オンラインベクターデザイン

VectorBuilderは、洗練されたそして直感的に使えるオンラインベクターデザインサイトと、合理化されたオンライン注文システムを組み合わせた、大変革新的なWebベースの分子生物学受託サービスプラットフォームを提供します。 VectorBuilderアカウントを持っているかどうかに関係なく、オンラインベクターデザインプラットフォームに無料で無制限にアクセスでき、マウスを数回クリックするだけでさまざまなカスタムベクターをデザインできます。ベクターデザインに加えて、ウイルスパッケージングプラスミドDNA精製などの関連サービスとともに、ベクターのカスタムクローニングをオンラインプラットフォームから注文できます。

概要
  • 分子生物学研究に使われている網羅的な ベクターバックボーン のコレクション:標準的なプラスミド、レンチウイルス、AAV、アデノウイルス、MMLV、piggyBac その他多数
  • プロモーター、ORF、マーカー、エピトープタグ、shRNAなどを含むベクターコンポーネントの広範なデータベース
  • ベクターコンポーネントに豊富な注釈が付いた詳細なベクターマップ
  • ベクターシステムとベクターコンポーネントに関する豊富で包括的な 教育的ガイド 
  • ベクターのデザインとアナリシスを支援する無料のバイオインフォーマティックスツールの提供
  • ユーザーアカウントの管理は簡単です
特徴
  • ご提供しているベクターシステム 
  • ベクターデザインスタジオ
  • ベクター情報のオーバービュー 
  • ベクターデザインを取り出す
  • デザインリクエストを送る
  • ポピュラーベクターを探す
技術的情報
  • ベクターの基本コンポーネント
  • ベクターシステムの選びかた

特徴

Vectorbuilderのユーザーフレンドリーなオンラインベクターデザインプラットフォームからカスタムベクターをデザインするのは非常に簡単です。さらに以下に説明するように多くの利点もあります:

ご提供しているベクターシステム

ホームページから マイベクターをデザインする をクリックすると、自分でベクターデザインを開始できます。200種類にも及ぶベクターシステムから、目的の実験に適したベクターシステムを選択できます:

  • ベクターバックボーン – 以下に挙げたベクターバックボーンを含む、幅広い種類のベクターバックボーンを提供しています

    • 通常のプラスミド:従来のトランスフェクションベースの遺伝子デリバリー
    • ウイルスベクター (例. レンチウイルス、AAV、アデノウイルス、レトロウイルス):ウイルス遺伝子導入ベースの遺伝子デリバリー 
    • トランスポゾンベースベクター (例. piggyBac、Tol2、sleeping beauty): トランスポゾンを介した遺伝子トランスファー
  • アプリケーション – 豊富なベクターコレクションに加え、以下に挙げるようなアプリケーション用のベクターが含まれています:

    • 遺伝子過剰発現 (例. コンスタント、 誘導性、コンディショナル)
    • shRNAを介した遺伝子ノックダウン
    • CRISPRベースの遺伝子編集と遺伝子発現調節
    • 組み換えタンパク質発現
    • In vitro転写
    • エンハンサー/プロモーターテスト
    • Non-coding RNA発現
  • 生物種 – 哺乳類、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、植物、大腸菌、酵母や昆虫など、様々な生物種で導入遺伝子を発現させるためのベクターを提供しています。 

ベクターデザインスタジオ

実験目的に適したベクターシステムを選択した後、ベクターデザインスタジオにアクセスして、次のようなさまざまなカスタマイズオプションを使用してベクターをデザインできます:

1)  ベクターコンポーネントの追加 (例. プロモーター、ORF、マーカー、リンカー、その他)詳しく見る

ベクターコンポーネントを追加するには、3方法あります。よく使われるベクターコンポーネントをベクタービルダーのコレクションから選択する、目的遺伝子(GOI)で検索する、またはシークエンスを直接貼り付ける方法です。 GOIで検索する場合、ORF、shRNA、gRNAのデータベースに無制限にアクセスできるため、目的の配列をすばやく選択してベクターに挿入できます。

