アデノウイルス作製サービス
組換えアデノウイルスベクターは、さまざまな哺乳類細胞タイプで高レベルの導入遺伝子発現を達成可能で、ベクターは宿主ゲノムに組み込まれることなくエピソームDNAとして維持されます。アデノウイルスベクターは、高いトランスダクション効率と高レベルの一過的遺伝子発現により、in vivo遺伝子導入に適したツールとなり、遺伝子治療やワクチン接種によく使用されます。
VectorBuilderは、特にベクター作製サービス用アデノウイルスベクターシステムにおいて、タイター、純度、生存率、再現性を大幅に改善した一連の独自の組換えアデノウイルス産生プロトコルを開発しました。その結果、当社の満足度の高いアデノウイルスベクターのクローニングやアデノウイルスのパッケージングサービスを何度もご利用いただいているユーザー数が増え続けています。
提供されるアデノウイルスの種類
- 従来型Ad5アデノウイルス
- 従来型キメラAd5/F35アデノウイルス
- ガットレスAd5アデノウイルス
- ガットレスキメラAd5/F35アデノウイルス
- Ad2などの他アデノウイルスセロタイプ
サービスの詳細
ヒトAd5アデノウイルス
キメラAd5/F35アデノウイルス
ガットレスAd5アデノウイルス
ガットレスAd5/F35アデノウイルス
価格と作業日数 プライスマッチ
スケール | 用途 | 一般的なタイター | 最小タイター | 容量 | 価格 (税別、送料別) | 作業日数 |
---|---|---|---|---|---|---|
パイロット | 培養細胞 | >2x1010 IFU/ml | >1010 IFU/ml | 250 ul (10x25 ul) | 101,000円 | 28-35 days |
中容量 | 1 ml (10x100 ul) | 170,500円 | ||||
大容量 | >2x1011 IFU/ml | >1011 IFU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 263,500円 | ||
超純粋中容量 | 培養細胞 & in vivo | >2x1012 VP/ml | >1012 VP/ml | 500 ul (10x50 ul) | 325,500円 | |
超純粋大容量 | 1 ml (10x100 ul) | 387,500円 |
IFU = 感染タイター(Infectious units); VP =ウイルス粒子数 (Virus particles)
納品形態
培養細胞用 | 超純粋 (培養細胞& in vivo) |
---|---|
カスタム Ad5 アデノウイルス | カスタム Ad5 アデノウイルス |
無料: 標準コントロールウイルス
|
追加購入 (オプション): 超純粋標準コントロールウイルス
|
コントロールウイルス
コントロールウイルスは、感染効率の最適化などの目的に使用していただけます。例えば、遺伝子を強制発現するカスタムウイルスであれば、コントロールウイルスはEGFPを発現するウイルスとなり、shRNAを発現するカスタムウイルスであれば、スクランブルshRNA発現するウイルスとなります。コントロールウイルスの詳細は以下の通りです:
出荷形態と納品後の保存方法
培養細胞用アデノウイルスはHBSSバッファーに、超純粋アデノウイルスは GTSバッファーにて保管されます。 アデノウイルスはドライアイス梱包で出荷・納品します。お受け取り後は-80°Cで長期間(1年間)安定です。-20°Cでは短期間(2〜3週間)の安定した保存が可能です。アデノウイルスはレンチウイルスなど他ウイルスに比べて比較的安定で、ウイルス活性の損失を最小限に抑えて数回凍結解凍が可能です。しかし、凍結融解の繰り返しはなるべく避けてください。
価格と作業日数 プライスマッチ
スケール | 用途 | 一般的なタイター | 最小タイター | 容量 | 価格 (税別、送料別) | 作業日数 |
---|---|---|---|---|---|---|
パイロット | 培養細胞 | >2x1010 IFU/ml | >1010 IFU/ml | 250 ul (10x25 ul) | 170,500円 | 35-42 days |
中容量 | 1 ml (10x100 ul) | 263,500円 | ||||
