デュアルgRNA CRISPRライブラリー

CRISPRを使った全ゲノムノックアウトを効果的に実行するために、VectorBuilderは、1遺伝子に対して2か所のターゲットgRNAをペアーとして、ベクターバックボーンに組み込んだ、デュアルgRNA レンチウイルスライブラリーを提供しています。
メカニズム
Cas9を発現する細胞にCRISPRベクターを導入すると、特定の遺伝子内の2か所がgRNAによってターゲットされ、DNA二本鎖の切断が2か所で起こります。次に切断されたDNAのend-joiningが起こり、特定遺伝子内に大きな欠失を生じたまま修復がおこります。2か所のターゲットサイトは、遺伝子機能に必要不可欠な領域を欠失するようにあらかじめデザインされているため、CRISPRベクターが導入された細胞は、遺伝子のloss-of-functionを生じるようデザインされています。デュアルgRNAライブラリーは、このloss-of-functionスクリーニングを全ゲノムレベルで実行することができます。すなわち、一か所のみをターゲットするgRNAライブラリーに比較して、けた違いに強力なノックアウトスクリーニングを可能にしています。
既製品としてデュアルgRNAライブラリーを販売しているのは、グローバルマーケット中でもVectorBuilderのみです。
ヒトとマウスの全ゲノムに対して、デュアルgRNA ライブラリーをご用意しています。ライブラリーは、ready-to-useで、高タイターのプール型レンチウイルスとして納品されます。ヒトは20,048 遺伝子、マウスは20,493 遺伝子を対象に、1遺伝子に対して、4-6 種類のgRNAターゲットベクターを含んでいます。
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プール型デュアルgRNAレンチウイルスライブラリーを使った、遺伝学的スクリーニングワークフローの一例を図1に示します。
まず、Cas9を発現する対象細胞にレンチウイルスライブラリーを感染させて目的の遺伝子導入を行います。レンチウイルスベクター上の選択マーカー(薬剤耐性や蛍光マーカーなど)で、陽性細胞を選択します。次に、陽性細胞をコントロール群と実験群の2つに分け、実験群にのみ特定の選択圧(例えば、薬剤処理や継代の繰り返しなど)を与えて、研究対象となる表現型を分離します。
スクリーニングには大きく分けて3種類の方法があります:
1) Viability 選択:選択圧に晒された後、生存した細胞でgRNAのエンリッチメント(濃縮)またはデプリ―ション(枯渇)を検出する
2) レポーターによる選択: gRNAがエンリッチされた細胞でレポーター遺伝子の発現レベルが上昇、または低下することを指標としたスクリーニング(例えば、gRNAが転写因子をターゲットし、マーカー発現を変化させる場合など)
3) behavior 選択:gRNAが細胞の浸潤、マイグレーションなどの運動性に関与している場合の選択。
スクリーニングの後、実験群とコントロール群の両細胞群をハーベストし、実験群でエンリッチまたはデプリートされたgRNAをサンガーシークエンスまたはNGSでコントロール群と比較します。候補遺伝子を絞り込み、さらに関連する機能解析実験によって候補遺伝子の特定を進めます。
図1. プール型デュアルgRNAレンチウイルスライブラリーを使ったCRISPRノックアウトスクリーニングのワークフロー。 Adapted from Acta Biochim Biophys Sin 44:103-112 (2012).
製品の特長
独特のデュアルgRNAレンチウイルスベクターデザイン: 唯一商品化されているホールゲノム デュアルgRNAレンチウイルスライブラリーであるため、それぞれのレンチウイルスベクターには、gRNAペアーを発現する発現カセットと、 EGFP/ピューロマイシンの二重マーカーカセットがデザインされています(図2参考)。  gRNAペアーは、ベクターがターゲット細胞に導入された際、 同時にベクターから発現され、特定の1遺伝子に対して2か所の独立したターゲットサイトを認識します。その結果、特定の1遺伝子内に、2か所のCRISPR 切断サイトが生じ、遺伝子内欠失をもつloss-of-functionノックアウトスクリーニングが行えます。個々のベクターの2種類のgRNAは、異なるU6プロモーター下(ヒトU6プロモーター、またはマカク属U6プロモーター)で制御され、かつ、2種類の異なるgRNAスキャフォールド(Nat Methods. 14:573 (2017))シークエンスで制御されています。RNAスキャフォールドシークエンスは異なりますが、機能的には相同です。この工夫によって2か所のgRNA間で、不必要な組み換えが発生することを抑制し、また PCR によるDNA断片の増幅やNGSシークエンシングが上流と下流のgRNAで行えます。
図2. デュアルgRNAライブラリーベクターマップ

