医薬品用LNPエンジニアリング
脂質ナノ粒子(LNP)は、RNA分子を標的細胞へ安全かつ効率的に送達する手段を提供することで、RNA医薬品分野を急速に変貌させました。mRNAワクチンやその他の応用分野における確かな実績により、LNPは研究および臨床現場の両方において、RNAデリバリーのゴールドスタンダードとなっています。VectorBuilderは、イノベーションを推進し、開発パイプラインの各段階において高性能なLNPソリューションで研究者や開発者をサポートすることに尽力しています。
特長
製剤エンジニアリング
最大限の安定性、デリバリー効率、および発現レベルを実現するために最適化した標準およびカスタムLNP製剤。
抗体結合
組織への標的化とデリバリー精度を高めるための、抗体または抗体フラグメントの結合(部位特異的な結合オプションも利用可能)。
最高品質の製造
最大100%のカプセル化効率と、優れた均一性を示す0.1未満の多分散指数(PDI)を示す高性能LNP。
シームレスな統合
ベクターデザインからGMP製造まで、VectorBuilderのEnd-to-End のLNP-RNAプラットフォームと完全に統合。
技術情報
LNPは、通常直径10〜1000ナノメートルの微小な球状粒子です。橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)、mRNAワクチン、ドラッグデリバリーなど、さまざまな用途での利用が拡大しています。医薬品用分子(オリゴヌクレオチドなど)をコア内にカプセル化し、LNPの外殻は数種類の脂質で構成されています。それぞれの脂質は、LNPを用いた医薬品の安定性、構造、およびデリバリー効率をサポートする異なる機能を担っています(図1)。
イオン化脂質 (DLinやSM-102など)は、核酸のカプセル化を促進し、エンドソーム膜の破壊を促すことで、低い細胞毒性を維持しながら核酸を細胞質へ効率的に放出させる。
ステルス脂質 (PEG脂質など)は、表面のPEG鎖によって形成される親水性の立体障壁を介して、粒子径と安定性を維持する。また、PEG脂質の存在は、単球系のファゴサイトーシスによるクリアランスを減少させる。
ステロール脂質 (コレステロールなど)は、構造的剛性を向上させ、粒子のコアからの漏出を抑制する。
オリゴヌクレオチド (RNAやDNAプラスミドなど)は、水溶性コア内にカプセル化される。
グリセロリン脂質 (DSPC、DODMA、DOPEなど)は、粒子の正味電荷を調節し、細胞内へのデリバリーを増強する。
図1. LNPを用いたドラッグデリバリーシステムの一般的な構造。
SARS-CoV-2感染症に対するmRNAワクチンなどの成功やその他の有望な応用が期待される一方で、LNPを用いたドラッグデリバリーは、LNP固有の免疫原性、特定の組織を標的とすることの限界、発現を目的の組織のみに限定することの難しさといった課題に依然として直面しています。これらの課題に対処するため、VectorBuilderは医薬品用RNAまたはDNA分子を極めて均一(多分散指数 <0.1)かつ効率的(最大100%)にカプセル化できる包括的なLNPプラットフォームを確立しました。当社は、LNPの組成や製剤の最適化、さらには生体適合性、組織特異性、デリバリー効率、および全体的な臨床効果を高めるためのLNP表面への抗体やその他の標的化リガンドの結合を専門としています。
VectorBuilderは、標準(SM102、ALC-0315、MC3など)およびカスタムLNP製剤の両方を提供しています。当社独自の新規製剤は、in vitroおよびin vivoの両方でトランスフェクション効率と発現効率を高めるように設計されています。さらに、既存の製剤の最適化や改変を行うことで、デリバリー効率の向上、RNA発現の増加、免疫原性の懸念への対処、そしてLNP医薬品の最適なパフォーマンスの達成をサポートします。
VectorBuilderでは、以下の手法を用いて抗体結合を行うことが可能です。
| チオール・マレイミド反応 |
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| F(ab')2結合 |
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| 修飾N-型糖鎖を用いた部位特異的抗体結合 |
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| 改変scFvを用いた部位特異的抗体結合 |
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抗体断片(F(ab')2やscFvなど)や部位特異的な結合は、抗体(全長)やランダムな結合と比較していくつかの利点があります。詳細は以下の表にまとめています。
| カテゴリ | 特徴 | 比較 |
|---|---|---|
| 抗体の種類 | 抗体断片 vs.抗体(全長) |
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| 結合方法 | 部位特異的結合 vs. ランダム結合 |
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最適な組織特異性とRNA医薬品の正確なデリバリーのためにカスタム抗体開発をご希望の際は、VectorBuilder独自のハイスループット抗体探索サービスをご検討ください。
ケーススタディ
製剤エンジニアリング
抗体結合
VectorBuilderのLNP製剤最適化における豊富な経験は、RNA医薬品の性能向上に貢献します。