大容量 | >2x1011 IFU/ml | >1011 IFU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 403,000円 | ||
超純粋中容量 | Cell culture & in vivo | >2x1012 VP/ml | >1012 VP/ml | 500 ul (10x50 ul) | 496,000円 | |
超純粋大容量 | 1 ml (10x100 ul) | 589,000円 |
IFU = 感染タイター(Infectious units); VP =ウイルス粒子数 (Virus particles)
納品形態
培養細胞用 | 超純粋 (培養細胞& in vivo) |
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カスタム キメラAd5/F35 アデノウイルス | カスタム キメラAd5/F35 アデノウイルス |
無料: 標準コントロールウイルス
|
追加購入 (オプション): 超純粋標準コントロールウイルス
|
コントロールウイルス
コントロールAd5/F35ウイルスは、感染効率の最適化などの目的に使用していただけます。遺伝子を強制発現するカスタムAd5/F35ウイルスであれば、コントロールウイルスはEGFPを発現するAd5/F35ウイルスとなります。コントロールウイルスの詳細は以下の通りです:
出荷形態と納品後の保存方法
培養細胞用アデノウイルスはHBSSバッファーに、超純粋アデノウイルスは GTSバッファーにて保管されます。 アデノウイルスはドライアイス梱包で出荷・納品します。お受け取り後は-80°Cで長期間(1年間)安定です。-20°Cでは短期間(2〜3週間)の安定した保存が可能です。アデノウイルスはレンチウイルスなど他ウイルスに比べて比較的安定で、ウイルス活性の損失を最小限に抑えて数回凍結解凍が可能です。しかし、凍結融解サイクルの繰り返しはなるべく避けてください。
価格と作業日数 プライスマッチ
スケール | 用途 | 最小タイター | 容量 | 価格 (税別、送料別) | 作業日数 |
---|---|---|---|---|---|
超純粋パイロット | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 250 ul (5x50 ul) | 403,000円 | 35-42 days |
超純粋中容量 | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 500 ul (10x50 ul) | 620,000円 | |
超純粋大容量 | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 1 ml (10x100 ul) | 775,000円 |
VP =ウイルス粒子数 (Virus particles)
納品形態
カスタム ガットレスAd5アデノウイルス |
追加購入 (オプション): 超純粋コントロールガットレスAd5アデノウイルス
|
コントロールウイルス
コントロール ガットレスAd5アデノウイルスは感染効率の最適化などの目的に使用していただけます。遺伝子を強制発現するカスタム ガットレスAd5ウイルスであれば、コントロールウイルスはEGFPを発現するガットレスAd5ウイルスとなります。コントロールウイルスの詳細は以下の通りです:
出荷形態と納品後の保存方法
超純粋アデノウイルスは GTSバッファーにて保管されます。アデノウイルスはドライアイス梱包で出荷・納品します。お受け取り後は-80°Cで長期間(1年間)安定です。-20°Cでは短期間(2〜3週間)の安定した保存が可能です。アデノウイルスはレンチウイルスなど他ウイルスに比べて比較的安定で、ウイルス活性の損失を最小限に抑えて数回凍結解凍が可能です。しかし、凍結融解サイクルの繰り返しはなるべく避けてください。
価格と作業日数 プライスマッチ
スケール | 用途 | 最小タイター | 容量 | 価格 (税別、送料別) | 作業日数 |
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超純粋パイロット | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 250 ul (5x50 ul) | 403,000円 | 35-42 days |
