{[speechBalloon]}
期間限定・通年キャンペーン10-15%OFF

PiggyBac/AAVハイブリッド遺伝子発現ベクター

概要

当社のPiggyBac/AAVハイブリッドシステムは、目的遺伝子をホストゲノムに恒久的に組み込むために非常に効果的です。AAVによって遺伝子導入されるため、多くの哺乳類細胞種に対して有効であり、免疫原性が極めて低いためin vivoで病原性を持つことがほとんどありません。さまざまな細胞や動物において、安定した長期的な遺伝子発現を実現する理想的なシステムです。

PiggyBac/AAVハイブリッドベクターは、大腸菌内でプラスミドとして作製されます。次に、ヘルパープラスミドとともにパッケージング細胞にトランスフェクションされ、2つの逆向き末端反復配列(ITR)に挟まれた領域がAAVウイルスにパッケージングされます。PiggyBacトランスポゾンコンポーネントを含むITR間の遺伝子は、他のウイルスゲノムとともに標的細胞に導入されます。一本鎖線状DNAゲノムは、ホスト細胞のDNAポリメラーゼ機構によって二本鎖DNAに変換され、ホスト細胞核内でエピソーマルコンカテマーを形成します。

次に、ホストゲノムに組み込むために、2つのPiggyBac ITRに挟まれたトランスポゾンをエピソーマルコンカテマーから転移させる必要があります。ゲノムへの組み込みのためには、標的細胞においてヘルパートランスポザーゼ(PBaseなど)を一過性に共発現します。トランスポザーゼはトランスポゾン上の2つのITRを認識し、ITRを含む挟まれた領域をホストゲノムに挿入します。挿入は通常、TTAA配列を含むホスト染色体部位で起こり、組み込まれた断片の両端でTTAA配列が重複します。PBaseの発現が消失すると、トランスポゾンのホストゲノムへの組み込みは恒久的なものとなります。

PiggyBacはクラスIIトランスポゾンであり、カット・アンド・ペースト方式で移動し、コピーを残さずに場所から場所へと転移します(クラスIトランスポゾンはコピー・アンド・ペースト方式で移動します)。トランスポザーゼを細胞に再導入すると、一部の細胞のゲノムからトランスポゾンをフットプリントフリー(痕跡を残さない)で切り出すことも可能です。

当社のPiggyBac/AAVハイブリッドベクターの組織指向性(感染の組織特異性)は、ウイルス表面のカプシドタンパク質の抗原性の違いに基づくセロタイプによって決定されます。クローニングの際は、この分野で一般的であり特異性に影響を与えないAAV2由来のITRが使用されます。パッケージングヘルパープラスミドには、AAV2由来のrep遺伝子と、指向性を決定するために選択されたセロタイプのカプシドタンパク質を含むRep/Capプラスミドが含まれます。下の表は、さまざまなAAVセロタイプとその組織指向性の一覧です。

セロタイプ別
組織別

セロタイプ 組織指向性 
AAV1 平滑筋, 骨格筋, 中枢神経系, , , 網膜, 内耳, 膵臓, 心臓, 肝臓
AAV2 平滑筋, 中枢神経系, , 肝臓, 膵臓, 腎臓, 網膜, 内耳, 精巣
AAV3 平滑筋, 肝臓,
AAV4 中枢神経系, 網膜, , 腎臓, 心臓
AAV5 平滑筋, 中枢神経系, , , 網膜, 心臓
AAV6 平滑筋, 心臓, , 膵臓, 脂肪, 肝臓
AAV6.2 , 肝臓, 内耳
AAV7 平滑筋, 網膜, 中枢神経系, , 肝臓
AAV8 平滑筋, 中枢神経系, , 網膜, 内耳, 肝臓, 膵臓, 心臓, 腎臓, 脂肪
AAV9 平滑筋, 骨格筋, , 肝臓, 心臓, 膵臓, 中枢神経系, 網膜, 内耳, 精巣, 腎臓, 脂肪
AAVrh10 平滑筋, , 肝臓, 心臓, 膵臓, 中枢神経系, 網膜, 腎臓
AAV-DJ 肝臓, 心臓, 腎臓, 脾臓
AAV-DJ/8 肝臓, , 脾臓, 腎臓
AAV-PHP.eB 中枢神経系
AAV-PHP.S 末梢神経系
AAV2-retro 脊髄神経
AAV2-QuadYF 内皮細胞, 網膜
AAV2.7m8 網膜, 内耳

組織 推奨されるAAVセロタイプ
平滑筋 AAV1, AAV2, AAV3, AAV5, AAV6, AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh10
骨格筋 AAV1, AAV9
中枢神経系 AAV1, AAV2, AAV4, AAV5, AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh10, AAV-PHP.eB
末梢神経系 AAV-PHP.S
AAV1, AAV2, AAV5, AAV7, AAV8, AAV-DJ/8
網膜 AAV1, AAV2, AAV4, AAV5, AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh10, AAV2-QuadYF, AAV2.7m8
内耳 AAV1, AAV2, AAV6.2, AAV8, AAV9, AAV2.7m8
AAV1, AAV3, AAV4, AAV5, AAV6, AAV6.2, AAV9, AAVrh10
肝臓 AAV1, AAV2, AAV3, AAV6, AAV6.2, AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh10, AAV-DJ, AAV-DJ/8
膵臓 AAV1, AAV2, AAV6, AAV8, AAV9, AAVrh10
心臓 AAV1, AAV4, AAV5, AAV6, AAV8, AAV9, AAVrh10, AAV-DJ
腎臓 AAV2, AAV4, AAV8, AAV9, AAVrh10, AAV-DJ, AAV-DJ/8
脂肪 AAV6, AAV8, AAV9
精巣 AAV2, AAV9
脾臓 AAV-DJ, AAV-DJ/8
脊髄神経 AAV2-retro
内皮細胞 AAV2-QuadYF

ベクターシステムの詳細については、下記の文献をご参照ください。

参考文献 トピック
Mol Ther. 23:667-74 (2015) PiggyBac/AAV hybrid vector for in vivo gene delivery.
Methods in Enzy. 507:229-54 (2012) Review of AAV virology and uses.

