どの選択マーカーを使うべき?

ベクターの設計時に適切な選択マーカーを選ぶことは実験の成功のカギとなります。形質転換した細胞を正確に同定するために選択マーカーは欠かせません。

一般的に2タイプの選択マーカー(薬剤選択マーカーと蛍光タンパク質マーカー)が形質転換した細胞の選別に利用されます。ベクタービルダー社は当社のベクターに、ピューロマイシン(Puro)、ネオマイシン(Neo)、ハイグロマイシンB(Hygro)、ブラストサイジン(Bsd)など多様な薬剤選択マーカーを組み込んでいます。これらはそれぞれの薬剤に対する耐性をベクターが導入された細胞に与えます。一方でベクターを持たない細胞は薬剤に対する感受性があるため、薬剤によって死滅します。蛍光マーカーは形質転換した細胞を蛍光顕微鏡かFACS(fluorescence activated cell sorting)による可視化によって選別できるようになります。

薬剤に対する感受性の高さは細胞タイプによって大きく異なります。ある細胞タイプは薬剤耐性マーカーを持たなくても特定の薬剤に対して十分な耐性を持っている場合がある一方、別の細胞タイプは薬剤耐性マーカーを持っていても薬剤耐性を獲得できない場合があります。それゆえ、実験で使用する細胞タイプにとって最適な薬剤耐性マーカーを事前にテストする必要があります。一般的にはピューロマイシンは他の薬剤と比べて耐性を持たない細胞を素早く、再現性良く死滅させます。当社ではたいていの細胞タイプに対してピューロマイシンの使用を推奨しています。

適切な選択用薬剤を決定したならば、標的細胞の選別の条件決定として、薬剤に対する生存曲線を調べることによって最適な薬剤濃度と処理期間を決定してくださいこれによって実験中の細胞集団のすべてが形質転換されていることを確認することができ、実験に長期間にわたる遺伝子発現が必要な場合に安定した細胞株を確立しやすくなります。

抗生物質 細胞株 推奨濃度 推奨期間
ピューロマイシン 293T 1-2 ug/ml 3-5 日
ジェネティシン(G418) HT1080 500-1000 ug/ml 7-11 日
ブラストサイジン 293T 5-15 ug/ml 7-11 日
ハイグロマイシンB 293T 100-200 ug/ml 5-7 日

薬剤選択マーカーは安定した細胞集団の確立による、長期間の遺伝子発現が必要な実験に適している一方、蛍光マーカーは蛍光顕微鏡を使用した細胞の可視化によって形質転換した細胞を比較的シンプルで素早く選別できます。適切な蛍光マーカーの選択は、実験に単色蛍光か複数蛍光を使用するか、蛍光タンパク質に求める蛍光強度、蛍光タンパク質の成熟に要する時間、標的細胞が持つ蛍光タンパク質で報告されている毒性とタンパク質の凝集性への感度、などの要因を考慮に入れる必要があります。

最適な蛍光マーカーの選択法についてはこちらから。 

薬剤選択か蛍光マーカーのどちらかをベクターに組み込むことが一般的ですが、薬剤選択マーカーと蛍光マーカー両方を含む2重選択カセットの使用は非常に信頼性が高く、効率的な方法です。しかしながらウイルスベクターを使用する場合、2重選択カセットの利用はベクターの組み込み可能DNAサイズのために制限されることがあります。ベクタービルダー社では任意の実験計画に対して最適な選択マーカーを柔軟に選べるように、様々な選択カセット及び2重選択カセットを用意しています。

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