超純粋中容量 | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 500 ul (10x50 ul) | 620,000円 | |
超純粋大容量 | 培養細胞 & in vivo | >1011 VP/ml | 1 ml (10x100 ul) | 775,000円 |
VP =ウイルス粒子数 (Virus particles)
納品形態
カスタム ガットレスAd5/F35アデノウイルス |
追加購入 (オプション): 超純粋コントロールガットレスAd5/F35アデノウイルス
|
コントロールウイルス
コントロール ガットレスAd5 /F35アデノウイルスは感染効率の最適化などの目的に使用していただけます。遺伝子を強制発現するカスタム ガットレスAd5/F35ウイルスであれば、コントロールウイルスはEGFPを発現するガットレスAd5 /F35ウイルスとなります。コントロールウイルスの詳細は以下の通りです:
出荷形態と納品後の保存方法
超純粋アデノウイルスは GTSバッファーにて保管されます。 アデノウイルスはドライアイス梱包で出荷・納品します。お受け取り後は-80°Cで長期間(1年間)安定です。-20°Cでは短期間(2〜3週間)の安定した保存が可能です。アデノウイルスはレンチウイルスなど他ウイルスに比べて比較的安定で、ウイルス活性の損失を最小限に抑えて数回凍結解凍が可能です。しかし、凍結融解サイクルの繰り返しはなるべく避けてください。
技術情報
ヒトAd5アデノウイルス
キメラAd5/F35アデノウイルス
ガットレスAd5アデノウイルス
ガットレスAd5/F35アデノウイルス
アデノウイルス作製と品質検査
アデノウイルスの製造では、まず目的の遺伝子(GOI)がクローニングされたアデノウイルスベクターをPacI制限酵素処理によってリニア化(線状化)します。リニア化したベクターDNAを、アデノウイルス遺伝子E1を発現するパッケージング細胞にトランスフェクトして、組み換えアデノウイルスを生成し、細胞培養培地に放出されたアデノウイルス粒子を収集します。 超純粋アデノウイルス(in vivoグレード)の場合、ウイルス粒子は塩化セシウム(CsCl)勾配超遠心分離によってさらに精製および濃縮されます。免疫細胞学的にアデノウイルス特異的ヘキソンタンパク質を検出しウイルスタイターを測定します。超純粋グレードのアデノウイルスでは、ウイルス粒子の光学密度(OD260を使用)を測定してタイターを推定します。
図 1. Ad5アデノウイルスパッケージング工程
VectorBuilderが製造する各アデノウイルスの品質管理には、タイター測定、細菌や真菌の無菌性試験、マイコプラズマ検出試験が含まれます。アデノウイルスベクターが蛍光タンパク質をコードしている場合は、形質導入試験を行って、目的の蛍光が発現することを確認します。さらに、超純粋アデノウイルスの場合、定期的にエンドトキシンアッセイを行って、エンドトキシンレベルをチェックしています。COAへエンドトキシンアッセイ結果の記載するためには追加費用が発生します。ご希望の追加QCにも対応可能です。
実験に最適なアデノウイルスタイプを決定したいときには、FAQをご覧ください。
キメラ Ad5/F35アデノウイルス作製と品質検査
下の (図2)に示すように、キメラAd5 / F35アデノウイルス製造では、まず目的の遺伝子(GOI)を運ぶAd5 / F35アデノウイルスプラスミドDNAベクターを、制限酵素PacIでリニア(線状)化します。リニア化されたベクターDNAは、アデノウイルス遺伝子E1を発現するパッケージング細胞にトランスフェクトされて組み換えアデノウイルスを産生ます。アデノウイルス粒子は組織培養培地に放出され、回収します。 超純粋Ad5 / F35アデノウイルス(in vivoグレード)の場合、ウイルス粒子はさらに精製され、塩化セシウム(CsCl)勾配超遠心分離によって濃縮されます。培養細胞グレード(in vitroグレード)のウイルスは、免疫細胞化学的手法でアデノウイルス特異的ヘキソンタンパク質を検出し測定することで、ウイルスのタイターを求めます。超純粋Ad5 / F35アデノウイルスの場合は、ウイルス粒子の光学密度(OD260を使用)を測定してタイターを求めます。
図 2. キメラAd5/F35アデノウイルスパッケージング工程
