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狂犬病ウイルス(RABV)

組換え狂犬病ウイルス (RV または RABV) は、ユニークな感染メカニズムを持つことで知られ、ニューラルネットワークの研究やワクチンの開発に利用されています。RABVは、高い神経指向性、限定的なシナプス間の伝播、標的細胞の特定能力、そしてゲノムへ取り込まれない、などの利点を有しています。

提供可能なRABVサービスタイプ
  • CVS-N2cまたはHEP-Fluryバックボーンを用いたRABVベクターへのクローニング
  • Gタンパク質(N2cGまたはB19G)またはEnvAシュードタイプRABVパッケージング

サービス詳細

ベクタービルダーは組換えRABVベクターとして、2種類のバックボーンを開発しました (図1)。一つはシナプス追跡に用いられるCVS-N2cバックボーン、もう一つはワクチン開発に用いられるHEP-Fluryバックボーンです。それぞれの違いはFAQ をご参照ください。 CVS-N2cバックボーンには、糖タンパク質Gを除くすべてのRABVゲノムの活性遺伝子が含まれ、EGFPもしくはmCherryが糖タンパク質Gの代わりにクローニングされています。高度に弱毒化されたHEP-Flury株由来のベクターは、蛍光マーカーをG遺伝子とL遺伝子の間に挿入しており、G遺伝子を含むすべての遺伝子を持っています。カスタムベクターをご希望の場合は、デザインサポートからお問い合わせください。

(A) RABV CVS-N2c backbone containing the N, P, M, and L genes from the RABV genome. (B) RABV HEP-Flury backbone containing the N, P, M, and L genes from the RABV genome.

図 1. RABV CVS-N2cバックボーンはRABVゲノムのうちN、P、M、L遺伝子を含む。(B) RABV HEP-FluryバックボーンはG、N、P、M、L遺伝子を含む。

RABVパッケージング
CVS バックボーン
HEP-Flury バックボーン
価格と作成作業日数 プライスマッチ 
スケール 推奨使用系 タイター 容量 価格 (税別、送料別) 作業日数
SAD-B19GシュードタイプRABV (EGFPまたはmCherry発現)
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) 139,500円  お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul) 217,000円 
N2cGシュードタイプRABV (EGFPまたはmCherry発現)
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) 186,000円  お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul) 372,000円 
EnvAシュードタイプRABV (EGFPまたはmCherry発現)
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) 248,000円 お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul) 480,500円 
GOI発現 SAD-B19G, N2cGまたはEnvAシュードタイプRABV
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul)
ヘルパーウイルス

シナプス追跡には、Gタンパク質の発現のためにRABVとヘルパーウイルスの両方の導入が必要です。EnvAシュードタイプRABVには、TVAの発現も必要となります。詳細はこちらからご確認ください。

価格と作成作業日数 プライスマッチ
Scale Application Titer Volume Price (USD) Turnaround
EGFPまたはmCherry 発現RABV
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) 139,500円  お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul) 217,000円
GOI発現RABV
超純粋小容量 培養細胞 & in vivo >108 FFU/ml 100 ul (10x10 ul) お問い合わせください
超純粋中容量 250 ul (25x10 ul)

出荷形態と保存方法

RABVの輸送には特別な許可が必要となりますので、デザインリクエストからお問い合わせください。当社のRABVはHBSSバッファーで保存され、ドライアイス梱包で出荷します。お受け取り後の長期保存は、-80°Cで最低6か月安定です(保存期間は約1年)。-20°Cで保存する場合は、1週間以内に使用してください。タイターが大幅に低下する恐れがあるため、凍結融解の繰り返しは避けて下さい。

超純粋AAVはPBSバッファーで保存し、ドライアイス梱包で出荷します。お受け取り後の長期保存は、-80°Cで最低1年安定です。-20°Cで保存する場合は、2-3週間以内に使用してください。4°Cで2週間まで保存できます。AAVは他のウイルス (レンチウイルスなど) に比べ安定で、数回の凍結融解ではウイルス活性はあまり低下しませんが、できる限り凍結融解の繰り返しは避けて下さい。

技術的情報

RABV製造と品質検査 (QC)

CNS-N2cのウイルスパッケージングでは、 GOIトランスファープラスミドとRABVのG、N、PおよびL遺伝子を含むパッケージングされたヘルパープラスミド、およびウイルスの転写に必要なT7RNAポリメラーゼヘルパープラスミドをコトランスフェクション(共導入)します (図2) 。パッケージングヘルパープラスミドから産生されるウイルスタンパク質は、トランスファープラスミド上のウイルスゲノムを含むウイルス粒子の組み立てに必要です。その後Gタンパク質シュードタイプRABVは、Gタンパク質を安定発現する細胞により増幅します。その培養上清を回収し、さらに特異性を高めるため、安定してEnvAを発現する細胞に新たに感染させます。その後、ウイルス粒子は超遠心分離により回収します。超純粋RABV(in vivo用) では、さらにウイルス粒子をショ糖密度勾配遠心分離により精製と濃縮を行います。RABVのタイターはプラークアッセイにより決定しています。以下はEnvAシュードタイプRABVの一般的なワークフローになります。詳しい情報をご希望の方は、こちらまでご連絡ください

Typical workflow of RABV packaging.

