カスタムベクター構築サービス
ベクター構築サービスの特長
- オンライン上で無料公開している使いやすい ベクターデザインスタジオ はユーザーの実験目的に合致するカスタムベクターを素早くデザインできます。
- ベクターバックボーン と ベクターコンポーネント の膨大なコレクションを利用すればベクター作製にかかる時間と費用を節約できます (当社の実績では、今まで受託した総プロジェクトの中で ~20%で新規遺伝子合成が必要です。ほとんどが当社でコレクションされたベクターコンポーネントからのベクター構築です)。
- ベクターバックボーンとコンポーネントの全ては機能的に検証されたものを使用しているので、信頼できる実験結果を得ることができます。
- 豊富なクローニング技術と経験を持っているため、シンプルなベクター構築から複雑なベクター構築まで柔軟に対応します。
- 膨大な数の様々なベクター構築してきた経験とノウハウを持っています。
- 関連サービスの追加注文が簡単です。ベクター構築終了後、引きつづき プラスミドDNA精製 や ウイルスパッケージングをご注文できます。
- ユーザーが依頼したコンポーネントのシークエンスは100%マッチいたします。
- 受託構築したベクターは半年から1年のあいだ当社にて無料で保管いたします。
- カスタムベクターの知財 はユーザーに帰属します(ユーザー独自の改変がなされた場合に限る。天然シークエンスは対象外)。
サービス内容
価格と作業にかかる日数プライスマッチ
カスタムベクター構築の平均的な工程は、ユーザー提供プラスミドDNAのQC(該当する場合)、ベクターコンポーネントの調達(該当する場合)、およびベクタークローニングの3工程からなります。各工程の参考価格と作業日数の内訳を以下の表1に示します:
表 1. カスタムクローニングの各工程の参考価格と参考所要作業日数一覧
ベクタークローニング* | ベクターコンポーネントの調達ソース(該当する場合) | ユーザー提供プラスミドDNAのQC(該当する場合) | ||||
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種類 | ベクター構築の複雑度による | 当社ストックテンプレート | ユーザー提供テンプレート | 新規遺伝子合成 | ベクターバックボーン用 | ベクターコンポーネント用(ORFなど) |
価格(税別、送料別) | a. shRNA, gRNA または短いフラグメントなどの発現 (例 エンハンサー、プロモーター): 23,500円より b. タンパク質発現用: 25,500円より | 0-8,000円 (当社受託ベクター構築の80%以上のテンプレートがこのカテゴリーに相当) | 0円 (注QCチェック費用がかかります) | 表3を参照 | 24,000円 | 24,000円より |
作業日数** | 1-3週間 (当社受注ベクター構築の80%以上での実績) | 受注後ただちにベクター構築開始 | QCチェックに合格後、ベクター構築開始 | 表3を参照 | 3-5日 | |
作業内容 | クローニング方法(PCR, ライゲーションでのクローニング, Gibson, Gateway, Golden Gateクローニング) | ストックテンプレートの種類(プロモーター、ORF, マーカー遺伝子、精製タグなど) | 約20% のプロジェクトで新規遺伝子合成が必要(当社実績) | QCに含まれる作業(濃度測定、トランスフォーメーション、プラスミド精製、制限酵素処理、サンガーシークエンシング) |
注:
* VectorBuilderの標準的バックボーンとコンポーネントから構築されたベクターの価格と作業日数は表2を参照ください。
** 作業日数とは:ベクター構築を受注してから完了までの日数です。ユーザー提供マテリアルの輸送時間とQC、および完成品の輸送時間は含まれていません。
価格は予告なく変更される場合があります。
表 2. シンプルベクター構築の価格と所要作業日数
ベクター種類 | 価格(税別、送料別) | 作業日数(輸送日数は除く) |
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shRNAベクター | 24,000円 | 4-8 日 |
gRNAベクター (single-gRNA) | 24,000円 | 4-8 日 |
gRNAベクター (dual-gRNA) | 51,000円 | 7-14 日 |
発現ベクター | 30,000円 | 4-8 日 |
価格は予告なく変更される場合があります。
表 3. 新規遺伝子合成の価格と所要作業日数
合成フラグメントの長さ | 価格(税別、送料別)* | 作業日数(輸送日数は除く) |
---|---|---|
<1.5 kb | 19.2円/bp | 5-10 日 |
1.5-3 kb | 22.4円/bp | 10-20 日 |
3-5 kb | 25.6円/bp | |