VectorBuilderで作製した各アデノウイルスの品質管理には、タイター測定、細菌と真菌の無菌性テスト、およびマイコプラズマの検出によるデータが提供されます。そして Ad5 / F35アデノウイルスプラスミドDNAベクターが蛍光タンパク質マーカーをクローニングしている場合、作成したウイルスを培養細胞に感染させ、対応する蛍光マーカーの形質導入データを含みます。さらに、超純粋アデノウイルスは、エンドトキシンアッセイを定期的に実施して各ウイルスのエンドトキシンレベルをチェックしています。
Ad5アデノウイルス vs. キメラAd5/F35アデノウイルス
最もポピュラーなヒトアデノウイルス血清型5(Ad5)ベクターは、標的細胞に感染するためのコクサッキーおよびアデノウイルス受容体(CAR)を必要とすることが制限要因となっています。CARが発現していない、またCAR発現量が低い宿主細胞は、Ad5で効率的な形質導入が望めません。キメラAd5 / F35ウイルスベクターでは、アデノウイルス血清型35(Ad35)に由来するノブとシャフト、およびAd5に由来するファイバーテールで構成されるキメラファイバータンパク質を発現しています。そのためキメラAd5 / F35アデノウイルスでは、CARネガティブ細胞または低レベルCAR発現細胞に対しても、非CAR受容体であるCD46を介して容易に形質導入が行えます。Ad5 / F35アデノウイルスのキメラ化によって、アデノウイルスベクターの組織指向性が、造血細胞、原始幹細胞、血管平滑筋細胞、CARネガティブ腫瘍細胞などの細胞株にも拡大しました。
実験に最適なアデノウイルスタイプを決定したいときには、FAQをご覧ください。
ガットレスアデノウイルス作製と品質検査
下の図3に示すように、ガットレスアデノウイルスの作成では、まずガットレスアデノウイルスプラスミドDNAベクターの5‘-3’ITR間にプロモーター>目的遺伝子(GOI)発現カセットをクローニングします。当社のベクターは、ビリオンが効率的にパッケージングされるように、ITR間が28kb以上となるように適切な長さのスタッファー配列をクローニングします。次に5‘-3’ITR間にあるベクター領域を制限処理によって分離し、分離したフラグメントをパッケージング細胞にトランスフェクトし、さらにヘルパーウイルスが感染することで、組み換えアデノウイルス粒子が産生されます。当社のガットレスアデノウイルスベクターシステムは、Creリコンビナーゼを安定して発現するパッケージング細胞と2つのLoxPに挟まれたパッケージングシグナルを持つヘルパーウイルスを利用して、ヘルパーウイルスパッケージングシグナルのCre媒介性切除を促進します。これにより、ヘルパーウイルスゲノムがガットレスアデノウイルスゲノムとともに産生するウイルス粒子にパッケージされることを防ぎます。パッケージング細胞で産生されたアデノウイルス粒子は細胞培養培地に放出されます。
超純粋ガットレスアデノウイルス(in vivoグレード)の場合、ウイルス粒子はさらに精製され、塩化セシウム(CsCl)勾配超遠心分離によって濃縮されます。超純粋ガットレスアデノウイルスは、ウイルス粒子の光学密度(OD260を使用)を測定してタイターを求めます。
図 3. ガットレスAd5アデノウイルスのパッケージング工程
VectorBuilderで作製した各アデノウイルスの品質管理には、タイター測定、細菌と真菌の無菌性テスト、およびマイコプラズマの検出によるデータが提供されます。アデノウイルスプラスミドDNAベクターが蛍光タンパク質マーカーをクローニングしている場合、作成したウイルスを培養細胞に感染させ、対応する蛍光マーカーの形質導入データを含みます。さらに、超純粋アデノウイルスは、エンドトキシンアッセイを定期的に実施して各ウイルスのエンドトキシンレベルをチェックしています。
Ad5やAd/F35アデノウイルスに対するガットレスアデノウイルスの優位性
ガットレスアデノウイルスベクター(別名ヘルパー依存型アデノウイルスベクター)は、従来のAd5またはキメラAd5/F35アデノウイルスベクターよりも優位な利点を持つ最新世代のアデノウイルスベクターです。ウイルスの複製とパッケージングに不可欠なシス作用エレメント以外の、ほぼ全てのウイルスゲノム配列を欠損しているため、ガットレスアデノウイルスベクターは、in vivoで使用した場合、最小限の免疫原性で、長期間の導入遺伝子発現が可能です。 したがって、Ad5またはAd5/F35と比べて安全性が大幅に改善されており、遺伝子治療薬として非常に有効な候補です。さらに、ウイルスゲノム配列を欠損しているため、最大33 kbの組み換え遺伝子の搭載能力があり、大きな遺伝子や、複数遺伝子の同時形質導入に非常に適しています。
