AAV生体内分布プロファイリング

組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)は、最近、幅広い遺伝子治療およびワクチン用途で非常に人気のある遺伝子デリバリーベクターです。 AAVベクターの治療応用の可能性と安全性プロファイルを評価する場合の重要な考慮事項の1つは、さまざまな臓器や組織におけるその分布と持続性です。

一般的に使用されるAAVセロタイプ(血清型)についてある程度の生体内分布が報告されていますが、それらはまだ十分とは言えません。既存の研究データでは臓器よりもう一段下のレベルで、異なる細胞のタイプまで確認する必要がありますが、現状では臓器全体レベルでの解像度に制限されています。また、複数の投与経路を調べることなく、静脈内注射が多用されています。さらに、ほとんどの生体内研究はげっ歯類で行われているため、げっ歯類とヒトの進化的生理学的な相違を考慮した場合、げっ歯類で得られたデータをそのままヒトに当てはめるには無理があります。さらに、新しく開発されている多くの自然由来または人工合成されたセロタイプは、生体内分布データを完全に欠いています。異なる導入遺伝子が自然免疫を含む異なる細胞応答を引き起し、同じセロタイプでパッケージングされた異なるベクター配列が異なる生体分布を示してしまう可能性もあるかもしれません。

VectorBuilderが提供するAAV生体内分布プロファイリングサービスは、これらの問題を克服し、最も適切な種で、高解像度データを取得できる利点です。特に力を入れているのは、非ヒト霊長類(NHP)で生体内分布プロファイリングを実施するサービスです。

このサービスの特徴

  • フルサービスプラットフォーム: VectorBuilderは、基礎研究など前臨床研究用AAV作製、臨床用AAVのCRO(受託企業)そしてCDMO(受託開発製造機関)として、研究ベンチから患者のベッドサイドまで必要なAAVの作成サービスをワンストップで提供できる世界で唯一の受託サービス企業です。当社のAAV受託サービスは、 ベクターデザインと最適化, ベクター構築, ウイルスパッケージング, カプシドの指向性進化とターゲットエンジニアリング, AAVの生体分布プロファイリング, そして GMPグレードウイルスベクターの製造.を提供しています。
  • 非ヒト霊長類(NHP)を含む複数の種に対応: 当社は、in vitroスクリーニングの豊富な実績に加えて、マウス、ラット、そしてカニクイザル(Macaca fascicularis;別名cynomolgus monkey)とアカゲザル (Macaca Mulatta)の2種の非ヒト霊長類をin vivoスクリーニングプラットフォームで提供しています。 In vivoスクリーニングは高度な訓練を受けた専属技術員らによってAAALAC認定施設にて実施しています。
  • 複数の分析アッセイを提供: AAVの生体内での分布を臓器、組織、細胞レベルで同定する様々なアッセイ系を受託サービスしています。例えば、蛍光レポーターのイメージング、フローソーティングによる蛍光陽性細胞の分離、ルシフェラーゼレポーター活性の定量化、qPCRによるゲノムコピー数分析、目的遺伝子のRT-qPCRなどによる発現解析などです。
  • バーコードとNGSを駆使したマルチプレックス分析: 多くの前臨床AAVパイプラインでは、複数ベクターの生体内分布を比較検討し、臨床研究に進める最も適切なベクターが選択されます。例えば、異なるセロタイプでパッケージングした同一デザインベクター、または同一セロタイプにパッケージングした異なるデザインベクターなど、目的によって様々です。VectorBuilderが提案するのは、バーコードと次世代シークエンシング(NGS)を使った、モデル動物体内でのベクターのマルチプレックス分析プラットフォームです。この方法では、各ベクターにユニークなバーコードを入れ、特定の組織におけるAAVベクターのゲノムDNAまたはmRNAの分布をバーコードを頼りにして次世代シーケンシング(NGS)で解析し特定します。このアプローチの優れた点は、コストと時間を大幅に削減できることです。さらに、組織内のさまざまなバーコードベクターを内部コントロールとして使いることができるため、データの感度と信頼性が向上します。 
  • 多用なAAVセロタイプを当社で用意しています: 当社では、一般的なAAVセロタイプ(血清型)を使ったパッケージングを受託しています。用意しているセロタイプは AAV 1, 2, 3, 4, 5, 6, 6.2, 7, 8, 9, rh10, DJ, DJ/8, PHP.eB, PHP.S, AAV2-retro, AAV2-QuadYF, AAV2.7m8, 等です)。また、ご要望によって、新規のセロタイプを早く開発する受託サービスもご提供しています。
  • 複数のルートからの投与: 尾静脈注射、顔面静脈注射(新生児マウスおよびラット用)、脳室内注射、髄腔内注射、網膜下注射、硝子体内注射、鼓室内注射、筋肉内注射など、さまざまなAAV投与方法をご選択いただけます。
  • 完全な技術サポート: 当社の経験豊富な研究者が、ベクターデザインと最適化からGMPグレードも含んだウイルスパッケージングに至るまで、細胞培養分析から動物手術まで、AAVプロジェクトのあらゆる側面をカバーする包括的な技術サポートを提供しています。

実験データ

当社でパッケージングしたコントロールAAVをマウス生体にインジェクションし、AAVの生体内分布のプロファイリング例を以下の図に示します。

図 1. AAV9ウイルスを様々なルートでマウスにインジェクションし、CAG-EGFPの発現を観察した: (A) 左耳への鼓室内注射から13日後の内耳; (B) 顔面静脈注射から10日後の海馬と脊髄前角 ; (C) 尾静注から12日後の網膜、肝臓、すい臓、平滑筋でのEGFP発現。EGFP(緑), DAPI(青)。

 

図 2. AAV9ウイルス (~1.5X1010 GC/mouse)を、出生後48時間以内の新生児マウス(オス2匹、メス1匹)に静脈内投与した。インジェクションから6週間後にqPCRによって各臓器でのAAV9の生体内分布を定量化した。 

 

図 3. AAV1ウイルスをマウスの尾静脈に注入し、インジェクションから12日後のマウス各組織のCMV-EGFP発現をコンフォーカルセクションで確認した。EGFP(緑),  DAPI(青)。

 

図 4. AAV8ウイルスをマウス網膜下注入し、インジェクションから20日後のマウス眼のコンフォーカルセクションを観察した。(A) ProA1-mCherry(赤)発現, (B) hRHO-EGFP(緑)発現。DAPI(青)。