図2. LNP製剤によるin vitroでの効率的なプラスミドトランスフェクション。(A) EGFPを過剰発現するプラスミド(pDNA-CMV>EGFP)をSM102またはALC-0315 LNPでカプセル化し、HEK293T細胞にトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後のEGFP発現を撮影した。(B) HEK293T細胞へのトランスフェクション効率は、最適化SM102を用いたLNP製剤が市販のPEIトランスフェクション試薬よりも~6.6倍高い効率を達成した。レポーターとしてホタルルシフェラーゼ発現プラスミド(pDNA-CMV>Fluc)を使用した。

図3. VectorBuilderが開発した新規LNP製剤によるin vivoでの持続的な発現。ルシフェラーゼ発現プラスミド(pDNA-CAG>Luc+)を新規LNP内にカプセル化し、体重当たり0.6 mg/kgを静脈内投与した。投与後96時間までルシフェラーゼ発現が検出された。

図4. ヒトプライマリーT細胞におけるRNAトランスフェクション効率は最適化されたLNP製剤によって向上する。(A) 活性化T細胞に、LNPカプセル化EGFP mRNAを1×10⁶細胞あたりmRNA 6 µg となるようにトランスフェクションした。(B) カプセル化前に、変性アガロースゲル電気泳動によりEGFP mRNAが正しい長さと完全性を保持していることを確認した。(C) T細胞へのトランスフェクション前に、LNPの粒子径とゼータ電位を測定した。(D) トランスフェクション後24時間に、EGFPの発現を蛍光顕微鏡の画像とフローサイトメトリー解析にて確認した。

図5. 新規LNP組成によるin vivo免疫原性の大幅な低減。本製剤では、m1Ψ導入HiExpress™ FLuc LNP-mRNAにおいて、PEG脂質をポリサルコシン(pSar)脂質に置き換えた。PEG脂質製剤と並行して両方のLNP-RNAを静脈内投与し、投与6時間後にFLuc発現をイメージングした。投与24時間後、血清中の2種類の炎症性サイトカインをELISAにより定量した。

図6. GalNAc修飾LNPによる肝臓特異的な標的化。(A) 動的光散乱法(Zetasizer)によるGalNAcおよびSM102脂質ナノ粒子の特性評価。(B) GalNAc-LNPを用いたC57BL/6 Ldlr−/−マウスにおける効率的な肝臓へのmRNA導入。HiExpress™ Firefly Luciferase IVT mRNA(m1Ψ)を、GalNAcまたは標準的なSM102を用いたLNPでカプセル化した。野生型またはLdlrノックアウトマウスに、体重1 kgあたり0.5 mgのLNP-RNAを尾静脈内投与した。投与後6時間および24時間におけるルシフェラーゼ活性をライブイメージングで可視化した。
VectorBuilderの抗体結合における専門知識により、RNA医薬品の正確な標的化と最適なデリバリーが可能となります。

図7. 抗CD31抗体結合FLuc LNP-mRNAによる肺におけるルシフェラーゼ発現の向上。マウス系統:C57BL/6J、週齢:6-8週齢、性別:雌、投与経路:尾静脈内投与。ネガティブコントロール:IgG2a結合FLuc LNP-mRNA。

図8. 抗体結合LNPを用いた組織特異的mRNAデリバリー。(A) Cre依存性tdTomato発現カセットを持つAi9マウスに、抗CD31抗体結合または非結合LNPにカプセル化したCre mRNA (0.4 mg/kg) を静脈内投与した。(B) 投与 72時間後の肺におけるtdTomato発現の蛍光顕微鏡画像。

図9. 抗体(全長)および F(ab')2 結合による肺への標的化の強化。FLuc LNP-mRNAに抗CD31抗体または 抗CD31 F(ab')2 と結合させ、マウスに静脈内投与した (n=3)。

図10. 部位特異的抗体結合による肺への標的化の強化。FLuc LNP-mRNAを抗CD31抗体(全長)または抗CD31 scFvと部位特異的に結合させ、マウスに静脈内投与した。
LNPサービスの概要
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