2)  複数の遺伝子をポリシストロニックに発現させる詳しく見る

ベクターデザインスタジオでは、プロモーターの下流に最大4種類のORFをポリシストロンとして配置できます。複数のORFは、1つに融合タンパク質として、または2AかIRESリンカーによって分離された個別のタンパク質として発現させることができます。

3)  ORFシークエンスの編集詳しく見る

ベクターにORFを追加した後、ORFエディターを開いて、エピトープタグを追加したり、配列に変異を導入したりできます。 ORFのN末端またはC末端に付加できるタンパク質タグも多数提供しています。コドン最適化、ヌクレオチド配列のアミノ酸配列への翻訳、ORFの検索、逆相補鎖の表示など、その他の便利なバイオインフォーマティックスツールを利用できます。

ベクター情報のオーバービュー

ベクターデザインが終了すると、新たに ベクター情報 のページが開きます。 このページから:

  • アノテーションのついたベクターマップとベクターシークエンスが確認できます。
  • 様々なフォーマットでベクター情報をダウンロードできます。例えば PDF, GenBank, FASTA そして SnapGeneフォーマットです。
  • ベクターの価格と納期が自動表示されるか、カスタムベクターであれば価格照会をクリックして価格と作業日数を問合せてください。
  • ベクター構築の受託サービスの注文は、ベクターをショッピングカートに入れてください。ウイルスパッケージングなどの関連サービスもここから追加できます。
  • デザインしたベクターをユーザーアカウントに保存できます。
  • デザインしたベクターを研究仲間とシェアできます。 
ベクターデザインを取り出す

ベクターIDは、VectorBuilderオンライン上でデザインされたベクターに自動的に割り当てられます(詳細については、以下のQ&Aセクションの「ベクターIDの割り当て方法」を参照してください)。このIDを使用すると、ログインせずにメニューバーにある項目ベクターデザインからプルダウン表示される[ベクター情報を取り出す]からベクターに関する完全な情報を取り出して確認することができます。 

デザインリクエストを送る

デザインスタジオを使ってのベクターデザインに限界がある場合(たとえば、VectorBuilderで利用できないバックボーンを使用する必要がある場合など)、VectorBuilderのホームページから、[デザインリクエストを送る]をクリックして、目的のベクターの説明を送信してください。当社の経験豊富な科学者が無料でベクターをデザインし、価格と作業日数とともにデザインをお送りします。

ポピュラーベクターを探す

独自のベクターをデザインしたり、デザインリクエストを送信したりするだけでなく、VectorBuilderホームページから[遺伝子名からベクターを検索]をクリックして、すでにデザインされたベクターを検索することもできます。このオプションを使用して遺伝子を検索すると、遺伝子発現、shRNAベースの遺伝子ノックダウン、VectorBuilderの標準バックボーンを使用したCRISPRベースの遺伝子ノックアウトなど、ベクターデザインのリストが表示されます。このオプションを使用すると、目的遺伝子に対して、既製品ベクターが販売用のストックになっているかどうかを確認することもできます。さらに、ベクターを表示させて、アノテーションのついたマップとシーケンスを確認し、必要ならば既存のデザインにさらに編集や変更を付け加えて、独自デザインベクターにすることも可能です。

技術的情報

ベクターの基本コンポーネント

プロモーター – プロモーターは、その下流にあるGOIの転写を駆動するための重要なベクターコンポーネントです。プロモーターの選択は、目的遺伝子発現の発現を、希望する位置とタイミンク、そして発現のレベルによって検討します。例えば、ユビキタスにすべての細胞タイプで遺伝子発現を駆動するか、組織特異的または特定の細胞タイプでのみ遺伝子発現をするなどです。さらに、プロモーターは、様々な目的遺伝子の発現レベルの強度(弱い、中程度、または強い)に基づいての選択も可能です。

