AAV遺伝子デリバリーソリューション
創薬から治療まで、VectorBuilderは最適なAAVベクターの設計と製造をサポートするため、セロタイプテスト、カプシド指向性進化、生体内分布プロファイリングを含む包括的なAAVソリューションを提供しています。最適化されたパッケージングプロトコールとカスタマイズ可能な品質管理(QC)により、お客様の実験ニーズに合わせた高タイター(力価)、高品質なAAVをお届けします。
特長
End-to-End ソリューション
基礎研究用からGMP製造まで、当社の専門家によるサポートが障壁となっている問題を解決に導き、研究目標に合わせた高性能なAAVベクターの設計を支援します。
高いカスタマイズ性
様々なスケールやセロタイプ、包括的な特性評価、堅実な品質管理(QC)を提供し、多様な実験ニーズをサポートします。
AAV生産の専門性
独自のAAVパッケージングプロトコールを使用することで、低収率のセロタイプでも高力価が得られます。
革新的なテクノロジー
当社の豊富なIPポートフォリオには、新規カプシド、最適化されたベクターバックボーンとコンポーネント、およびAAVの性能を向上させる技術が含まれています。
AAV End-to-End ソリューションのワークフロー





ベクターデザイン
とクローニング
とクローニング
セロタイプの選択
ウイルスパッケージング
CROサービス
GMP製造
研究において最適なパフォーマンスを確保し、医薬品開発パイプラインにおける時間とリソースの無駄を避けるためには、適切なベクター設計が重要です。抗生物質の選択、プロモーターの選択、配列の最適化、および制御因子の組込みなどを考慮する必要があります。
直感的なベクターデザインスタジオや無料ソフトウェアのVectorBeeを使用して、最適なベクターを簡単にデザインできます。また、当社の技術チームが、ご希望の用途に合わせて最適な選択ができるようサポートいたします。治療薬開発においては、当社のCliniVec™プログラムが、初期デザインから前臨床および臨床開発に至るまでのあらゆる段階を支援します。例えば、AAVベースの治療薬では、安定した製造と治療パフォーマンスを確実にする、極めて高い安定性を誇る当社のバックボーン「MuteFree™ AAV」の使用を推奨しています。
デザイン完了後、ご注文いただいたベクターは効率的にクローニングし、配列保証100%かつ95%以上を納期通りに仕上げています。当社は複雑なベクターのクローニングに関する豊富な経験があり、難しいクローニングにもできる限り対応させていただいています。
異なるAAVセロタイプは、それぞれ特有の組織向性を示し、特定の組織や細胞型への導入を可能にします。VectorBuilderでは、お客様の実験ニーズに合致するよう、18種類以上のセロタイプとセロタイプテストパネルを提供しています。
既存のセロタイプで不十分な場合は、AAVカプシド指向性進化を用いて、標的化能と有効性を高めた新規カプシド変異体を開発することも可能です。
効力の観点から、高品質、高力価のAAV生産は基礎研究および臨床応用の両方で不可欠です。VectorBuilderでは、専門家によって独自の技術と試薬を開発し、組換えAAVの生産プロトコールを大幅に改善し、タイター、純度、活性を向上させ、一貫した品質のご提供を実現しています。多くの生産スケールの選択肢と共に、お届けするAAVが最適な性能を示すよう、広範で完全にカスタマイズ可能な品質管理(QC)サービスを提供し、短期間で納品します。
当社は、AAVベクターが最適な性能を発揮できるよう、様々なCROサービスを提供しています。ベクターが標的細胞/組織に特異的かつ効率的に形質導入できるかを評価するAAV生体内分布プロファイリング、および組織特異的発現を強化する制御因子を開発するためのエンハンサー/プロモータースクリーニングを含むライブラリースクリーニングサービスなどがあります。
VectorBuilderは、包括的なCDMOソリューションを提供しており、規制基準を満たすため、品質、安全性、製造力など全工程で優良ベクター製造規範(good vector practice;GVP)を適用し、臨床への円滑な移行を容易にしています。細胞・遺伝子治療開発パイプラインのあらゆる段階をサポートする柔軟なソリューションを提供します。最適化された当社のAAV GMP製造プロセスは、高い収量と治療効果を実現し、厳格な品質管理と分析・開発により、AAVが前臨床および臨床試験の両方の要件を満たせるようにいたします。
技術情報
AAVは、in vivoおよびin vitroでの遺伝子デリバリーで多くの用途に使用される一般的なウイルスベクターシステムです。組換えAAVは、ウイルスの効率的な感染性を利用して、遺伝物質を安全に宿主細胞に送達し、研究および臨床の両局面で遺伝子機能の研究や調節を可能にします。病原性の欠如、低い免疫原性、および自然発生的なセロタイプの多様性によって可能となる幅広い組織指向性を持つため、特にin vivoアプリケーションおよび治療薬開発に適しています。