実験に最適なアデノウイルスタイプを決定したいときには、FAQをご覧ください。
ガットレスAd5/F35アデノウイルス作製と品質検査
下の図4に示すように、ガットレスAd5/F35アデノウイルスの作成では、まずガットレスアデノウイルスプラスミドDNAベクターの5‘-3’ITR間にプロモーター>目的遺伝子(GOI)発現カセットをクローニングします。当社のベクターは、ビリオンが効率的にパッケージングされるように、ITR間が28kb以上となるように適切な長さのスタッファー配列をクローニングします。次に5‘-3’ITR間にあるベクター領域を制限処理によって分離し、分離したフラグメントをパッケージング細胞にトランスフェクトし、さらにヘルパーウイルスが感染することで、組み換えアデノウイルス粒子が産生されます。当社のガットレスアデノウイルスベクターシステムは、Creリコンビナーゼを安定して発現するパッケージング細胞と2つのLoxPに挟まれたパッケージングシグナルを持つヘルパーウイルスを利用して、ヘルパーウイルスパッケージングシグナルのCre媒介性切除を促進します。これにより、ヘルパーウイルスゲノムがガットレスアデノウイルスゲノムとともに産生するウイルス粒子にパッケージされることを防ぎます。パッケージング細胞で産生されたアデノウイルス粒子は細胞培養培地に放出されます。
超純粋ガットレスアデノウイルス(in vivoグレード)の場合、ウイルス粒子はさらに精製され、塩化セシウム(CsCl)勾配超遠心分離によって濃縮されます。超純粋ガットレスアデノウイルスは、ウイルス粒子の光学密度(OD260を使用)を測定してタイターを求めます。
図 4. ガットレスAd5/F35アデノウイルスのパッケージング工程
VectorBuilderで作製した各アデノウイルスの品質管理には、タイター測定、細菌と真菌の無菌性テスト、およびマイコプラズマの検出によるデータが提供されます。アデノウイルスプラスミドDNAベクターが蛍光タンパク質マーカーをクローニングしている場合、作成したウイルスを培養細胞に感染させ、対応する蛍光マーカーの形質導入データを含みます。さらに、超純粋アデノウイルスは、エンドトキシンアッセイを定期的に実施して各ウイルスのエンドトキシンレベルをチェックしています。
実験に最適なアデノウイルスタイプを決定したいときには、FAQをご覧ください。
ガットレスAd5/F35アデノウイルスのガットレスAd5アデノウイルスに対する優位性
当社のガットレスAd5/F35アデノウイルスベクターは、ガットレスアデノウイルスとAd/F35アデノウイルスの両方の利点を兼ね備えており、免疫原性の低下、長期間の導入遺伝子発現、より大きな環境収容力、より広範な感染指向性を持ちます。
ガットレスアデノウイルスベクター(別名ヘルパー依存性アデノウイルスベクター)は、従来のアデノウイルスベクターに比べていくつかの優位性を持つ最新世代のアデノウイルスベクターです。ウイルスの複製とパッケージングに不可欠なシス作用エレメント以外の、ほぼ全てのウイルスゲノム配列を欠損しているため、ガットレスアデノウイルスベクターは、in vivoで使用した場合、最小限の免疫原性で、長期間の導入遺伝子発現が可能です。したがって、Ad5またはAd5/F35と比べて安全性が大幅に改善されており、遺伝子治療薬として非常に有効な候補です。さらに、ウイルスゲノム配列を欠損しているため、最大33 kbの組み換え遺伝子の搭載能力があり、大きな遺伝子や、複数遺伝子の同時形質導入に非常に適しています。
最もポピュラーなヒトアデノウイルス血清型5(Ad5)ベクターは、標的細胞に感染するためのコクサッキーおよびアデノウイルス受容体(CAR)を必要とすることが制限要因となっています。CARが発現していない、またCAR発現量が低い宿主細胞は、Ad5で効率的な形質導入が望めません。キメラAd5 / F35ウイルスベクターでは、アデノウイルス血清型35(Ad35)に由来するノブとシャフト、およびAd5に由来するファイバーテールで構成されるキメラファイバータンパク質を発現しています。そのためキメラAd5 / F35アデノウイルスでは、CARネガティブ細胞または低レベルCAR発現細胞に対しても、非CAR受容体であるCD46を介して容易に形質導入が行えます。Ad5 / F35アデノウイルスのキメラ化によって、アデノウイルスベクターの組織指向性が、造血細胞、原始幹細胞、血管平滑筋細胞、CARネガティブ腫瘍細胞などの細胞株にも拡大しました。
