レンチウイルス作製
レンチウイルスベクターは、哺乳類細胞に遺伝子導入を行う際に、最もよく使われるウイルスベクターの一つです。一過的でエピソーマルな外来遺伝子の発現に使われるプラスミドDNAとは異なり、レンチウイルスベクターはホスト細胞のゲノムに挿入されることで恒常的な外来遺伝子の発現を実現します。さらにレンチウイルスはin vivoでの遺伝子導入ツールとしても大変効果的です。
VectorBuilderは高い品質のレンチウイルス受託作製サービスをご提供しています。当社が独自に開発した一連の技術と試薬を用いて、タイター、純度、生存率、均一性に優れたレンチウイルスを製造するプロトコールを改良しました。ぜひ当社受託サービスの、レンチウイルスプラスミドベクター構築に引き続いてウイルスパッケージングまでの一連の受託サービスをご注文いただき、高品質のウイルスをお使いください。ユーザ―満足度の高さは、世界中のユーザーからのリピート注文率に現れています。また当社ではGMP-グレードのレンチウイルス製造 も受託しています。そのため、基礎生命科学研究、創薬研究、臨床研究の一貫したサービスをお届けいたします。
レンチウイルスの種類
- VSV-G シュードタイプ第3世代レンチウイルス(デフォルトベクターフォーマット)
- VSV-G シュードタイプ第2世代レンチウイルス
- VSV-G インテグレーション欠損型 第3世代レンチウイルス
- カスタムエンベロープタンパク質のシュードタイプレンチウイルス(例、コロナウイルススパイク(S)タンパク質)
- エンベロープタンパク質欠損型禿げレンチウイルス(レンチウイルスによる形質導入のネガティブコントロール)
レンチウイルス受託作製サービスの詳細
価格と作業日数 (価格は4月3日2021年より)
サイズ | 推奨使用系 | 一般的なタイター | 最小タイター | 容量 | 価格(税抜き) | 作業日数 |
---|---|---|---|---|---|---|
パイロット | 培養細胞 | >4x108 TU/ml | >108 TU/ml | 250 ul (10x25 ul) | 52,000円 | 8-16 日 |
中容量 | >3x108 TU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 78,000円 | |||
大容量 | >2x109 TU/ml | >109 TU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 130,000円 | ||
超純粋中容量 | 培養細胞 & in vivo | >2x109 TU/ml | >109 TU/ml | 500 ul (10x50 ul) | 169,000円 | |
超純粋大容量 | 1 ml (10x100 ul) | 208,000円 |
TU=形質導入ユニット(感染ユニット)
納品形態
培養細胞用レンチウイルス | 超純粋レンチウイルス |
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カスタムレンチウイルス | カスタムレンチウイルス |
無料:標準コントロールウイルス
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追加購入(オプション): 超純粋標準コントロールウイルス
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無料: ポリブレン(5mg/ml, 200ul) |
無料:ポリブレン(5mg/ml, 200ul) |
メール添付:カルタヘナ法26条1項情報公開書類、品質検査証明書(COA) |
メール添付:カルタヘナ法26条1項情報公開書類、品質検査証明書(COA) |
既成標準コントロールウイルス
カスタムウイルスをご購入いただく場合、 既製標準コントロールウイルスを無料(パイロット、中容量、大容量用)または割引特価(超純粋中容量、超純粋大容量用)でご提供しています。既製標準コントロールウイルスは、感染効率の最適化などの目的に使用していただけるコントロールウイルスです。例えば、カスタムウイルスが目的遺伝子の強制発現系であれば、コントロールはEGFPを強制発現するウイルスです。カスタムウイルスがshRNAの発現系では、コントロールはscramble shRNAを発現するウイルスです。そのため、ご注文いただくカスタムレンチウイルスの厳密な実験用コントロールウイルスではありません。カスタムコントロールがお入用な場合は、別途ベクターデザインとお見積りが必要です。既製標準コントロールウイルス仕様:
ベクターシステム | コントロールウイルスベクター名称 | コントロールベクターID |
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レンチウイルス発現ベクター | pLV[Exp]-EGFP:T2A:Puro-EF1A>mCherry | VB160109-10005 |
レンチウイルスU6型shRNAノックダウン | pLV[shRNA]-EGFP:T2A:Puro-U6>Scramble_shRNA | VB151023-10034 |
レンチウイルスmiR30型shRNAノックダウン | pLV[miR30]-EGFP/Puro-EF1A>mCherry:Scramble_miR30-shRNA | VB180124-1174nde |
レンチウイルスCRISPRベクター | pLV[Exp]-EGFP:T2A:Puro-EF1A>mCherry | VB160109-10005 |
保存方法
当社のレンチウイルスはHBSSバッファーに保存され、ドライアイス詰めで出荷されます。お受け取り後、長期保存は-80°Cで最低6か月安定です。-20°C では1週間安定です。正しい保存温度を守られた場合、使用期限は約1年です。大きなタイターの低下を招く凍結融解は避けてください。