5-7 kb | 28.8円/bp |
* 異なるDNAフラグメントの合成を3種類以上ご注文いただいた場合バルク割引をいたします。
新規遺伝子合成において合成が難しい領域が含まれている場合(GC含量が高い、単純な繰り返しが多い、セグメントやブロックの繰り返しがあるなど)、1bp当たりの費用が多少高くなる可能性があります。
価格は予告なく変更される場合があります。
納品形態
日本向け納品形態はTEに溶解したプラスミドDNAです:出荷前のサンガーシークエンシング検査の残りを無料提供しているため1.5-2.0ugと少量です。納品後すぐ実験に使える量の精製プラスミドDNAが必要な場合は、関連サービスよりミニ(>10ug), ミディ(>100ug), マキシ(>300ug), メガ(>1mg), ギガ(>10mg) プレップのプラスミド精製受託サービスの追加ご注文をお勧めいたします。
プラスミドDNAをホスト大腸菌に形質転換した15%グリセロールストックでの納品も、ユーザーのご依頼によって対応しています。service-jp@vectorbuilder.comまでお問い合わせください。所属機関の定める遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)を遵守した遺伝子組み換え大腸菌の受け入れ準備を行ってください。VectorBuilderジャパンよりカルタヘナ法26-1に沿った情報公開書類をメール添付にてお送りいたします。
品質検査について
VectorBuilderで受託構築したベクターはコンポーネントシークエンスの 100%マッチを確認して納品します。 当社の受託構築ベクターは出荷前の品質検査としてサンガーシークエンシングを実施しています。ユーザーが依頼したコンポーネント(ORF, linkerなど)のシークエンスが100%マッチしたことを確認した後に出荷します。その他の標準QCサービスとして、DNAの定量、A260 / 280測定、制限酵素処理によるベクターマップの確認があります。大腸菌グリセロールストックで納品をご希望された場合は、保管しているグリセロールストックからプラスミドDNAを回収し、フレッシュなホスト大腸菌に形質転換を行ってから出荷しています。
ユーザー提供のプラスミドDNAに関して
ユーザーご提供のベクターバックボーンやベクターコンポーネント(ORFやプロモーターなど)を使ったベクター構築をご依頼の場合は、お見積り作製時にご提供いただくプラスミドの情報をあらかじめ "サポート" > "マテリアルサブミッションフォーム"からサブミットしてください。
- VectorBuilderの製造拠点までの移動日数、お受け取りしたプラスミドDNAのQCチェックにかかる日数が最終ベクター構築作業日数には含まれていません。ベクター構築が開始するまで、ある程度の日数を必要とすることをあらかじめご了承ください。
- QCチェック費用はベクター価格照会の価格に含まれています。
- QCチェック内容:大腸菌形質転換とプラスミド精製、特長的な制限酵素サイトを使ってベクターのグローバルマップの確認、サンガーシークエンスシングによるシークエンスの確認。
- プラスミドDNAのご提供の際は、マテリアルサブミッションガイドに沿って発送してください。VectorBuilderジャパンでは毎週末、製造拠点にまとめてマテリアルを発送します。お急ぎの場合は、service-jp@vectorbuilder.comまでお問い合わせください。
Q&A
VectorBuilderでは様々な分子生物学技術を組み合わせて、ユーザーの要求を満足させるカスタムベクターを受託構築しています。発現ベクターは通常、Gateway cloningまたはGibson assemblyを使用して構築します。shRNAおよびgRNAベクターは、ライゲーションベースのアプローチを使用してクローニングされ、高度に最適化されたハイスループットクローニングプラットフォームを利用して、目的のベクターを最低価格および最短の作業日数で受託構築します。必要に応じてプロジェクトごとに新規遺伝子合成やGoldenGateクローニングなど、他の様々な方法をルーチンに使用しています。
VectorBuilderでクローニングされるベクターの殆どが、当社で独自開発した大腸菌ホスト VB UltraStable™ を使ってプラスミドDNAの増幅を行っています。このホストの特長は、高い形質転換効率 (>1x108 cfu/ug) とリピートなどの多いインサートを持つプラスミドDNAも安定して増幅できる点です。そのため、当社で受託構築してお受け取りになられたプラスミドDNAの増幅には、 VB UltraStable™ コンピテントセル をお使いいただくことをお勧めいたします。プラスミドDNAの収量やベクターインサートの安定性に多少懸念は出るものの、通常研究室にあるDH5αやStbl3のコンピテントセルでもプラスミドの増幅が可能です。
プラスミドの複製起点が低コピーoriではないですか?