ORF – ORFとは、目的遺伝子のオープンリーディングフレームの略で、最終的に機能を持つタンパク質に翻訳されます。 ORFは発現ベクターに不可欠であり、プロモーターの下流に配置されます。複数のタンパク質を同時に発現させる必要がある場合、それらのタンパク質に対応するORFを、リンカーによって分離された同じプロモーターの下に配置して、ポリシストロンとして発現させることができます。 

polyA シグナル – polyAはポリアデニル化シグナル配列の略で、上流のORF配列から生成された転写物の転写終結とポリアデニル化を担っています。ベクターにpolyAシグナルを組み込むと、mRNAがポリアデニル化され、ヌクレアーゼやホスファターゼによる分解からmRNAが保護されます。さらに、ポリアデニル化は、mRNAの細胞質への核外輸送およびリボソームによるタンパク質の翻訳に不可欠です。

選択マーカー – 選択マーカーにより、ベクターをトランスフェクトまたは形質導入された細胞を特定することが可能になります。トランスフェクト/形質導入された哺乳動物細胞の選択には、薬物耐性マーカーと蛍光タンパク質マーカーの2種類のマーカーが一般的に使用されます。薬物耐性マーカーは、マーカーを含むベクターを持つ細胞に抗生物質に対する耐性を与えます。ベクターを持たない細胞は抗生物質に耐性がないため、薬剤存在下で死滅します。蛍光マーカーでは、蛍光顕微鏡下での可視化または蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって、トランスフェクト/形質導入された細胞を選択できます。

複製開始点 – 複製開始点は、バクテリア宿主細胞内でのプラスミドベクターの複製に不可欠なコンポーネントです。複製開始点の選択は、通常、宿主細胞内で維持されるベクターのコピー数に依存し、ベクターの安定性をつかさどります。高コピー数のプラスミドはプラスミドプレップからより高いDNA収量を得るのに役立ちますが、低コピー数のプラスミドは毒性または不溶性のタンパク質を発現させるための好ましい選択となります。さらに、同じバクテリア細胞内で複数のプラスミドを増殖させる場合、両方のプラスミドが同じ複製起点を含まないことが重要です。互換性がなくなりプラスミドの複製を妨げるためです。 

抗生物質耐性遺伝子 – 抗生物質耐性遺伝子は、ベクターを保持させるまたは増殖させるバクテリア細胞の選択に役立ちます。抗生物質耐性遺伝子があれば、バクテリア集団中でベクターの維持ができます。もしバクテリア細胞がベクターを持たない場合、抗生物質に耐性がないため、抗生物質存在下の培地でバクテリアが死滅します。

その他のコンポーネント  – 上に挙げたコンポーネントは、通常ほとんどのベクタータイプに含まれていますが、アプリケーションに応じて、他のさまざまなベクターコンポーネントが特定のベクタータイプに含まれている場合もあります。たとえば、レンチウイルスやAAVベクターなどのウイルスベクターは、GOIのウイルス依存性発現に不可欠なロングターミナルリピート(LTR)やインバーテッドターミナルリピート(ITR)などのウイルス配列の存在を特徴としています。同様に、すべてのトランスポゾンベクターに見られる末端反復配列は、それぞれのトランスポゼース(転移酵素)の存在下で、トランスポゾンを介した標的細胞へのGOIの転移に不可欠です。

さらに、ベクターの基本的な機能には不可欠ではない様々なベクターコンポーネントがあります。それらはベクターの多様性を高めるのに役立ちます。たとえば、マルチクローニングサイト(MCS)領域は通常、ベクターに複数の制限酵素サイトを追加するために組み込まれ、これらのサイトのいずれかを使用してGOIをベクターにクローニングする柔軟性を提供します。 T2AやIRESなどのリンカーも、ベクター機能としては必要ありませんが、追加することでポリシストロン発現カセットとして1つのベクターから複数のORFを発現できるため、ベクターとしての機能性を高めます。

図 1. エッセンシャルなベクターコンポーネント

ベクターシステムを選択する際のヒント

実験を成功に導くベクターデザインの重要要素の1つは、GOIを標的細胞にデリバリーするために使用するベクターシステムの選択です。様々なウイルスおよび非ウイルスベクターがオプションにあるため、ベクターデザインを開始する前に、いくつかの点を考慮する必要があります。重要な考慮事項のいくつかは次のとおりです。使用するターゲット細胞はトランスフェクションが容易ですか、それとも困難ですか?一過性の発現または宿主細胞ゲノムへの安定したインテグレーションが必要ですか?目的の遺伝子を駆動するためにカスタマイズされたプロモーターを使用する必要がありますか?ベクターは培養細胞またはinvivoで使用しますか?コンディショナルまたは誘導性の遺伝子発現が必要ですか?GOIのサイズは?