実験による検証
ヒトAd5アデノウイルス
キメラAd5/F35アデノウイルス
ガットレスAd5アデノウイルス
ガットレスAd5/F35アデノウイルス
図 5. MOI=10でEGFP発現 Ad5アデノウイルスに感染したHEK293A細胞。倍率100倍。左:光学視野、右:GFP。
当社は数多くの技術を開発し、Ad5/F35アデノウイルスパッケージングプロトコルを最適化しています。当社Ad5/F35アデノウイルスは、Ad5アデノウイルスと比べてCAR発現が低い細胞に対しても非常に高い感染効率を持ちます(図6)。
図 6. K562細胞を様々なMOIでAd5またはAd5/F35アデノウイルスに感染させた後48時間経過時点で、EGFP陽性細胞をフローサイトメトリーによって解析した。K562細胞はCAR発現が低いことが報告されている。
当社は数多くの技術を開発し、ガットレスAd5アデノウイルスパッケージングプロトコルを最適化しています。当社ガットレスアデノウイルスは、哺乳類細胞に対して高い感染効率を持ちます
図 7. ガットレスAd5アデノウイルスをMOI=1000で感染させたHEK293A細胞。倍率100倍。左:光学視野、右:GFP。
当社は数多くの技術を開発し、ガットレスAd5/F35アデノウイルスパッケージングプロトコルを最適化しています。当社ガットレスキメラアデノウイルスは、哺乳類細胞に対して高い感染効率を持ちます
図 8. ガットレスAd5/F35アデノウイルスをMOI=1000で感染させたHEK293A細胞。倍率100倍。左:光学視野、右:GFP。
ご注文方法
ユーザー提供のプラスミドDNAベクターからのウイルスパッケージング
ユーザー提供のアデノウイルスプラスミドを使用するウイルスパッケージングをご依頼の場合は マテリアルサブミッションガイド に従ってマテリアルを準備し、弊社に発送してください。ーザーからご提供されるマテリアルはVectorBuilderでお受け取り後、品質検査(QCチェック)に合格することを必須条件としています。QCチェックは、マテリアルごとに16,000円~、の追加料金が発生する場合があります。さらにQCチェックに合格するまで、ご依頼の受託サービスが開始することができません。そのため、正しくマテリアルを準備、発送し、プロジェクトが遅延しないよう心がけてください。
リソース
Q&A
レンチウイルス | MMLV | アデノウイルス | AAV | |
---|---|---|---|---|
組織指向性 | 広範 | 広範 | 数細胞種には不適 | ウイルスセロタイプに依る |
非分裂細胞への感染 | 感染する | 感染しない | 感染する | 感染する |
安定発現または一過性発現 | ゲノムへの挿入による安定発現 | ゲノムへの挿入による安定発現 | 一過的、エピソーマル | 一過的、エピソーマル |
得られる最高タイター | 高い | 中程度 | 高い | 非常に高い |
プロモーターのカスタマイズ | 可 | 不可 | 可 | 可 |
主な使用系 | 培養細胞 &in vivo | 培養細胞 &in vivo | In vivo | In vivo |
In vivoでの抗原性 | 低い | 低い | 高い | 非常に低い |
アデノウイルスタイプの選択のためにはまず、(1)標的細胞タイプ、(2)デリバリーする遺伝要素の長さを検討してください。標的細胞におけるCAR発現が無い/低いのならば、キメラAd5/F35アデノウイルスが最も効率の良い遺伝子デリバリーを可能にします。もしデリバリーするGOI、プロモーター、その他コンポーネントの合計が8.2kb以上になる場合は、ガットレスアデノウイルスが最適です。
ヒトAd5 | Ad5/F35 | ガットレスAd5 | ガットレスAd5/F35 | |
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ベクター構造 | ITR間の領域でE1A,、E1B、E3遺伝子が欠損 | ITR間の領域でE1A,、E1B、E3遺伝子が欠損 | ITR間の領域でシス作用エレメント以外のウイルス由来配列が欠損 | ITR間の領域でシス作用エレメント以外のウイルス由来配列が欠損 |
