カスタムライブラリー受託構築サービス
当社の独自技術と最適化したベクター群を利用した高品質なカスタムライブラリーの受託構築サービスを提供しています。当社の大規模な機能スクリーニングを可能にするカスタムライブラリーは豊富な使用実績をもっています。カスタム構築したライブラリーはユーザーの要望に応じて大腸菌グリセロールストック、プラスミドDNAライブラリー、組み換えウイルスライブラリーなどの納品形態にフレキシブルに対応します。当社のカスタムライブラリーに次世代シークエンス技術(NGS)を用いた検証を追加することでカスタム構築したライブラリーの正確な品質情報も提供しています。
当社で構築可能なカスタムライブラリーの種類:
- CRISPRライブラリー(CRISPR KO, CRISPRa/i, CROP-seq, Perturb-seqなど)
- shRNAライブラリー
- Barcodeライブラリー
- エンハンサー/プロモータースクリーニングライブラリー
- ペプチド発現ライブラリー
- DNAシャッフリングライブラリー
- 2-ハイブリッドライブラリー
- カプシドスクリーニングライブラリー
- その他
サービス詳細
価格と作業日数プライスマッチ
サービス | 概要 | 価格 (税別、送料別) | 作業日数 |
---|---|---|---|
ライブラリー構築方法の設計* | 無料 | 1-4日 | |
ライブラリーの構築 | オリゴ/遺伝子合成サービスを含む、様々なDNA配列の任意のベクターバックボーンへの大量の並行クローニングとサンガーシークエンスによるプラスミドプールの予備的検証。** | 232,500円から | 2-3週 |
既存のプラスミドプールの増幅**** | 既製品のプラスミドプール(AddgeneのCRISPRプラスミドプールなど)をウイルスにパッケージングすることもできます。ウイルスのパッケージングには十分なDNA量を用意するためにプラスミドプールの増幅が必要になることがあります。プラスミドプールは大腸菌に導入され、平均100x以上に増幅したあとに、長期保存に適したグリセロールストックの形状に調整されます。** | 46,500円から | 3-5日 |
ライブラリーDNA調製 | >1 ug/ul, 150 ul, 1x TE buffer, エンドトキシンフリー, 無菌 | 23,500円 | 4-6日 |
ライブラリーのウイルスへのパッケージング | ウイルスパッケージングの作製スケールの詳細についてはこちらから。*** | ||
既存のライブラリーのNGSによる検証**** | 既存のライブラリーの増幅前、増幅後もしくはその両方における検証を次世代シークエンス(NGS)によって行います。当サービスはプラスミドプールからのNGSライブラリー作成、Illuminaシークエンス(500x以上のカバレッジ)およびデータ解析を含みます。 | 46,500円から | 1-2週 |
スクリーニング後サンプルからのNGSデコンボリューション | スクリーニングから得られた細胞のゲノムDNAのNGSライブラリーの作成、Illuminaシークエンス(500x以上のカバレッジ)およびデータ解析を含みます。 | サンプル当たり65,100円から | 3-5週 |
* 無料サービスはクローニング方法の設計のみに限定されます。gRNAやshRNAなどの可変領域の配列設計については別途費用と作業日数が必要になる場合があります。
** 要望がない場合は、大腸菌グリセロールストックによる納品になります。
*** プラスミドライブラリーのウイルスパッケージング費用は単一プラスミドベクターのパッケージング費用の1.5倍になります。
**** ベクタービルダー社によって作製されていないライブラリーにつきましては、既製のライブラリーの作成過程に関わっていないので、それらの複雑性や均一性の保証はできません。
価格は予告なく変更される場合があります。
技術情報
プール型 CRISPRライブラリー表示する
CRISPRライブラリーは特定のパスウェイ、疾患、薬剤に対する細胞応答、発生過程、遺伝子制御などに関わる翻訳/非翻訳領域の大規模もしくはゲノムワイドの機能スクリーニングに強力なツールとなります。下記の表はCRISPRを利用したスクリーニングのリストとそれらの比較をしています。:
スクリーニング方法 | 機構」 | 標的配列 | 用途 |
---|---|---|---|
CRISPR KO | オリジナルのCas9もしくはCas9ニッケースがDNA切断に使われる。細胞によるDNA修復のさいに変異がランダムに標的サイトへ導入される | 主に遺伝子の機能スクリーニング | 主に遺伝子の機能スクリーニング |
CRISPRa | 不活性型のCas9 (dCas9)と転写活性化因子との融合タンパク質(VP64など)を標的サイトの遺伝子の活性化に使用する | プロモーター領域と発現制御領域 | 遺伝子の機能獲得型スクリーニング、もしくは非翻訳領域の発現制御機能スクリーニング |