以下の表は、一般的に使用されるベクターシステムと、実験計画に適した適切なベクターを選択するための重要な考慮事項を示しています。

Regular プラスミドベクター ウイルスベクター トランスポゾンベクター
トランスフェクションが可能か 可能 不可 可能
一過性発現または安定発現 一過性発現 安定発現、または一過性発現 安定発現
パッケージングが必要か 不必要 必要 不必要
搭載できる外来遺伝子サイズ 大きい 小さいから中程度 中程度から大きい
主要実験系 培養細胞 培養細胞& In vivo 培養細胞& in vivo
プロモーターのカスタム化 可能 ウイルスベクターの種類による 可能
標準プラスミドベクター表示する
メリット

技術的に容易に扱える:  トランスフェクション法による標準プラスミドベクターの導入は、ウイルスパッケージング作業を必要とするウイルスベクターよりも、はるかに容易な技術で行うことができます

大きなインサートが搭載できる:  ベクタービルダーの標準プラスミドベクターバックボーンに搭載可能なインサートサイズは30Kb前後です。そのため、目的遺伝子、プロモーター、マーカーなど様々なベクターコンポーネントをかなり自由に追加できます。搭載サイズに上限のあるウイルスベクターではできないベクターデザインも標準プラスミドベクターでは可能です。

デメリット

ゲノムへのインテグレーションができない: プラスミドベクターの従来のトランスフェクションでは、プラスミドDNAがエピソーマルDNAとして細胞にとどまるため、一過性トランスフェクションとも呼ばれます。ただし、プラスミドDNAは、非常に低い頻度で宿主ゲノムに永久的に組み込まれる可能性があります(細胞の種類に依存しますが、10^2〜10^6細胞に1程度)。薬剤耐性または蛍光マーカーがプラスミドに組み込まれている場合、プラスミドをゲノムDNAに組み込んだ細胞は、長期培養後の薬剤選択または細胞選別によって単離することが可能です。誘導することができます。

使える細胞種が限定される: プラスミドのトランスフェクション効率は、細胞の種類によって大きく異なります。非分裂細胞は分裂細胞よりもトランスフェクションが難しいことが多く、プライマリーセルは不死化細胞株よりもトランスフェクションが難しいことがよくあります。ニューロンや膵臓β細胞などの細胞では、トランスフェクションが難しいことも有名です。さらに、プラスミドトランスフェクションは主にin vitroアプリケーションに限定されており、in vivoで使用されることはめったにありません。

遺伝子デリバリーが不均一:通常トランスフェクションに成功した細胞では、個々の細胞にトランスフェクトされたプラスミドDNAのコピー数が非常に高く、また個々の細胞でプラスミドDNAのコピー数が非常に不均一になります。多くのプラスミドDNA、数個のプラスミドDNA、または0”ゼロ”個のプラスミドDNAを持つ細胞がディッシュ内に混在します。細胞当たり、比較的均一な数のベクターをデリバリーできるウイルスベースの形質導入とは大きく異なります。

ウイルスベクター表示する
メリット

トランスフェクションが困難な細胞に適しています: ウイルスベクターは、トランスフェクションが困難な細胞株の遺伝子デリバリーに適した方法です。ほとんどのウイルスベクターは、ウイルスエンベロープタンパク質によって付与される幅広い指向性によって多種多様な哺乳動物細胞株に形質導入をすることが可能です。当社のレンチウイルスパッケージングシステムでは、非常に広範な指向性を持つVSV-Gエンベロープタンパク質をウイルス表面にもっています。その結果、一般的に使用されている全ての哺乳動物種(および一部の非哺乳動物種)の細胞株に形質導入をすることができます。さらに殆ど全ての哺乳動物の細胞タイプにを形質導入が可能です。例えば、分裂細胞や非分裂細胞、初代細胞や確立された細胞株、幹細胞や分化細胞、接着細胞や非接着細胞などです。また従来のトランスフェクション方法では不浸透性のことが多いニューロンもレンチウイルスベクターによって容易に遺伝子デリバリーができます。