図2. EnvA-シュードタイプRABVパッケージングのワークフロー

VectorBuilderが製造した組み換えRABVの品質管理検査(QC)には、タイター測定、細菌および真菌の無菌試験、マイコプラズマ検出が含まれます。 RABVベクターに蛍光タンパク質や薬剤選択マーカーが含まれている場合は、それぞれ蛍光検出や薬剤選択を伴う形質導入試験を行います。さらに、超純粋RABVでは、エンドトキシンアッセイによりエンドトキシンレベルを確認しています。エンドトキシンアッセイの結果をCOAに含める場合は追加費用が必要となります。ご要望に応じて他のQCの追加できますので、デザインリクエストよりお問い合わせください。

実験による検証
狂犬病ウイルス (RABV) について

RABVはラブドウイルス科(Rhabdoviridae)に属する一本鎖マイナス鎖RNAウイルスです。ゲノムサイズは約12 kb で、3-5kb のインサートを組み込むことができます。RABVは糖タンパク質Gを用いて、ニューロン軸索末端にみられる様々な受容体を認識します。軸索末端に感染すると、ウイルスは逆行性輸送により細胞体へと運ばれ、複製を開始します。ウイルスの複製と転写は細胞質内で行われるため、ゲノムへの挿入やウイルス生活環の宿主システムへの依存といったリスクが最小限に抑えられます。

複製後のウイルスは神経細胞の樹状突起に運ばれ、出芽によって細胞外へ移動します。神経指向性が高いRABVは、化学シナプスを介してのみ他の細胞の新しい軸索末端に感染し、末梢神経系と中枢神経系を通じてシナプス前ニューロンに輸送され続けます。

RABVベクターの主な用途
ニューラルネットワークの解析

組換えRABVは、主に神経ネットワークのシナプス追跡に使用されます(図5)。逆行性輸送とシナプス間に限定された伝播により、RABVによる神経結合の特異的な可視化と調節が可能になります。Gタンパク質を持たないRABVは一次ニューロンに感染した後、他細胞に感染が広がることはありません。しかし、(AAV形質転換などにより) Gタンパク質を発現している細胞にRABVが感染すると、感染能を獲得したRABVは二次ニューロンに感染できるので、単シナプス追跡が可能になります。

EnvA/TVAを利用することによって、ウイルスのターゲティングも可能になります。TVA特異的に結合するEnvAタンパク質でシュードタイプ化されたRABVは、TVAとGタンパク質発現ベクターが導入された一次ニューロンにのみ感染できます。その為、感染したニューロンの特定とそのニューロンを基点とした単シナプス追跡が可能になります。

Production, transduction, and infection of recombinant RABV.

図5. GシュードタイプおよびEnvAシュードタイプRABVのデザイン、導入と感染

ワクチン開発

狂犬病は症状が現れると致死率がほぼ100%であることから、狂犬病ワクチンの開発は非常に注目されています。不活化RABVワクチンが最も一般的に使用されていますが、複製可能な組換えRABVをベースとしたワクチン開発が現在進められています。HEP-Flury株は、高度に弱毒化され、病原性が弱く、かつ免疫原性が高いという点から、ワクチン開発に特に適しています。

ご注文方法

ユーザー提供のプラスミドDNAベクターからのウイルスパッケージング

ユーザー提供のRABVプラスミドをパッケージングに使用する場合は、マテリアルサブミッションガイドラインに従ってマテリアルを準備し、弊社へ発送してください。ユーザーからご提供されるマテリアルはVectorBuilderで受け取り後、品質検査(QCチェック)に合格することを必須条件としています。QCチェックは、マテリアルごとに16,000円からの追加料金が発生する場合があります。さらにQCチェックに合格するまで、ご依頼の受託サービスを開始することができません。そのため、正しくマテリアルを準備、発送し、プロジェクトが遅延しないよう心がけてください。

リソース

関連技術情報
フライヤー Certificate of Analysis (COA)
Material Safety Data Sheet (MSDS)
FAQ
レンチウイルス アデノウイルス AAV VSV RABV
指向性 広範 特定の細胞タイプには感染しにくい セロタイプ依存 広範 神経細胞
搭載可能なインサートの長さ 6.4 kb 7.5 kb 4.2 kb 4.5 kb 5-8 kb
非分裂細胞への感染能 Yes Yes Yes Yes Yes
安定発現 / 一過性発現 安定発現 一過性発現、エピソーマル 一過性発現、エピソーマル 一過性発現、エピソーマル 一過性発現、エピソーマル
タイター 高い 非常に高い 高い 高い 高い
プロモーターのカスタマイズ Yes Yes Yes No No
主な使用用途 培養細胞、
in vivo
In vivo In vivo 培養細胞、
in vivo
培養細胞、
in vivo
免疫原性 in vivo 低い 高い 非常に低い 高い 低い

VectorBuilderが作製した組換えRABVベクターは弱毒化されており、BSL-2施設において取り扱いが可能です。CVS-N2c RABVウイルスは、エンベロープの糖タンパク質G遺伝子を欠くため複製不能であり、Gタンパク質がトランス供給された細胞内でのみ複製が可能です。HEP-Flury RABVウイルスはG遺伝子も保持していますが、病原性と毒性が低く、高度に弱毒化されています。

RABVは、日本国内への輸入許可申請と、使用する研究室の実地検査を経た農林水産省からの許可が必要です。この過程には通常3か月ほどかかります。また個別管理輸入となり1回の送料手数料が30~35万円かかることをご了承ください。ウイルスの所持等については農林水産省への届出伝染病等病原体所持の手続きが必要です。組換えRABVを用いる研究は、所属機関の組換えDNA実験安全委員会の指示に従い、研究目的に相当するバイオセイフティーレベルを満たし、各担当省庁のカルタヘナ法指針に基づく拡散防止措置を取り、安全に十分注意して実施してください。

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