技術的情報
レンチウイルス作製と品質検査
第3世代レンチウイルスパッケージングは、目的遺伝子(GOI)をクローニングしたトランスファーベクターを当社で開発したVSV-G エンベロープタンパク質ベクターとGag/PolそしてRevをコードするパッケージングプラスミドとともにウイルス産生細胞のHEK293T細胞に共形質転換を行います。48時間のインキュベーション後、上清を集め遠心をかけることで細胞の残渣を除去し、フィルターにかけ、レンチウイルス粒子をPEG濃縮を行います。超純粋グレード(in vivo用)のレンチウイルスは、ショ糖濃度勾配超遠心でさらに精製と濃縮を行っています。レンチウイルスのタイターは p24 ELISA法によって測定しています。
VectorBuilderによって生成された各組換えレンチウイルスの品質管理には、タイター測定、細菌および真菌の無菌試験、およびマイコプラズマ検出が含まれます。またウイルスのトランスファーベクターが蛍光タンパク質をコードしている場合、対応する蛍光を検出するためにHEK293T細胞に形質導入テストを実行します。トランスファーベクターが薬物選択マーカーをコードしている場合、形質導入試験を実施した後、対応する薬物選択を行います。さらに、超純粋レンチウイルスについては、エンドトキシンアッセイを実施してエンドトキシンレベル値もご提供しています。
技術関連書類
ユーザーインストラクション 化学物質等安全データシート (MSDS) 品質検査証明書(COA)ご注文方法
プラスミドベクター構築とウイルスパッケージングを同時注文する場合
ウイルスパッケージングのみ注文する場合(ユーザー提供プラスミド、または弊社にストックしたベクター)
ユーザー提供のプラスミドDNAベクターからのウイルスパッケージング
ユーザー提供のレンチウイルスプラスミドをパッケージに使用する場合は マテリアルサブミッションガイドライン に従ってマテリアルを準備し、弊社に発送してください。ユーザーからご提供されるマテリアルはVectorBuilderでお受け取り後、品質検査(QCチェック)に合格することを必須条件としています。QCチェックは、マテリアルごとに13,000円からの追加料金が発生する場合があります。さらにQCチェックに合格するまで、ご依頼の受託サービスが開始することができません。そのため、正しくマテリアルを準備、発送し、プロジェクトが遅延しないよう心がけてください。
Q&A
レンチウイルスの特徴は他のウイルスに比べてどのような点がありますか?
レンチウイルス | MMLV | アデノウイルス | AAV | |
---|---|---|---|---|
指向性 | 広範 | 広範 | 感染しない細胞がある | 血清型に依る |
非分裂動物細胞への感染 | 感染する | 感染しない | 感染する | 感染する |
安定発現または一過的発現 | ゲノム挿入による安定発現 | ゲノム挿入による安定発現 | 一過的発現、エピソーマル | 一過的発現、エピソーマル |
最高タイターの相対的評価 | 高い | 中程度 | 大変高い | 高い |
プロモーター選択の自由度 | 自由度あり | 自由度なし | 自由度あり | 自由度あり |
至適使用系 | 培養細胞とin vivo | 培養細胞と in vivo | In vivo | In vivo |
生体での免疫原性 | 低い | 低い | 高い | 大変低い |
タイターの決定方法は?
レンチウイルスタイターの測定にはp24ELISAを使用します。この方法では、サンドイッチイムノアッセイを使用して、レンチウイルス上清中のHIV-1p24コアタンパク質のレベルを測定します。レンチウイルスサンプルを最初にマイクロタイタープレートに加え、そのウェルを抗HIV-1 p24キャプチャー抗体でコーティングして、レンチウイルスサンプル中のp24に結合させます。これに続いて、ビオチン化抗p24二次抗体が添加され、プレート上の一次抗体によってキャプチャーされたp24に結合します。次に、ストレプトアビジンとビオチンの間の相互作用により、ビオチン化抗p24抗体を結合するためにストレプトアビジン-HRPコンジュゲートが追加されます。基質溶液が最終的にサンプルに追加され、HRPとの相互作用で発色します。 着色した生成物の強度は、各レンチウイルスサンプルに存在するp24の量に比例します。分光光度計を使用して強度を測定し、組換えHIV-1p24標準曲線と比較することによって正確に定量化されます。p24値は、対応するレンチウイルスサンプルのウイルスタイターと相関関係にあります。
VectorBuilderのウイルスタイター保証とは?
当社のタイター保証は、ウイルスにパッケージされている領域(Δ5'LTRからΔU3/ 3'LTRまで)がレンチウイルスの搭載制限(9.2 kb)を下回っているベクターに適用されます。搭載制限を超えるサイズの場合でも、ベクターをウイルスにパッケージすることは可能かもしれませんが、タイターが低下する可能性があります。あまた、以下のベクターの場合、当社のタイター保証は適用できません:
- 毒性遺伝子(例:アポトーシス促進遺伝子)、パッケージング細胞またはウイルスの完全性を損なう遺伝子(例:細胞凝集を引き起こす膜タンパク質)などのパッケージングプロセスに悪影響を与える可能性のある配列を含むベクター、および欠失や二次構造を取りやすいい配列(例:反復配列または非常にGC含量が高いシーケンス);
- パッケージング効率に不確実性をもたらす可能性のある、非公開の配列または非定型レンチウイルス機能要素(LTRなど)を含むユーザー提供のプラスミドの場合。
製造作業日数は、プロジェクト開始から完了までの日数です。お客様から提供されたマテリアル(プラスミドDNAやウイルスベクターなど)が弊社製造拠点に到着するまでの待ち日数、マテリアルの品質検査にかかる日数、そして完成した納品物をお客様に発送するための輸送日数は含まれていません。