同様に、AAVベクターの場合、ウイルスパッケージングに様々なキャプシドタンパク質を選択して使用することができ、異なる血清型をウイルスに付与できます。血清型が異なれば、ウイルスの組織向性(感染の組織特異性)が異なります。ヒト、マウス、ラットなど一般的に使用される様々な細胞タイプや組織タイプの哺乳動物細胞も、適切な血清型のキャプシッドでパッケージされているAAVの場合、容易に形質導入を行うことが可能です。

in vitroおよびin vivoアプリケーションに適しています:プラスミドベクターでは殆どがin vitroアプリケーションに使用が限定されますが、ウイルスベクターの場合は、in vitroもin vivoも効果的な形質導入ができます。

遺伝子送達の相対的均一性:一般的にウイルスによる形質導入は比較的均一に目的ベクターを細胞にデリバリーすることができます。対照的に、プラスミドベクターのトランスフェクションでは、デリバリーされるベクター数が各細胞間で非常に不均一です。

デメリット

ウイルスに格納できるゲノムサイズに上限がある:通常のプラスミドまたはトランスポゾンベースのベクターと比較した場合、ほとんどのウイルスベクターの搭載ゲノムサイズに上限があります。ウイルス粒子にパッケージングできる容量を超えるとウイルスのパッケージングプロセスに悪影響を与えることが多いため、ウイルスベクターを設計する際にはゲノムサイズを考慮することが重要です。以下の表は、主要なウイルスベクターのウイルスゲノムサイズの上限を示しています。

ウイルス種 搭載できるウイルスゲノムの上限 ゲノムサイズ上限を超過した場合
アデノ随伴ウイルス 4.7 kb (from 5’ ITR to 3’ ITR) 不完全長に切断されてウイルス粒子にパッケージングされ、遺伝子機能欠損型になる。
アデノウイルス 38.7 kb (from 5’ ITR to 3’ ITR) アデノウイルスゲノムが不安定になり、ウイルスパッケージングのしあにゲノムの李アレンジメントが起こる。
レンチウイルス 9.2 kb (from 5’ LTR-ΔU3 to 3’ LTR-ΔU3) タイターの低下
MMLVレトロウイルス 8 kb (from MMLV 5' LTR to MMLV 3' LTR) タイターの低下
MSCVレトロウイルス 8 kb (from MSCV 5' LTR to MSCV 3' LTR) タイターの低下

技術的な複雑さ:ウイルスベクターを使用するには、パッケージング細胞で生ウイルスを生成した後、ウイルス力価を測定する必要があります。これらの手順は、従来のプラスミドトランスフェクションに比べて技術的なトレーニングが必要で、習熟するまでにある程度の時間がかかります。

ウイルスベクターの種類

生物医学研究で使用される一般的なウイルスベクターには、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、およびアデノウイルスが含まれ、それぞれに長所と短所があります。以下の表は、実験に適したウイルスベクターを選択する際に考慮すべき重要な要素を示しています。

レンチウイルス AAV アデノウイルス
指向性 広範 セロタイプによる 感染しない細胞もある
増殖細胞への感染 可能 可能 可能
安定発現または一過性発現 ゲノムへの挿入による安定発現 一過性、エピソーマル 一過性、エピソーマル
得られる最高タイター 高い 高い 非常に高い
プロモーターのカスタマイズ
主な使用系 培養細胞と in vivo In vivo In vivo
in vivoでの抗原性 低い 大変低い 高い

実験に適したウイルスベクターの選択方法ガイド

トランスポゾン型ベクター表示する
メリット

ベクターDNAの宿主細胞ゲノムへの永久的な組み込み:トランスポゾンのITRを両末端にもつベクターのみをトランスフェクションで標的細胞にデリバリーした場合、細胞分裂を経るごとにベクターDNAが半減し、最終的には失われるため、一過的なベクターDNAのデリバリーとなります。対照的に、トランスポゾンのITRを両末端に持つベクターと、そのトランスポゾンの転移酵素(トランスポゼース)をヘルパープラスミドとして供給し、共に標的細胞にトランスフェクションすることで、トランスポゾンのITRで挟まれた領域を宿主細胞のゲノムに組み込むことが可能で、目的遺伝子を恒久的に宿主細胞にデリバリーすることができます。