特長

当社のPiggyBac/AAVハイブリッドシステムとヘルパーPBaseベクターは、大腸菌での高コピー数複製、ウイルスの高タイターパッケージング、in vitroおよびin vivoでの効率的な遺伝子導入、ならびに高レベルのトランスジーン発現のために最適化されています。このシステムは、PiggyBacによる安定したゲノム組み込みと、AAVの高い遺伝子導入効率および汎用性を兼ね備えています。

メリット

ベクターDNAの安定したゲノム組み込み: 従来のトランスフェクションでは、時間の経過とともにDNAが失われるため、ホスト細胞への遺伝子導入はほぼ一過性のものとなります。この問題は、急速に分裂する細胞において特に顕著です。対照的に、PiggyBac/AAVハイブリッドベクターをヘルパーベクターとともに哺乳類細胞に導入すると、トランスポゾン上の遺伝子をホストゲノムに組み込み、安定した遺伝子導入ができます。

安全性: AAVは研究利用されるウイルスの中で、最も安全なウイルスベクターシステムです。本質的に複製能を欠如しており、人への病原性は認められていません。

in vitroおよびin vivoでの有効性: AAVは主に生きた動物へ形質導入する場合に使用されますが、in vitroにも効率よく使用できます。

広範な組織指向性: 適切な血清型にパッケージングされれば、ヒト、マウス、およびラットなどの一般的に使用される哺乳動物種の様々なタイプの細胞および組織に導入することができます。しかしながら、使用する血清型によっては、ある種の細胞への導入は難しいことが知られています。(以下のデメリットを参照ください。)

高いウイルスタイター: 当社のベクターは、高タイターのウイルスにパッケージング可能です。当社のウイルスパッケージングサービスをご利用いただいた場合、タイターは10¹³ genome copy/ml (GC/ml) 以上を達成できます。

デメリット

搭載ゲノムサイズが小さい: AAVは、当社のすべてのウイルスベクターシステムの中で最も少ない搭載容量をもちます。AAVはITR間に最大4.7 kbの配列を搭載できますが、トランスポゾンコンポーネントが存在するため、目的遺伝子のための搭載容量は約3.7 kbに制限されます。

全ての種類の細胞に遺伝子導入できるわけではない: 当社のPiggyBac/AAVハイブリッドベクターシステムは、適切なセロタイプにパッケージングされれば、非分裂細胞を含め、様々なタイプの細胞への遺伝子導入が可能ですが、細胞によっては、いずれのセロタイプを使用しても遺伝子導入が難しい場合があります。

技術的な難しさ: このベクターシステムの使用には、パッケージング細胞をもちいたウイルス製造と、その後のウイルスタイターの測定が必要です。これらの手順は、従来のプラスミドトランスフェクションと比較して高い技術が必要で、時間がかかります。ベクター注文時に当社のウイルスパッケージングサービスを選択いただければ、これらの重荷を軽減できます。

基本コンポーネント

5' ITR: AAV 5' 逆向き末端反復配列。野生型ウイルスにおいて、5' ITRと3' ITRは実質的に同一の配列です。ウイルスゲノムの両端に反対向きに配置され、ウイルスゲノム複製の起点として機能します。

PiggyBac 5' ITR: PiggyBac 5' 逆向き末端反復配列。DNA配列が2つのPiggyBac ITRに挟まれている場合、PBaseによって認識され、ITRを含む挟まれた領域をホストゲノムに挿入します。

Promoter:目的遺伝子を駆動するプロモーターがここに配置されます。

Kozak: Kozakコンセンサス配列。真核生物における翻訳開始を促進すると考えられているため、目的のORFの開始コドンの直前に配置されます。

ORF: 目的遺伝子のオープンリーディングフレームがここに配置されます。

Regulatory element: ウッドチャック肝炎ウイルス翻訳後調節エレメント(WPRE)を追加できます。WPREはパッケージング細胞におけるウイルスの安定性を高め、パッケージングされたウイルスのタイターを向上させるとともに、トランスジーンの発現レベルを高めます。

BGH pA: ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル。上流のORFの転写終結を促進します。

PiggyBac 3' ITR: PiggyBac 3' 逆向き末端反復配列。PiggyBac 5' ITRの説明を参照してください。

3' ITR:  AAV 3' 逆向き末端反復配列。5' ITRの説明を参照してください。

Ampicilin: アンピシリン耐性遺伝子。アンピシリンによってプラスミド導入大腸菌を選択します。

pUC ori: pUC複製起点。この複製起点を持つプラスミドは、大腸菌内で高コピー数で保持されます。

代表的なベクター構成

VB ID Vector name Descriptions
VB010000-9896ksn pAAV/PB[Exp]-CMV>EGFP:WPRE A piggyBac/AAV hybrid vector expressing EGFP driven by a CMV promoter, and a WPRE regulatory element.
マイベクターをデザインする  デザインサポートを依頼する