CRISPRi | 遺伝子の機能獲得型スクリーニング、もしくは非翻訳領域の発現制御機能スクリーニング | プロモーター領域と発現制御領域 | 遺伝子の機能獲得型スクリーニング、もしくは非翻訳領域の発現制御機能スクリーニング |
カスタムCRISPRライブラリー構築に加えて、ベクタービルダー社はヒトとマウス遺伝子を標的とした、高品質デュアルgRNAライブラリーを用意しています。ヒトおよびマウスのデュアルgRNAライブラリーは20,048 ヒト遺伝子と20,493 マウス遺伝子を標的として、すぐに使用可能な抗ウイルスタイターのレンチウイルスとして提供されます。それぞれの遺伝子は、可能な限り4-6種の異なるgRNAペアを持つ個別のベクターによって重複して標的となるように設計されています。これらのライブラリーは次世代シークエンスと機能スクリーニングによって十分な検証が行われています。
当社のデュアルgRNAライブラリーついての詳細な情報はこちらからプール型shRNAライブラリー表示する
shRNAライブラリーは哺乳類細胞を用いた大規模またはゲノムワイドの機能欠損型スクリーニング用途において強力かつコストパフォーマンスの高いツールです。CRISPR編集によるノックアウトスクリーニングの欠点は、CRISPRによる変異導入が確率的なものであるために、細胞間でのノックアウト効果のばらつきが大きくなります。一方、一般的にshRNAスクリーニングは細胞間での標的遺伝子に対するノックダウン効果は均一になります。
カスタムshRNAライブラリーの構築サービスに加えて、ベクタービルダー社ではヒトとマウス遺伝子を標的とした、高品質shRNAライブラリーを用意しています。当社ではそれぞれの種に対して、すぐに利用可能なレンチウイルスライブラリーを2つのスケール、ゲノム全体(~19,000 RefSeq遺伝子)とエリート遺伝子(PubMed Centralで最も頻繁に扱われる~2,000遺伝子)で提供しています。それぞれの遺伝子は、可能な限り5-6種の異なるshRNAによって標的とされるように設計されています。これらのライブラリーは次世代シークエンスと機能スクリーニングによって十分な検証が行われています。
当社が作製したshRNAライブラリーの詳細な情報についてはこちらからライブラリー構築の流れ表示する

ライブラリー構築の設計
標的遺伝子のリストもしくは特定のゲノム領域を標的としたgRNA、shRNA設計サポートが必要な場合、ベクタービルダー社が所有する最適化されたパイプラインと強力な計算リソースを使用した設計サポートを行います。研究目的に適したライブラリー用ベクターバックボーン(レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、piggyBac、標準的プラスミドベクターなど)を選択してください。2ベクターCRISPRライブラリーを構築する場合は、スクリーニング方法に適したCas9またはCas9バリアント発現ベクターの設計、作製も行います。
ライブラリー構築
ベクタービルダー社ではマイクロリアクターチップを利用して高品質かつ低エラーのgRNAとshRNAオリゴプールを作製します。次に最小限のPCRサイクル数でオリゴを増幅し、平均100倍以上の存在率になるようにベクターバックボーンに効率的にクローニングします。ライブラリープラスミドを保持する大腸菌群は培養され、対数増殖期でグリセロールストックにされます。ライブラリーに品質検査のために、プラスミドプールに対してシークエンス深度500カバレッジ以上の次世代シークエンス(NGS)が行われます。NGSデータ解析によって設計されたオリゴ配列すべてのプール内での正規化された存在量が算出されます。
既製プラスミドプールの増幅
ベクタービルダー社ではマイクロリアクターチップを利用して高品質かつ低エラーのgRNAとshRNAオリゴプールを作製します。次に最小限のPCRサイクル数でオリゴを増幅し、平均100倍以上の存在率になるようにベクターバックボーンに効率的にクローニングします。ライブラリープラスミドを保持する大腸菌群は培養され、対数増殖期でグリセロールストックにされます。ライブラリーに品質検査のために、プラスミドプールに対してシークエンス深度500カバレッジ以上の次世代シークエンス(NGS)が行われます。NGSデータ解析によって設計されたオリゴ配列すべてのプール内での正規化された存在量が算出されます。
ライブラリーのウイルスへのパッケージング