シンプル技術で操作可能:従来のトランスフェクションによるプラスミドベクターの細胞へのデリバリーは、技術的にシンプルです。ウイルスのパッケージングやタイター測定を必要とするウイルスベースのベクターよりも習熟に時間がかかりません。

デメリット

使用できる細胞種に限りがある:トランスポゾン型ベクターの宿主細胞へのデリバリーは、トランスフェクション効率に依存しています。トランスフェクションの効率は、細胞の種類によって大きく異なります。非分裂細胞は分裂細胞よりもトランスフェクションが難しいことが多く、初期細胞は不死化細胞株よりもトランスフェクションが難しいことがよくあります。ニューロンや膵臓β細胞などでは、トランスフェクションが難しいことで有名です。さらに、プラスミドトランスフェクションは主にin vitroアプリケーションに限定されており、in vivoで使用されることはめったにありません。そのためトランスポゾン型ベクターシステムのアプリケーションが制限されます。

Q&A

ベクター IDはどのように決定されますか?

VectorBuilderで受託構築されるプラスミドベクターには、独自のベクターIDが割り当てられます。このIDを、メニューバーのベクターデザインからプルダウンされた ベクター情報を取り出す に入力するとそのベクターに関する完全な情報を、当社のデータベースから取り出し、ベクターデザインの詳細を確認することができます。このベクターIDを論文のMaterials and Methodsに記入することで、簡単にベクター情報を引用することができます。

全てのベクターIDは “VB”から始まります。ID化のルールを次に示します.

Vector ID: VB160903-1018vur

このベクターの解釈方法:

160903: このベクターがデザインされた年月日 (年月日)、2016年9月3日

1018: ベクターのシリアル番号

vur: ランダムな3桁のアルファベット

VectorBuilderオンライン上で、ベクターをデザインした後、[ベクター情報]セクションの左下にある[編集に戻る]ボタンをクリックすると、既存ベクターデザインに変更を追加してデザインの再編集が行えます。再編集したベクターデザインは、新しいベクターIDが付与されます。新しいベクターIDは、オリジナルデザインにリンクされます。

ベクター名称はどのように決定されますか?

ベクターデザインに使用されたベクターコンポーネント (例. プロモーター、ORF) は自動的に殆どの場合、ベクター名称に追加されます。コンポーネント名は自動的に羅列され、最終的なベクター名称となります。 ベクター名称決定ルールを次に示します。

ベクターコンポーネントの決定ルール (例 プロモーター、ORF、リンカーなど )

  • VectorBuilderのポピュラーコンポーネントコレクション : コンポーネントの一般名が使用されます。
    例: CMV, EGFP, Neo

  • ORFなどVectorBuilderの遺伝子データベースからダウンロードされたコンポーネントの場合 : 遺伝子シンボルで表示されるORF名に続き[ RefSeq accession](または RefSeqが定められていない場合は、生物種のgene ID )。生物種名は、以下のルールに従い、小文字で遺伝子記号の前に追加します::

    • ヒト、マウス、およびラットは、それぞれ”h”, “m”, および“r”と 1文字で略称を表記します
    • その他の主要生物種は2文字で略称を表記します。例えば、catは”ct”、chimpanzeeは”ch”、またdogは”dg”になります
    • その他の生物種は3文字で学名の略称を表記し、その後ろに下線を付けます。略称の最初の文字は属名の最初の文字、略称の2番目と3番目の文字は、種名の最初の2文字を表記します。例えば、Drosophila melanogaster は “dme_”になります
    NCBI RefSeqコレクションORFの例: hRHO[NM_000539.3]
    VectorBuilderコレクション ORFの例: mRho[ORF032112]
    Drosophila melanogaster NCBI RefSeqコレクションORFの例: dme_w[NM_057439.2]
    NCBI のE.coliコレクションの例: eco_nhaA[944758]
  • ユーザー独自シークエンスの場合: シークエンス提供時に名称をお知らせください。ユーザー提供の名称は中括弧内に表記されます。ユーザー提供のシークエンスがベクタービルダーのコンポーネント配列と100%同一であった場合、ユーザーよりお知らせいただいた名称は自動的に公式名称に変更されます。
    ユーザー独自シークエンスの例: {MyGene}

