エンハンサーテスト標準プラスミドベクター(in vitro用途)

概要

当ベクターシステムは哺乳動物のシスエレメント(転写調節配列)の研究を可能にします。エンハンサーと推測される配列をベクターにクローニングし、哺乳類細胞株に導入した後に下流の蛍光もしくは化学発光レポーターの発現をエンハンサー活性の出力として検出可能です。

当ベクターシステムはプロモーターの特定、プロモーターの組織特異性の決定やプロモーター亜種の比較など多様な実験に有用です。

当ベクターは従来通りの方法で哺乳類細胞に導入されます。近年はレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクターやpiggyBac等の優れた遺伝子導入法が開発されていますが、従来通りの方法が技術的に容易であることと多くの細胞タイプにおいて十分な効率が得られるために多くのラボで利用されています。標準的なプラスミドベクタープラスミドベクターの遺伝子導入法の特徴として、その導入が一過性であり非常に少数の細胞(大抵は1%以下)でのみプラスミドのゲノムへの挿入が起こることが挙げられます。

 

当ベクターシステムに関する詳細な情報ついては下記の論文を参照してください

References Topic
Genes Dev. 32:202 (2018) Review on the prediction and identification of enhancers
Cell Stem Cell. 23:276 (2018) Functional dissection of enhancers in human embryonic stem cells

特徴

当ベクターシステムは標準的なプラスミドシステムを利用しています。エンハンサーと推測される配列を最小プロモーターの上流に配置してリポーターを発現させて検定をおこないます。活性を持つエンハンサーは最小プロモーターを活性化してレポーター遺伝子を発現させます。エンハンサー活性がないと最小プロモーターは非常に低い転写活性しかもたないのでレポーター遺伝子はほとんど発現しません。視覚的に検出可能な蛍光タンパク質(TurboGFPなど)や化学発光タンパク質(ルシフェラーゼなど)がレポーターとして使用され、in vitroで感度の高いエンハンサー活性の検出を可能にします。

メリット

簡便さ: ウイルス作製などが必要なウイルスベクターよりもプラスミドベクターによる遺伝子導入ははるかに簡便です。

大きなサイズDNAが許容可能: 当社のベクターは全体で~30kbのDNA配列を扱うことができます。これによってサイズの大きなエンハンサー配列の検査が可能です。

簡便で感度の高い検出:視覚的に検出可能な蛍光タンパク質(TurboGFPなど)や化学発光タンパク質(ルシフェラーゼなど)がレポーターとして使用され、in vitroで感度の高いプロモーター活性の検出を可能にします。

デメリット

使用できる細胞タイプが限定される:細胞タイプによってベクターの導入効率は大きく異なるので、利用できる細胞タイプは限定されます。一般的に非増殖細胞は増殖細胞よりも形質転換効率は低く、プライマリ細胞は不死化細胞株よりも形質転換が困難です。神経細胞や脾臓β細胞などの形質転換は非常に難しくなります。加えて、ベクターの導入はin vitro実験に限定され、in vivo用途にはほとんど利用されません。

基本コンポーネント

Enhancer: エンハンサー配列はここに配置される。

Minimal promoter: 任意の最小プロモーターここに配置される。エンハンサー配列に活性がある場合に下流の遺伝子を発現する。エンハンサー配列に活性がない場合、最小プロモーターはレポーターをほとんど発現しない。

Kozak: Kozak配列。真核生物での翻訳開始を促進すると考えられているためORFの開始コドンの前に配置される。

Reporter: 視覚的に検出可能な蛍光タンパク質(TurboGFPなど)や化学発光タンパク質(ルシフェラーゼなど)などのレポーター遺伝子。高感度のエンハンサー活性の検出を可能にする。

SV40 late pA: SV40(Simian virus 40)のlateポリアデニレーションシグナル。上流ORFの転写停止を助ける。

Ampicillin: アンピシリン耐性遺伝子。 E.coliへのアンピシリン耐性によるプラスミドの維持を可能にする。

pUC ori: pUC複製起点。E.coliでプラスミドを高コピーで維持する。