大腸菌細胞あたりのプラスミドコピー数は、プラスミドの複製起点によって決まります。なんらかの理由があって、低コピーoriを持つプラスミドもあります。プラスミドの複製起点にどのoriが使われているか、低コピーoriかどうかを確認してください。低コピーoriをもつプラスミドの場合、満足いくプラスミドDNA収量を得るためにはプラスミドDNA調製用の大腸菌培養量を増やしてください(例えば100mlを1Lにするなど)。
VectorBuilderのプラスミドベクターで低コピーoriを持つベクターバックボーンリスト
プラスミドDNA精製カラムに対して、容量以下の大腸菌カルチャーを使っている
プラスミドプレップカラムの結合容量と、プラスミドが高コピープラスミドか低コピープラスミドかを確認してください。ミニプレップの場合、1〜5mlのO/Nカルチャーををカラムに使ってください。マキシプレップの場合、高コピープラスミドの場合、100〜150mlのO/Nカルチャーを、低コピープラスミドの場合、300〜500mlのO/NカルチャーをプラスミドDNA精製に使用することをお勧めします。通常、高コピープラスミドの場合、ミニプレップでは培養液1mlごとに約5ugのプラスミドDNAを抽出でき、150mlの培養液から約500ugのプラスミドDNAを回収できます。低コピープラスミド(例:pET)の場合、ミニプレップで培養液1 mlごとに1.5〜2.5 ugのプラスミドDNA、培養液150 mlから150〜200ugのプラスミドDNAが回収できます。
選択薬剤が失活していて、プラスミドを持たない大腸菌がカルチャーの大部分を占めているのではないですか?
一部の抗生物質、特にアンピシリンは、液体培養で急速に失活します。その結果、プラスミドを持たない大腸菌がカルチャーの大部分を占め、全体としてのプラスミドの収量が低下している可能性があります。これを回避するために、液体培地のアンピシリンは使用前に加えること、また新しく作成した液体培地を使う場合は、オートクレーブ後は十分に冷める(少なくとも37度の培養温度)まで待ってからアンピシリンなどの抗生物質を加えてください。また、アンピシリンなどの抗生物質のストック溶液もー20度で適切に保存されたものを使い、液体培養に適切な濃度で添加してください。アンピシリン耐性菌を培養する場合は、長時間のカルチャーは避けてください。培養物中の抗生物質が失活しプラスミドを持たない大腸菌が増えてくることに加え、古いカルチャーからプラスミドDNAを抽出すると、多くの大腸菌が死んでいるため、プラスミドDNAがすでに分解しています。適度な培養時間、温度、回転数で培養してください。O/N培養の目安は16時間以内です。もしプラスミド精製がすぐに開始できない場合、大腸菌カルチャーを遠心チューブに移してスピンダウンし、上清を捨て、ペレットにした状態で、-20°Cまたは-80°Cのフリーザーに保管し、後のプラスミドDNA精製に備えてください。
大腸菌グリセロールストックから直接液体培養を始めていませんか?
ベクタービルダーから納品された大腸菌の液体培地またはスタブから直接液体培養に持っていた場合、ときどきプラスミドDNAの収量が低くなる報告があります。そのため納品されたストックはまず適切な構成物質を含んだLBプレートに線画培養し、O/Nで増殖した単一コロニーを複数ピックアップしてフレッシュな液体培養をスタートしてください。インストラクションは、リソース> ユーザーインストラクション > グリセロールストック よりダウンロードしてください。
プラスミド精製キットのインストラクションに沿って操作していますか?
プラスミド精製キットを使っている場合、使用前にユーザーマニュアルを読んでプロトコールの各ステップの目的を理解してください。キットを正しく使いプラスミド収量と精製度を上げてください。
ミニ/マキシプレップに使うカラムの品質が高くない
いくつかのメーカーのプラスミドプレップカラムは、プラスミドDNAの精製度と収量にばらつきがあります。