IVT saRNA
自己増幅RNA(saRNA)は、その自己増幅能力により、従来のmRNAよりも発現量が増加し、発現期間も長くなります。このようなRNA依存性複製能力は、RNA構造にウイルス配列(レプリカーゼとレプリコンエレメントをコードする)を組み込むことによって可能となります。強固な免疫反応に必要な投与量はmRNAよりsaRNAの方がはるかに少ないため、この技術は次世代RNAワクチンに急速に取り入れられてきており、さらにタンパク質代替の有望な候補となっています。saRNAの配列最適化の基礎と製造工程は mRNA と同様であり、VectorBuilderは様々な用途に向けた高品質のsaRNAのデザインと製造をご提供することができます。
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特長
ベクタークローニングからLNPカプセル化まで最短で5週間
最適な発現のための独自の配列最適化
専門チームにより最高のsaRNA発現量、収量、品質が得られるように最適化します
サービスの詳細
- 既製品saRNA
- IVT RNA医薬品開発: IVTベクターデザインとクローニング、IVT RNA製造、品質管理
- LNPカプセル化: 標準製剤およびカスタム製剤、抗体結合LNP、品質管理
- CDMOサービス: プロセス開発、GMP製造、充填/仕上げ
技術情報
saRNAの複製メカニズム
saRNAの自己増幅能力は、最初のオープンリーディングフレームにコードされてレプリカーゼに依存しています。図1に示すように、アルファウイルス由来の配列を持つ非構造タンパク質(nonstructural protein: nsP)遺伝子がsaRNAから翻訳され、RNA複製を担うポリタンパク質複製複合体(レプリカーゼ)を形成します。このうち、nsP1はメチルトランスフェラーゼとグアニルトランスフェラーゼ活性を持つキャッピング酵素として機能し、nsP2はRNAヘリカーゼとトリホスファターゼ活性を有します。nsP3はタンパク質間相互作用を仲介し、nsP4はRNA依存性RNAポリメラーゼとして機能します。レプリカーゼ複合体は全長のネガティブセンスRNAを合成し、その後のRNA複製の鋳型となります。さらに、保存配列エレメント(conserved sequence elements: CSE)は導入遺伝子の5′-および3′-UTRとして利用され、レプリカーゼを介した導入遺伝子の増幅と転写を可能にします。
レプリカーゼ遺伝子のサイズが大きいため、saRNAは従来のmRNAよりもin vitroでの生産が難しいことが多いです。したがって、安定に高品質のsaRNA生産をするためには、確実な生産パイプラインの確立が重要となります。VectorBuilderは、各プロジェクトのニーズに合わせてカスタマイズ可能なsaRNA生産パイプラインを最適化するため、その研究開発に多大な努力を注いできました。
図 1. saRNAの複製メカニズム
実験結果例
図2. HEK293T細胞に従来のmRNAとsaRNA を導入した際のEGFP発現の比較
図3. saRNAは従来のmRNAよりin vivoで発現期間の延長が観察される。30 ugのLNPカプセル化ホタルルシフェラーゼmRNAと10 ugのLNPカプセル化ホタルルシフェラーゼsaRNAを比較した。筋肉注射後、従来のmRNAは48時間後には観察されなくなったが、saRNAの発現は8日後まで観測された。
IVT RNAのタイプ別比較
mRNA | circRNA | saRNA | |
---|---|---|---|
構造 | 直鎖状; 通常は 5’ cap, 5’ UTR, ORF for GOI, 3’ UTR,とpolyAテールを含む | 環状; 通常はIRESとGOIのORFを含む | 直鎖状; 通常は 5’ UTR, レプリカ―ぜとGOIのORF, 3’ UTR,とpolyAテールを含む |
Cap | 安定性とリボソームのリクルートには 5’ Capが必要 | Capなし; リボソームの誘導はIRESに依存 | 安定性とリボソームのリクルートには 5’ Capが必要 |
RNAの長さ (nt) | 100 ~ 10,000 | 1000 ~ 5000 | 7000 ~ 10,000 |
安定性 | 低い | 高い | 低い |
修飾ヌクレオチドを取り込ませることが可能か? | Yes | No | Yes |
発現量Expression level | 低い | 中程度 | 高い |
発現期間Expression duration | 短い | 中程度 | 長い |
免疫原性 | 低い | 中程度 | 高い |