MSCVレトロウイルス作製サービス
Recombinant murine stem cell virus (MSCV) レトロウイルスは、胚性幹細胞 (ES cells)、 胚性ガン幹細胞 (EC cells) 、造血幹細胞 (HS cells) 、そして複数の哺乳類細胞株に対して強力な遺伝子導入を行うことが可能です。MSCVレトロウイルスシステムでは、ベクター内にデザインされたマウス幹細胞PCMV由来の5’LTRが、多能性細胞株での目的遺伝子の転写活性を担っています。そのためMMLVレトロウイルスで困難であった、胚性幹細胞や胚性ガン幹細胞に目的遺伝子を導入し遺伝子を発現させることを可能にしました。
VectorBuilderは独自に開発した技術と試薬を用い、当社で構築したMSCVプラスミドベクターに対して、ウイルスタイター、純度、生存率、均一性に優れた組み換えMSCVベクターシステムのプロトコールを開発しました。VectorBuilderのMSCVベクター構築とウイルスパッケージングサービスに満足された世界中のユーザーに何度もご注文を頂いています。ぜひベクター構築と合わせてお試しください。
ご提供しているMSCVレトロウイルスの種類
- VSV-Gシュードタイプ MSCVレトロウイルス
MSCVレトロウイルス受託作製サービスの詳細
価格と作業日数 プライスマッチ
スケール | 推奨使用系 | タイター | 容量 | 価格 (税別・送料別) | 作業日数 |
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パイロット | 培養細胞 | >107 TU/ml | 250 ul (10x25 ul) | 70,000円 | 6-12 日 |
中容量 | 1 ml (10x100 ul) | 101,000円 | |||
大容量 | >108 TU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 170,000円 | ||
超純粋大容量 | 培養細胞 & in vivo | >108 TU/ml | 1 ml (10x100 ul) | 263,500円 |
TU = トランスダクションユニット(Transduction units、または感染ユニット)
価格は予告なく変更される場合があります。
納品形態
培養細胞用スケール | 超純粋スケール |
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カスタムMSCVレトロウイルス | カスタムMSCVレトロウイルス |
無料: 標準コントロールウイルス
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追加購入(オプション): 超純粋標準コントロールウイルス
|
無料: Polybrene (5 mg/ml, 200 ul) | 無料: Polybrene (5 mg/ml, 200 ul) |
メール添付:カルタヘナ法26条1項情報公開書類、品質検査証明書(COA) | メール添付:カルタヘナ法26条1項情報公開書類、品質検査証明書(COA) |
既成標準コントロールウイルスについて
カスタムウイルスをご購入いただく場合、 弊社既製品のコントロールウイルスを無料(パイロット、中容量、大容量用)または割引特価(超純粋大容量用)でご提供しています。既製標準コントロールウイルスは、感染効率の最適化などの目的に使用していただけるコントロールウイルスです。例えば、カスタムウイルスが目的遺伝子の強制発現系であれば、コントロールはEGFPを強制発現するウイルスです。厳密なカスタムコントロールが必要な場合は別途デザインとお見積りをご依頼ください。コントロールウイルスの詳細を以下に示します:
ベクターシステム | コントロールベクター名称 | Vector ID |
---|---|---|
MSCV遺伝子発現システム | pMSCV[Exp]-EGFP/Puro | VB010000-9311qyq |
保存方法
MSCVレトロウイルスはHBSSバッファーの溶液でチューブに分注し、凍結したものをドライアイス梱包で出荷・納品します。お受け取り後は、-80°C保存で長期間(6か月)は安定です。-20°C保存では短期間(1週間)の安定保存が可能です。貯蔵寿命(シェルフライフ)は約1年です。 タイターの大きな低下を避けるために、凍結融解を繰り返すことは避けてください。
技術的情報
MSCVレトロウイルス作製と品質検査
MSCVレトロウイルスの製造では、目的遺伝子(GOI)を運ぶトランスファーベクター、VSV-Gをコードする弊社独自のエンベロープベクターおよびGagとPolをコードするパッケージングベクターの3種類をウイルス産生細胞にコトランスフェクトします。短いインキュベーション後、培養細胞上清を収集し、遠心分離によって細胞破片を除去します。濾過による精製を経て、培養細胞用ウイルス粒子はPEG濃縮をおこないます。超純粋ウイルス(in vivo用)の場合、さらに精製し、ショ糖クッション遠心分離によってウイルス液を濃縮します。 MSCVの機能的タイターはqPCRベースのアプローチによって測定します。
