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shRNAノックダウンとCRISPR‐、TALEN-ノックアウトの長所と短所は?

目的遺伝子の働きを不活性化し、その影響を調べる目的ではshRNAノックダウンもCRISPRやTALENを使ったノックダウンのどちらも役に立ちます。あなたの目的にとってどちらがより適しているかを判断するためのポイントを以下に記載します。

メカニズム
  • ノックダウンベクター

    ノックダウンベクターはshRNAという短いヘアピン状のRNAによって細胞の標的mRNAを分解、翻訳阻害することで目的遺伝子の機能を抑えます。そのため、shRNAノックダウンベクターは標的遺伝子配列を変えることはありません。

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  • ノックアウトベクター

    CRISPRとTALENはどちらもヌクレアーゼにゲノム上の標的配列を切断するように働きかけます。分解された配列が不完全な形で修復され結果、配列の挿入もしくは欠損が起こり、恒久的な変異となります。それらの変異のいくつかは翻訳コドンのずれ(フレームシフト)やストップコドンを作り出し、標的遺伝子の機能不全を引き起こします。ゲノム上で数kb以内にふたつの標的配列が同時に切断された場合は、その間の配列に欠損が起こることもあります。

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効率

shRNAノックダウンは最も効果的なshRNAをつかったとしても、標的遺伝子の発現を100%抑制することはできません。一方でCRISPRやTALENの場合、一部の細胞で遺伝子の機能を完全に欠損させる変異を持つ細胞を作成できます。

再現性と均一性

一般的にshRNAベクターは、処置を施した細胞プール内のほとんどの細胞から均一な結果が得られ、複数の実験の間で高い再現性が得られます。一方でCRISPRやTALENは変異が偶発的に引き起こされるので、得られる結果が細胞によって違います。細胞の標的遺伝子を完全に欠損させるためには細胞内のすべての遺伝子コピーを破壊しなくてはなりません。X-またはY-染色体上の遺伝子を除いて大抵の細胞は遺伝子が2コピーあり、そしてがん細胞は2コピー以上の遺伝子を持つので遺伝子を完全に欠損させた細胞が得られる可能性はとても低くなります。このような理由から、CRISPRやTALENのようなヌクレアーゼを利用した遺伝子ノックアウトはすべての標的遺伝子コピーが破壊された細胞をDNAシークエンスによって特定する必要があります。

オフターゲット効果(標的外の遺伝子への効果)

オフターゲット効果はshRNAノックダウンでもCRISPRやTALENノックアウトでも報告されています。観察された表現型がオフターゲット効果であるかどうかは同じ標的遺伝子に対して異なる複数のshRNAを使うことで確認できます。もし、異なる複数のshRNAノックダウンから得られた表現型が同じならば、その表現型はオフターゲット効果ではない証拠となります。CRISPRやTALENノックアウトを使う場合は、オフターゲット効果による表現型でないことを確認するために標的遺伝子に対して異なる機能欠損変異を持つ複数のクローンを作成して解析する必要があります。加えて、得られた変異体クローンのゲノムから、バイオインフォマティクスによって推測されるオフターゲットとなりうる配列をシークエンスして、それらに変異がないことを確認する方法もあります。

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