  • ユーザーによるシークエンス変更がなされたVectorBuilderデータベースORF:  ORFが変異導入目的でユーザーにより編集されたものであることを示すため、アスタリスクマーク(*)がORF名の次に追加されます。ユーザーはこの名称を引き続き使用することもできますが、異なる名称に変更することもできます。名称変更を選択した場合、ユーザーによって変更されたことを示すために中括弧が追加されます。なお“タグをつける”の操作でエピトープタグをつけた場合は、変異とみなされません。
    VectorBuilderデータベースORFに変異導入を行った場合の例: hRHO[NM_000539.3]* が自動付与 {MyGene}など、ユーザーが独自名に変更することも可能

ベクター名称の決定方法

  • 全てのベクター名称は“p”の文字から始まります
  • ベクターバックボーンの略称は“p”の文字以降に続きます。一般的なバックボーンの例を以下に示します:
    RP: Regular plasmid
    LV: Lentivirus
    MMLV: MMLV retrovirus
    AV: Adenovirus
    AAV: Adeno-associated virus
    PB: PiggyBac transposon
    Tol2: Tol2 transposon
    ET, BAD or CS: 様々なバクテリアでの発現ベクター
    SC: Saccharomyces cerevisiae
    BV: Baculovirus
  • 使用用途の略称は、ベクターバックボーンの略称の後に角括弧で表示されます。一般的な使用用途の例を以下に示します:
    Exp: 遺伝子発現ベクター
    shRNA:  shRNA発現ベクター(ノックダウン)
    gRNA: gRNA発現ベクター ( CRISPRシステム)
    En: エンハンサー活性測定用ベクター

ベクター名称のルール

ベクター名称: pLV[Exp]-Exp-CMV>FLAG/hRHO[NM_000539.3]*/10xHis:IRES:3xNLS/EGFP/HA

解読方法:

LV: レンチウイルスベクターバックボーン

Exp: バイオロジカルアプリケーションが哺乳類遺伝子発現

Hygro: マーカー遺伝子がhygromycin B耐性遺伝子

CMV: 目的遺伝子発現をドライブするプロモーターがCMV

FLAG/hRHO[NM_000539.3]*/10xHis:IRES:3xNLS/EGFP/HA:

タグ付けされた遺伝子hRHO[NM_000539.3]とEGFPがIRESを挟んでポリシストロニックに配置されている

N末ORFは、5’-FLAG tag-hRHO[NM_000539.3]ORF-10xHis tag-3'

C末ORFは、5’-3xNLS-EGFP ORF-HA tag-3'

です。

hRHO[NM_000539.3]の右肩に、*がついているため、ユーザーがORFのシークエンスに変異を導入しています。

ベクターの技術的情報はどこにありますか?

VectorBuilder ではベクター構築に関わる全ての関連情報をコミュニティーに公開しようと心がけています。 VectorBuilderのポータルにリストされているベクターシステムやベクターコンポーネントについて、包括的な教育支援情報はメニューバーの ”リソース”からプルダウンされるインストラクション からご覧になれます。ここからご覧になれる情報は:

ベクターシステムの解説: このページでは、VectorBuilderで利用可能なすべてのベクターシステムについて説明します

ベクターコンポーネントの解説: このページでは、VectorBuilderが提供するすべての一般的なベクターコンポーネントについて説明します

VectorBuilderは、シークエンスアラインメント、shRNAターゲット設計、gRNAオフターゲット分析など、ベクターの設計と分析を支援する多くの無料のバイオインフォマティクスツールも提供します。これらのツールは、ホームページのメニューバーの[解析ツール]のプルダウンメニューからアクセスできます。