デュアルgRNAライブラリーベクターの詳細情報とシークエンス


ホールゲノムを広汎にカバー:ヒトとマウスのデュアルgRNAレンチウイルスライブラリーは、ヒトの20,048種の遺伝子、マウスの20,493種の遺伝子をターゲット遺伝子として網羅しています。平均して、個々の遺伝子は、異なるgRNAのペアーから成る4-6種類のベクターでターゲットされています。
gRNAは次のパラメーターで選択されています:
1)オフターゲット効果を最小にするために、オフターゲットスコアーを考慮
2)遺伝子のloss-of-function表現型を表せる欠失を生じさせることのできる切断サイトを考慮
3)切断サイトの距離で変異にバイアスが生じないよう考慮。それぞれの切断サイトで局所的な変異が生じるよりも、大きな欠失が生じるようにデザインしています。
4)複数の転写産物が1遺伝子座から転写されている場合は、ノックアウトする転写産物の数を最大にするように考慮。全てのgRNAが切断するサイトは同定されているエキソン内にデザインしています。そのため、万が一、大きな欠失を生じることができなかった場合でも、切断部位局所的な小さな欠失によって、遺伝子機能をできる限り壊せるようgRNAシークエンスを選択しています。
ダウンロード:全ターゲット遺伝子とgRNA ペアーのリスト ヒト ホールゲノム デュアルgRNAライブラリー>>
ダウンロード:全ターゲット遺伝子とgRNAペアーのリスト マウス ホールゲノム デュアルgRNAライブラリー>>

ライブラリーの品質はNGSで検証されています:全てのライブラリーは、ペアーとなっている2か所のgRNAシークエンスを読み、gRNAの均一性をNGSで検証しています。>85% (ヒト)または>75% (マウス)のトータルシークエンス結果は、デザインされた gRNA ペアーに一致しています。さらに、デザインされたgRNAの >99% (ヒト)または >97% (マウス) はNGSで同定されています。そのため、これらのライブラリーはデザインされたgRNAペアーを広くカバーし、エラーが低いことを示しています。 ベクタービルダーのデュアルgRNAライブラリーは、今まで論文でレポ―トされた、どのデュアルgRNAライブラリーに比べて、より高品質なものであると言えます。

高い均一性: 下ヒストグラムに示すように、各ライブラリープールには、gRNAペアーが再現性良く均一に含まれている(図3)。
図3. プール型ライブラリーのgRNAペアーの分布を検証。gRNAのリード数はNGSライブラリーサイズ(10 Million Reads) でノーマライズされ、log2 scaleでプロットしている。

ready-to-use、高タイターのレンチウイルス:プール型CRISPRライブラリーは第3世代のレンチウイルスベクターシステムを使って確立されています。そのため、さまざまな細胞に対して高導入効率を発揮する発現システムとなっています。特に in vitro の遺伝学的スクリーニングには有効で、半永久的に効率よく、ほぼ均一にgRNAを細胞に導入します。全てのCRISPRライブラリーは、ready-to-use レンチウイルスで、機能的タイターが >108 TU/mlで納品されます。ウイルスパッケージングやタイター測定の作業なしに、すぐに目的のスクリーニングに使えることが魅力です。また、第3世代のレンチウイルスベクターシステムは、自己複製能力を欠損させているため、安全性も高められています。

導入細胞を効率よく選択/追跡できる二重マーカー: レンチウイルスベクターバックボーンには、ピューロマイシン耐性遺伝子(Puro)とEGFPを発現するカセットが組み込まれています。そのため、導入細胞はピューロマイシンで薬剤選択し、緑色蛍光で可視化できます(図4)。 
図4. ヒトホールゲノム デュアルgRNA レンチウイルスライブラリー(MOI=10)の導入後、ピューロマイシン選択 (1.5 ug/ml)4日後のEGFP を発現している293T細胞。 左: 明視野イメージ。 右: 蛍光顕微鏡イメージ。

仕様
製品名称 遺伝子数  gRNAペアー数  サイズ* カタログ番号. 価格(税抜き)

ヒト ホールゲノム Dual-gRNA レンチウイルスライブラリー

20,048 91,926

中容量

(>1.0x108 TU/ml, 1 ml)

LVM(Lib190505-1046fgb)

534,000円

1,013,900円

プラス

(>1.0x108 TU/ml, 5 ml)

LV5M(Lib190505-1046fgb)

1,119,000円

2,139,000円

マウス全ゲノムDual-gRNA レンチウイルスライブラリー 20,493 90,344

中容量

(>1.0x108 TU/ml, 1 ml)

LVM(Lib190505-1050kpm)

534,000円

1,013,900円

プラス

(>1.0x108 TU/ml, 5 ml)

LV5M(Lib190505-1050kpm)

1,119,000円

2,139,000円

* 中容量のウイルスライブラリーは、100xfold カバレッジで >5 スクリーニング、プラススケールのウイルスライブラリーは100x fold カバレッジで >25 スクリーニング が実施できます。



デコンボリューションサービス
スクリーニングした細胞のgRNAヒットを同定するには、細胞からゲノミックDNAを抽出してVectorBuilderにお送りください。VectorBuilderの技術員が、NGSライブラリーを調整し、イルミナNovaSeqでハイスループットシークエンシングを行います。データーはgRNAカウントをお届けします。
NGSの納品形態:紙媒体の納品もご依頼によっては行います。
NGSが終了すると、弊社よりメールにて、1)gRNAカウントデータ、2)リンク先アドレス をご連絡いたします。リンク先には、未処理NGSシークエンシングデータ、解析データが保存されています。ユーザーのローカルサーバーにダウンロードしていただけます。解析終了後、1ヶ月間、ユーザーデータをクラウドに無料で保存します。デコンボリューションサービスのご依頼は デザインリクエストを送るから行ってください。