抗体スクリーニング(ハイブリドーマ)
VectorBuilder では、ハイブリドーマ技術を用いた抗体スクリーニングの包括的なソリューションを提供しています。様々な抗原フォーマットによってヒト化マウスを免疫し、完全にヒト化された抗体を産生するハイブリドーマ細胞の開発が可能です。in vitroスクリーニング工程を経て、最終的な抗体候補は治療薬としての適性を考慮し、徹底的に特性評価を行います。
特長

抗原フォーマットや免疫方法の種類が豊富で、完全にカスタマイズ可能

効率的なin vivoヒト抗体開発のためのヒト化マウスプラットフォーム(知的財産権の心配不要)

動物の免疫から包括的な特性評価まで、End-to-Endのサービスを提供

専門家による各段階でのサポート、プロジェクト全体を通して丁寧に対応します
サービスの詳細と技術的情報
ハイブリドーマ技術は抗体スクリーニングの古典的手法です。ハイブリドーマ技術は何十年にもわたり、何百もの抗体を産生するために使用されており、現在ではがんを含む様々な疾患の治療の基礎となっています。ハイブリドーマ・スクリーニングは、モノクローナル抗体を産生できる細胞株を作製し、開発を進めるために最も適した候補を選択するプロセスです。ハイブリドーマを用いた抗体スクリーニングの典型的なワークフローを以下に示します:






抗原精製
免疫
ハイブリドーマ作製
ハイブリドーマの
スクリーニングと
抗体探索
スクリーニングと
抗体探索
抗体の特性評価
抗体の最適化と
エンジニアリング
エンジニアリング
- 抗原フォーマット: 可溶性タンパク質、短鎖ペプチド、DNA、mRNA、 細胞、AAV、またはウイルス様粒子 (VLPs)
- 免疫動物: ヒト化マウスHot、野生型マウス、ハムスター、ラット
免疫の確立とその後の候補同定を成功させるためには、適切な免疫動物と抗原フォーマットを選択することが重要です。VectorBuilderでは、免疫用に複数の抗原フォーマットを提供しており、調製した抗原はすべて厳格なQCを実施しています。また、抗原はお客様が調製したものをご提供いただくことも可能です。入手が容易で投与量をコントロールできるため、一般的に可溶性タンパク質が免疫抗原として好まれます。しかし、標的抗原が膜結合タンパク質の場合や免疫原性が低い場合には適さないことがあります。このような場合には、細胞、DNA、mRNA、VLP、ウイルスベースの免疫など、他の抗原フォーマットによる免疫方法を検討する必要があります。
免疫動物を決める際、野生型マウスが最も一般的な選択です。また、ハムスターやラットなど他のげっ歯類も提供しており、種を超えた抗体や代替抗体(surrogate antibody)の探索が可能です。さらに、高度なヒト化マウスモデルであるHuAbを当社のハイブリドーマワークフローに完全に組み込んでいます。このマウスでは、抗体の重鎖と軽鎖の可変領域をコードする遺伝子がヒトのものと置き換えられており、抗体治療薬候補を一回のin vivoスクリーニングで見出すことを可能にしています。これにより、通常はさらに抗体をヒト化する工程を省略することができ、抗体開発を約1年早めることができます。
- 0.1%~1%の融合率を可能にする最先端の電気融合技術
- 初期段階でのハイブリドーマ分離により、サブクローニングに要する数ヶ月の時間を節約

ハイブリドーマ技術は、細胞の目的抗体の分泌能と不死化(増殖能)を組み合わせた手法です。免疫動物から抽出したB細胞を骨髄腫細胞と電気融合させ、ハイブリドーマ細胞を早期にモノクローン化し、それぞれ増殖させます。
- ELISA、ウェスタンブロット、FACSによる大規模スクリーニング
- ハイブリドーマ・プール(モノクローン化前)の保存も可能
スクリーニングは抗体探索において極めて重要です。ハイブリドーマを増殖拡大した後、分泌された抗体を含む上清をスクリーニングし、理想的な候補を探します。VectorBuilderは様々なスクリーニング方法を提供し、1回のスクリーニングで最大10,000クローンをスクリーニングすることが可能です。機能的な上清と陽性クローンはこの過程で保存されます。ご要望に応じて、ハイブリドーマ・プールを保存しておき、追加スクリーニングを容易にすることも可能です。
スクリーニングで同定された有望な抗体候補については発現と精製を行い、包括的な特性評価を行います。当社の特性評価サービスには以下のものがあります:
- 抗体認識の特異性
- BLI (bio-layer interferometry)を用いた親和性(アフィニティー)測定と順位付け
- 抗体配列の決定
- エピトープビニング
- 交差反応性評価
- in vitro機能解析
当社の抗体探索用ヒト化マウスプラットフォームでは、ヒト化やアフィニティーマチュレーションなどの最適化は不要です。ただし、野生型マウスを用いた従来のハイブリドーマ開発では、以下の抗体最適化サービスを提供しています:
- 抗体のヒト化
- アフィニティーマチュレーション
- 初期段階の開発性評価
さらに、急速に進化する抗体医薬市場の需要に応えるため、各種抗体エンジニアリングサービスも提供しています:
- Fc領域エンジニアリング
- 二重特異性エンジニアリング
- バイオコンジュゲーション(抗体結合LNPなど)
- CAR (Chimeric Antigen Receptor) エンジニアリング
- 安定発現細胞株作製
実験による検証
HuAbへの免疫

図 1. HuAbヒト化マウスはin vivoヒト抗体探索の画期的なプラットフォームとなる。(A)B細胞のRNAシークエンシング結果より、抗体レパートリーはHuAbマウスとヒトで高い類似性が示された。(B)ゲノムシークエンシングにより、HuAbはヒトの全抗体レパートリーの数と多様性をほぼ網羅していることが明らかになった。(C)野生型(WT)C57BL/6マウスと比較したHuAbマウスの免疫に対する優れた反応。3rdは3回免疫、4thは4回免疫。NS:negative serum