カプシド構造 | コクサッキーおよびアデノウイルス受容体(CAR)に結合する従来Ad5カプシド | EAd35に由来するノブとシャフトおよびAd5に由来するファイバーテールで構成されるキメラファイバータンパク質を発現し、CD46に結合する | コクサッキーおよびアデノウイルス受容体(CAR)に結合する従来Ad5カプシド | EAd35に由来するノブとシャフトおよびAd5に由来するファイバーテールで構成されるキメラファイバータンパク質を発現し、CD46に結合する |
積載可能サイズ | 7.5 kb | 8.2 kb | 33 kb | 33 kb |
感染指向性 | 広範だが、CAR発現が必要 | 非常に広範 | 広範だが、CAR発現が必要 | 非常に広範 |
In vivo免疫原性 | 高い | 高い | 低い | 低い |
ヘルパーウイルスの必要性 | No | No | Yes | Yes |
アデノウイルスは、機能的タイターを測定します。連続希釈したアデノウイルスをHEK293細胞に形質導入した後、免疫細胞化学に基づくアプローチを使用して、アデノウイルス特異的ヘキソンタンパク質の検出により正常に形質導入された細胞の数をカウントします。各免疫染色細胞を1つの感染ユニットと見なします。細胞は非常に低い多重感染度(MOI)で感染し、ほとんどの形質導入された細胞がそれぞれ単一のウイルス粒子に感染するようにします。このアッセイは、従来のプラークアッセイとの良好な相関関係を示します。超純粋アデノウイルスの場合、超純粋アデノウイルスの場合は、ウイルス粒子の光学密度をOD260で直接測定して、タイターを求めます。なぜなら光学密度と機能的タイターの間に密接な相関関係があるためです。アデノウイルスは非常に優れた安定性を持っています。当社のR&Dでは、当社で作成したアデノウイルス粒子は、室温下で何日も機能性を保持したまま安定に生きていることを認めています。
VectorBuilderで受託構築したアデノウイルスプラスミドベクターからアデノウイルスパッケージングを引き続きご注文いただき、かつパッケージングされる5’ITRから3’ITRまでの長さが38.7kb 以下の場合、最小タイター以上での保証を保障しています。以下の場合、タイター保証は適用外となっています:
- パッケージング上限サイズを超えた場合(5’ITRから3’ITRの長さが38.7kb以上):上限サイズを超えるとウイルスは不安定となり、パッケージされたDNAフラグメントにリアレンジメントやDNA欠損などが生じることが広く知られています。ウイルス粒子へのパッケージングは可能ですが、搭載した遺伝子の機能欠損やタイターの極端な低下が生じることも知られています。
- ウイルスベクターに搭載されたORFがパッケージング過程に負の影響を及ぼす場合:細胞毒性を持つ遺伝子(例、プロアポトーシス遺伝子群)、パッケージング細胞やウイルスの生合成に影響を与える遺伝子(例、凝集性を持つ膜タンパク遺伝子)、遺伝子シークエンスが塩基配列のリアレンジメントや二次構造をとるような遺伝子(例、反復配列や高GC-richシークエンス)。
- ユーザーご提供のプラスミドDNAを使ってウイルスパッケージングを行わせていただく場合:弊社のウイルスパッケージングプロトコールは、弊社で構築したベクターバックボーンに対して最適化されています。また、弊社にシークエンスを公開できないプラスミドDNAや、非定型のアデノウイルス機能シークエンス(例、ITRなど)からのパッケージングには不確定要素が多く、タイター保証のご提供には限界があります。
その他、お見積りの際に弊社よりご連絡させていただいたタイター低下リスクを、ユーザーにご同意いただき、パッケージングを受注させていただく場合もあります。できる限り高タイターでの納品を行いますが、生物学的バリアーによって困難な場合もあることをご了承ください。パッケージングの進捗に関しては弊社にメールにてお問い合わせください。
作業日数には、ご注文いただいた受託サービスが弊社で受注され、製造が完了し、弊社製造拠点から出荷されるまでの期間を指しています。ユーザーご提供のプラスミドDNAを使っての受託ウイルスパッケージングの場合、プラスミドDNAの受け入れやQCチェックにかかる日数は作業日数に含まれていません。