写のテンプレートになるので、通常はプロモーターと目的配列を含んだDNA断片を抽出する必要はありません。

 

当ベクターシステムのより詳細な情報については下記の論文を参照してください。

References Topic
Nucleic Acids Res. 7:1931 (1979) Cloning and characterization of the T7 promoter
Nucleic Acids Res. 21:5480 (1993) Characterization of the SP6 promoter
Methods. 52:322 (2010) Methods for generating RNA probes by in vitro transcription, and their use for in situ hybridization.

特徴

当社のin situハイブリダイゼーション用in vitro転写ベクターはT7とSP6 RNAPによって高効率なin vitro転写ができるように設計されています。当ベクターは高コピー数プラスミドであり、効果的な制限酵素分解、豊富なmRNA生成ができるよう最適化されています。

メリット

高い効率: T7とSP6 RNAPは信頼性が高く非常に効率の良い酵素です。T7とSP6 RNAPによるin vitro転写反応は実験に利用可能な品質のRNAを大量に生成できます。

簡便さ: プラスミドをテンプレートとしたin vitro転写反応は他のRNAプローブ作製方法と比べても簡便です。

双方向性: ベクター内に2つのin vitro転写用のプロモーターを反対方向に持ちます。挿入された配列の方向性によってT7とSP6を選択することでセンス/アンチセンスリボプローブが生成できます。

デメリット

Run-off転写:当ベクターシステムを使用して効率の良いin vitro転写をおこなうためには、前処理として制限酵素によるプラスミドの線状化が必要です。

基本コンポーネント

T7 promoter: T7バクテリオファージ由来のRNAポリメラーゼ用プロモーター。下流の遺伝子の高レベル転写が可能。当プロモーターはSP6プロモーターと反対の向きで配置され、SP6プロモーターによる転写産物と相補的な転写産物を生成できる。

Transcribed sequence: 生成したいRNA配列を持つDNAをここに配置する。

SP6 promoter: SP6バクテリオファージ由来のRNAポリメラーゼ用プロモーター。下流の遺伝子の高レベル転写が可能。当プロモーターはT7プロモーターと反対の向きで配置され、T7プロモーターによる転写産物と相補的な転写産物を生成できる。

BsiWI, AgeI, AscI, AvrII, XhoI, NotI, SapI: プラスミド上にそれぞれの制限酵素認識サイトが一つだけ存在する。in vitro転写反応の前処理としてプラスミドを線状化するときに利用できる。

pUC ori: pUC複製起点。E.coliでプラスミドを高コピー数で維持する。

Ampicillin: アンピシリン耐性遺伝子。 E.coliへのアンピシリン耐性によるプラスミドの維持を可能にする。