AAVは、約4.7 kbの小さな一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを、タンパク質カプシドが囲む非エンベロープウイルスです(図1B)。AAVゲノムは、複製の非構造タンパク質(Rep78、Rep68、Rep52、Rep40)に加え、60個のサブユニットを形成し、二十面体カプシドを組み立てる構造タンパク質(VP1、VP2、VP3)をコードしています。Assembly-activating protein(AAP)とmembrane-associated accessory protein(MAAP)もゲノム内にコードされており、それぞれカプシドの組み立てとウイルス粒子の放出を促進します。ゲノムの両端にあるinverted terminal repeats(ITRs)は、ゲノムの複製と新しいウイルス粒子へのパッケージングを促進します(図1A)。

図1. 野生型AAVの構造 (A) ゲノム構造と(B) ウイルス粒子構造
AAVは高度にカスタマイズ可能であり、その二つのITR間のssDNAゲノムをユーザー指定のDNA配列(最大約4.2 kb)で置き換えることにより、特定の遺伝子を導入できるようにします(図2)。

図2. 組換えウイルスを作製するため、野生型ウイルスのゲノムは、ユーザーが選択したプロモーターによって駆動される目的のトランスジーンに置き換える
ウイルスベクターとしてAAVを利用する大きな利点は、自然発生したセロタイプの多様性による、様々な組織指向性があることです(表1)。カプシドタンパク質を入れ替えることで、異なる組織指向性(セロタイプ)を持つAAVを生成することができます(図2)。さらに、新規カプシド変異体を生成するためのカプシド進化や、最適化された遺伝子発現のための組換えウイルスゲノム内の新規制御因子を探索するためのエンハンサー/プロモータースクリーニングなど、様々な方法を通じて組織および細胞特異的なターゲティングをさらに強化することができます。これにより、神経科学研究のための脳や眼科応用向け網膜など、到達させることが困難な組織へのターゲティングが可能になります。
| 組織 | 推奨されるAAVセロタイプ |
|---|---|
| 平滑筋 | AAV1, AAV2, AAV3, AAV5, AAV6, AAV7, AAV8, AAV9, AAV-rh10 |
| 骨格筋 | AAV1, AAV9 |
| 中枢神経系 | AAV1, AAV2, AAV4, AAV5, AAV7, AAV8, AAV9, AAV-rh10, AAV-PHP.eB |
| 末梢神経系 | AAV-PHP.S |
| 脳 | AAV1, AAV2, AAV5, AAV7, AAV8, AAV9, AAV-DJ/8 |
| 網膜 | AAV1, AAV2, AAV4, AAV5, AAV7, AAV8, AAV9, AAV-rh10, AAV2-QuadYF, AAV2.7m8 |
| 内耳 | AAV1, AAV2, AAV6.2, AAV8, AAV9, AAV2.7m8 |
| 肺 | AAV1, AAV3, AAV4, AAV5, AAV6, AAV6.2, AAV9, AAV-rh10 |
| 肝臓 | AAV1, AAV2, AAV3, AAV6, AAV6.2, AAV7, AAV8, AAV9, AAV-rh10, AAV-DJ, AAV-DJ/8 |
| 膵臓 | AAV1, AAV2, AAV6, AAV8, AAV9, AAV-rh10 |
| 心臓 | AAV1, AAV4, AAV5, AAV6, AAV8, AAV9, AAV-rh10, AAV-DJ |
| 腎臓 | AAV2, AAV4, AAV8, AAV9, AAV-rh10, AAV-DJ, AAV-DJ/8 |
| 脂肪 | AAV6, AAV8, AAV9 |
| 精巣 | AAV2, AAV9 |
| 脾臓 | AAV-DJ, AAV-DJ/8 |
| 脊椎神経 | AAV2-retro |
| 内皮細胞 | AAV2-QuadYF |
表1. 多様な細胞および組織タイプへの標的化を可能にする各種AAVセロタイプ
野生型AAVは、宿主細胞表面の受容体に結合し、クラスリン介在エンドサイトーシスまたは他の形態のエンドサイトーシスにて細胞内に取り込まれます。エンドソームから出たあと、ウイルスはプロテアソームへ運ばれて分解されるか、核へ輸送されて脱殻とウイルスゲノムが複製されます。AAVはDependoparvovirus属で、アデノウイルスや単純ヘルペスウイルス(HSV)といったヘルパーウイルスに複製に必要な因子を依存します。ヘルパーウイルスが同時に感染していない場合は、AAVは宿主内で潜伏し、エピソームの環状モノマーまたはコンカテマーとして存在し続けます。