ベクタービルダーで受託作製されるMSCVレトロウイルス製品は、タイター測定値、バクテリアや菌類の滅菌性の検査、マイコプラズマのコンタミ検査を行い、品質テストに合格した製品を出荷しています。品質テスト結果は、品質検査証明書(COA)として発行いたします。またMSCVレトロウイルスベクターに蛍光マーカーが組み込まれている場合は、生成したウイルスを細胞に感染させ、蛍光マーカーの発現を確認することで遺伝子導入検査に合格した製品を出荷いたします。さらに超純粋MSCVレトロウイルスでは、エンドトキシンアッセイをルーチンにおこない、エンドトキシン値も確認しています。COAへエンドトキシンアッセイ結果の記載するためには追加費用が発生します。ご希望の追加QCにも対応可能です。
ご注文方法
ユーザー提供のアデノウイルスプラスミドを使用するウイルスパッケージングをご依頼の場合は マテリアルサブミッションガイドライン に従ってマテリアルを準備し、弊社に発送してください。ーザーからご提供されるマテリアルはVectorBuilderでお受け取り後、品質検査(QCチェック)に合格することを必須条件としています。QCチェックは、マテリアルごとに16,000円~、の追加料金が発生する場合があります。さらにQCチェックに合格するまで、ご依頼の受託サービスが開始することができません。そのため、正しくマテリアルを準備、発送し、プロジェクトが遅延しないよう心がけてください。
リソース
Q&A
Lentivirus | MSCV | Adenovirus | AAV | |
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Tropism | Broad | Broad; commonly used to infect ES, EC and HS cells | Ineffective for some cells | Depending on viral serotype |
Can infect non-dividing cells? | Yes | No | Yes | Yes |
Stable integration or transient | Stable integration | Stable integration | Transient, episomal | Transient, episomal |
Maximum titer | High | Moderate | Very High | High |
Promoter customization | Yes | No | Yes | Yes |
Primary use | Cell culture and in vivo | Cell culture and in vivo | In vivo | In vivo |
Immune response in vivo | Low | Low | High | Very low |
VectorBuilderで受託構築したMSCVウイルスプラスミドベクターからウイルスパッケージングを引き続きご注文いただき、かつパッケージングされる5’LTRから3’LTRまでの長さが8kb 以下の場合、最小タイター以上での保証を保障しています。以下の場合、タイター保証は適用外となっています:
- パッケージング上限サイズを超えた場合(5’LTRから3’LTRの長さが8kb以上):上限サイズを超えるとウイルスは不安定となり、パッケージされたDNAフラグメントにリアレンジメントやDNA欠損などが生じることが広く知られています。ウイルス粒子へのパッケージングは可能ですが、搭載した遺伝子の機能欠損やタイターの極端な低下が生じることも知られています。
- ウイルスベクターに搭載されたORFがパッケージング過程に阻害的な影響を及ぼす場合:細胞毒性を持つ遺伝子(例、プロアポトーシス遺伝子群)、パッケージング細胞やウイルスの生合成に影響を与える遺伝子(例、凝集性を持つ膜タンパク遺伝子)、遺伝子シークエンスが塩基配列のリアレンジメントや二次構造をとるような遺伝子(例、反復配列や高GC-richシークエンス)。
- ユーザーご提供のプラスミドDNAを使ってウイルスパッケージングを行わせていただく場合:弊社のウイルスパッケージングプロトコールは、弊社で構築したベクターバックボーンに対して最適化されています。また、弊社にシークエンスを公開できないプラスミドDNAや、非定型のアデノウイルス機能シークエンス(例、ITRなど)からのパッケージングには不確定要素が多く、タイター保証のご提供には限界があります。
その他、お見積りの際に弊社よりご連絡させていただいたタイター低下リスクを、ユーザーにご同意いただき、パッケージングを受注させていただく場合もあります。できる限り高タイターでの納品を行いますが、生物学的バリアーによって困難な場合もあることをご了承ください。パッケージングの進捗に関しては弊社にメールにてお問い合わせください。
作業日数は、弊社で受注後製造が開始し、QCに合格するまでの日数です。お客様から提供されたマテリアル(テンプレートDNAやウイルスベクターなど)の待ち時間、マテリアルのQCチェックに合格するまでのチェック日数、そして完成したウイルスを弊社製造拠点から出荷してお客様に納品するまでの移動日数は含まれません。