ベクターDNAの恒久的な組み込み: 一般的なトランスフェクションでは、ベクタープラスミドは時間の経過と共に失われるため、DNAの導入は一過性で、分裂速度の早い細胞においては特に不安定となります。しかしながら、レトロウイルスでは、宿主ゲノムへ組み込まれるため、恒久的に遺伝子を導入することができます。
広範な組織指向性: ベクタービルダーのパッケージングシステムではウイルス表面にVSV-Gエンベロープタンパク質を発現しています。VSV-Gエンベロープタンパク質は幅広い指向性を持つため、非分裂細胞を除き、一般的によく用いられる生物種(哺乳動物以外のいくつかの生物種においても)由来の細胞に効率よく導入することができます。
大きなカーゴスペース: 野生型MMLVレトロウイルスのゲノムサイズは~8kbです。ウイルスパッケージングと導入に必要なコンポーネント分~2.5kbを差し引くと、搭載スペースは~5.5kbになります。ベクタービルダーのMMLVベクターは、ORFのみを挿入するようにデザインされているため、この挿入スペースはほとんどの使用目的に十分な大きさです。
高レベル発現: 5’LTRのユビキタスかつ強力なプロモーターで、目的遺伝子を高レベルで発現させることができます。
遺伝子導入の均一性が高い: 一般的に、ウイルスによる導入は比較的バラツキが少なく、細胞間で均一にベクターを導入することができます。反対に、一般的なトランスフェクション法では、ある細胞では高コピー数、またある細胞では低コピー数あるいは全く導入されなかったりと、プラスミドベクターの導入は非常に不均一になります。
In vitroとin vivoでの使用: 主にin vitroで培養細胞の導入に使用されますが、生きた動物の細胞へ導入する場合にも使用することができます。
安全への配慮: ウイルスパッケージングと導入に必須な遺伝子を複数のヘルパープラスミドに分散、あるいはパッケージング細胞に組み込むことにより、安全性を高めています。ベクタビルダーのベクターから産生されたウイルスは、複製能を欠失させています。