組換えAAVは、野生型AAVと似たライフサイクルを持っていますが、複製や新しいウイルス粒子の生成はできません。ウイルスタンパク質をコードする代わりに、選択されたトランスジーンを運び、発現します(図3)。一本鎖AAV(ssAAV)の場合、ウイルスゲノムはssDNAであり、宿主細胞の機能タンパク質によって二本鎖DNA(dsDNA)に変換されます。一方、自己相補性AAV(scAAV)は、ゲノム自体が折りたたまれてdsDNAを形成するように設計されており、宿主介在性の第二鎖DNA合成という律速段階が必要ありません。これにより効率は向上しますが、搭載できる遺伝子サイズが約4.2 kbから2.1 kbへと半分になります。組換えAAVゲノムは、宿主細胞の核内でエピソームとして維持され、非分裂細胞では持続しますが、分裂細胞では希釈されていきます。転写後、AAV mRNAは細胞質へと輸送され、翻訳されて組換えタンパク質を産生するか、細胞質で更なるRNAプロセシングと修飾が行われます(図3)。

図3. 組換えAAVのライフサイクル
組み換えAAVの生産には、トリプルトランスフェクション法が一般的に採用されています。この方法は、3種類のプラスミド:ユーザーが選択した目的遺伝子(GOI)をコードするトランスファープラスミド、セロタイプを決定する複製タンパク質(Rep)とカプシドタンパク質(Cap)をコードするRepCapプラスミド、複製に不可欠なアデノウイルス因子(E4、E2A、VA)をコードするヘルパープラスミドを同時にトランスフェクションします。
これらのプラスミドをHEK293T(E1A/E1Bを発現)のようなパッケージング細胞株にトランスフェクションした後、セロタイプに応じて、細胞溶解物または上清よりウイルス粒子を回収します。その後、品質テストの前に遺伝子導入の目的によっては、さらにウイルスの濃縮や精製(例:塩化セシウム勾配超遠心分離)を行います。
図4. トリプルトランスフェクション法によるAAVパッケージング
基礎研究
AAVは多くの哺乳類細胞型を形質導入することができ、遺伝子過剰発現、shRNAノックダウン、CRISPR、ライブラリースクリーニングを含む、一過性の発現を要する幅広いアプリケーションに使用されます。AAVはin vivoでほぼ病原性がなく、免疫原性と毒性も低いため、多くの動物実験に最適なウイルスベクターです。
臨床応用
For 治療薬開発において、AAVは他のウイルスベクターシステムと比較して非常に安全性が高いため、汎用されているウイルスベクターです。脊髄性筋萎縮症や血友病の治療法など、AAVを用いた遺伝子治療薬がすでにFDAによって承認されています。
エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、およびトランスフェクション試薬などの非ウイルス遺伝子導入方法の多くは、より安価で簡単ですが、in vitroでの使用、適応可能な細胞型、および小規模なアプリケーションに限定されます。トランスフェクションが困難な細胞、特にin vivoの場合、通常はウイルスベクターを選択することになります。異なるウイルスベクターには、それぞれにメリットとデメリットがあり、使用目的と合わせて考慮する必要があります(表2)。一過性発現の場合、AAVとアデノウイルスが要件に応じて使用できます。AAVは、アデノウイルスと比較して安全性が高く、免疫原性が低いため、治療薬開発には好まれますが、搭載できるサイズははるかに小さいです。長期的なトランスジーン発現の場合は、レンチウイルスやMMLVのようなレトロウイルスの方が宿主ゲノムに組み込むことで安定な発現を維持できるので適しています。レンチウイルスはex vivo治療法の開発ではよく使用されますが、ゲノム組み込みに伴う挿入変異のリスクがあるため、in vivoの臨床アプリケーションにはあまり適していません。
| レンチウイルス | MMLV | アデノウイルス | AAV | |
|---|---|---|---|---|
| 組織指向性 | 広範 | 広範 | 特定細胞種には不適 | ウイルスセロタイプに依る |
| 非増殖細胞への感染 | 感染する | 感染しない | 感染する | 感染する |
| 安定発現または一過性発現 | ゲノムへの挿入による 安定発現 |
ゲノムへの挿入による 安定発現 |
一過性発現 エピソーマル |
一過性発現 エピソーマル |
| 得られる最高タイター | 高い | 中程度 | 高い | 非常に高い |
| プロモーターのカスタマイズ | 可 | 不可 | 可 | 可 |
| 主な使用系 | 培養細胞と in vivo | 培養細胞とin vivo | In vivo | In vivo |
| In vivoでの抗原性 | 低い | 低い | 高い | 非常に低い |
表2. 各ウイルス遺伝子導入システムの特性