CRISPRおよびshRNAスクリーニングのためには、レンチウイルスやアデノ随伴ウイルスの感染を介したウイルストランスダクションによって細胞にライブラリーを導入する必要があります。ベクタービルダー社はタイター、純度、再現性を大幅に改善できるウイルスパッケージングプロトコル、独自の技術や試薬を開発しています。当社のパッケージングプロトコルはウイルスベクターシステムやクローニングサービスの最適化にも及びます。そのため、当社のサービスに満足され、当社のクローニングやウイルスパッケージングサービスを繰り返し利用されるお客様の数はどんどん増加しています。
ウイルスパッケージングサービスについての詳細はこちらからスクリーニング後サンプルのデコンボリューション
ベクタービルダー社はCRISPRおよびshRNAスクリーニング後のサンプルを次世代シークエンス(NGS)にかけ、得られたヒットの同定をサポートします。スクリーニング後のサンプルから得られたゲノムDNAを郵送するだけで、当社がNGSライブラリー作製、次世代シークエンス、データ解析を遂行し、数週間後にはサンプル中のgRNAもしくはshRNAの正確なコピー数を報告します。Emailにて生データと解析データをダウンロードするためのFTPリンクを連絡します。データは当社のFTPサイトに3か月のあいだ無料で保持されます。長期保持を希望される場合はご連絡ください。
関連書類表示する
ターゲット遺伝子とgRNAペアーの完全リストターゲット遺伝子とshRNAの完全リスト
- Human Elite Gene Pooled shRNA Library
- Mouse Elite Gene Pooled shRNA Library
- Human Whole Genome Pooled shRNA Library
- Mouse Whole Genome Pooled shRNA Library
注文方法
お客様提供のプラスミドライブラリー
お客様によって作製されたプラスミドライブラリーを使用する場合は、マテリアル提出ガイドラインがってライブラリーを郵送してください。遅延やマテリアルのダメージを避けるために、当社のガイドラインに忠実に従って梱包してください。お客様から提供されたすべてのマテリアルはベクタービルダー社による品質検査を必ず受ける必要があり、マテリアル当たり16,000円の経費が発生します。お客様から提供されたマテリアルが品質検査を通過しないとライブラリー構築は開始されないことに留意してください。お客様によって作製されたプラスミドライブラリーからライブラリー構築する場合、当社で最終的なライブラリーの複雑性と均一性の保証はできかねます。
FAQ
CRISPRによるノックアウトにはシングルgRNAもしくはデュアルgRNAどちらを利用したほうがよい?
CRISPRを利用したゲノム編集では、Cas9ヌクレアーゼはゲノム上のgRNAの標的配列に誘導され、DNAを切断します。単純な遺伝子破壊株を作成する場合、大抵はシングルgRNAとCas9をつかってDNA二本鎖切断(double-strand break 、DSB)と非相同性末端再結合(non-homologous end joining、NHEJ)を起こして標的配列に小さな挿入/欠損等の変異を導入します。それらの変異のいくつかはフレームシフトや停止コドンを創り出し、遺伝子機能を破壊します。
デュアルgRNAはCas9_D10Aニッケースと共につかうと標的配列の2本鎖DNAのそれぞれの鎖を標的とします。ニッケースがデュアルgRNAのそれぞれに誘導されてDNA鎖の片方一本ずつを切断し、二本鎖切断を作り出します。この手法では二つのgRNAが二本鎖切断に必要になるのでCRISPR/Cas9によるオフターゲット効果を減らすことができます。
デュアルgRNAはCas9_D10Aニッケースと外来性ドナーDNAを使うことで、目的遺伝子に任意の塩基置換(ノックインなど)を導入することも可能です。変異を導入したい箇所を挟んだ近接配列の一つずつを標的とする二つのgRNAによって切断箇所の修復に伴った外来性ドナーDNAをつかった相同組み換え修復(homology-directed repair、HDR)が起こります。
当社のデュアルgRNAベクターについてはこちらからCRISPRノックアウトのスクリーニングには1ベクターシステムと2ベクターシステムのどちらが向いているか?
たいていのノックアウトスクリーニング用途では、どちらのシステムも利用可能です。1ベクターシステムではCas9もしくはCas9バリアントとgRNAは同一のベクターから共発現されます。2ベクターシステムではCas9もしくはCas9バリアントとgRNAは別々のベクターから発現されます。もしくは2ベクターシステムでは、gRNA発現ベクターをCas9を安定的に発現する細胞に導入する方法もあります。1ベクターシステムの利点は2つのベクターの同時トランスフェクション/トランスダクションする手間を避けることができ、Cas9を安定的に発現していない細胞へも使用できます。しかし、2ベクターシステムよりもクローニングやウイルスへのパッケージング時の汎用性、効率が低くなることがあります。