CMV promoter: Human cytomegalovirus immediate early promoter. パッケージング細胞でウィルスRNAの転写を促進し、転写されたRNAはウィルス粒子にパッケージングされます。
MMLV 5' LTR-ΔU3: 欠損型 MMLVレトロウィルス 5' long terminal repeat. 野生型MMLVレトロウィルスでは 5' LTR と3' LTR は全く同じ配列です。 ウィルスゲノムの両末端に位置し、配列の向きが内側に同じになるようになっています。ウィルスがゲノムに挿入される際に3' LTR 配列は5' LTRにコピーされます。 LTRsは両方ともプロモーターとポリアデニル化の機能を持っており、5’LTRは転写を促進するプロモーターの役割をし、3’LTRは転写を終結させるためにポリアデニル化を誘導します。本ベクターではMMLV 5' LTR-ΔU3 はLTRのプロモーター活性に必要な領域を欠失させてあります。Δ5' LTRの上流にCMVプロモーターが組み込まれているため、この欠失によりウィルスRNAのパッケージングに影響が出ることはありません。
Ψ plus pack2: ウイルスRNAをウイルスにパッケージングするために必要なMMLVレトロウイルスパッケージングシグナルです。
Promoter: ここに目的遺伝子を発現させるプロモーターを配置します。
Kozak: Kozakコンセンサス配列。真核細胞において翻訳開始を促進させるため、目的遺伝子ORFの開始コドン直前に配置します。
ORF: 目的遺伝子のOpen reading frameをここに配置します。ORFは、5’ITRのユビキタスなプロモーター機能によって発現されます。
WPRE: Woodchuck hepatitis virus posttranscriptional regulatory element. パッケージング細胞内でのウィルスRNAの安定性を高め、ウィルス粒子にパッケージングされるタイターを向上させます。
MMLV 3' LTR-ΔU3: U3欠損型MMLVレトロウィルスの3’long terminal repeat (LTR) です。この変異型3’LTRは、ウィルスベクターが宿主ゲノムにインテグレーションされる際に5’LTRが3’LTRからコピーされるため、5’LTRのプロモーターは活性を失います。 MMLV 3' LTR-ΔU3 のポリA付加シグナルは、上流ORFの転写を終結させます。
SV40 late pA: シアミンウイルス40 (Simian virus 40) 後期ポリA付加シグナル。3’LTRの下流でORFの転写終結するために重要で、ウィルスタイターを向上させます。
pUC ori: pUCの複製起点であるpUC oriをコードするプラスミドは、大腸菌において高コピー数で保持されます。
Ampicillin: アンピシリン耐性遺伝子。アンピシリンによってプラスミド導入大腸菌を選択します。