IVT mRNAとLNPカプセル化

VectorBuilderは、既製品IVT mRNAとLNPカプセル化mRNAを提供しています。in vitroとin vivoで検証済みであり、LNPを用いたmRNAデリバリーシステムの効率を評価やmRNA実験のコントロールとして利用できます。カスタムIVT mRNAとLNP調製についてはVectorBuilderのmRNAデリバリーソリューションズをご覧ください。柔軟なmRNA医薬の製造に興味があるのでしたら、CDMOサービスページをご覧ください。

特長
  • 5’-URT, 3’-UTRやN1-Methylpseudouridine (m1Ψ)などの修飾ヌクレオチドをもつCap1 mRNA
  • 高レベル発現を達成するために最適化されたHiExpressTM IVT mRNA
  • mRNAの純度、機能、アイデンティティを保証する包括的で厳格な品質管理

製品情報

出荷・保管について

mRNA製品は、1 mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.4)中に保存され、-80°Cで最大12ヶ月間保存することができます。LNP-IVT mRNA製品は、Tris緩衝液(pH 7.4)中に保存され、-80°Cで最大6ヶ月間保存することができます。両製品はドライアイスで出荷され、凍結と解凍を繰り返すことは避けてください。

技術情報

mRNAおよびLNP製造フロー

mRNA plasmid cloning > Validation of cloned plasmid > RNA synthesis > Bead purification > Quality control.

図1. In vitro転写によるRNA合成フロー

VectorBuilderのmRNA製造フローは最適なコドン、GC含有率、mRNA二次構造の熱力学的安定性を考慮に入れて鋳型DNA配列をデザイン、合成してIVTベクターにクローニングするところから始まります。完成したベクターの検証後に線状化されたのちにin vitro転写反応に用いられます。in vitro転写反応の際には免疫回避効率を高めて翻訳効率を上昇させる修飾ヌクレオチドをmRNAに取り込ませることも可能です。転写反応中に付加するか、転写反応後の酵素反応によって95%以上のCapping効率を達成しています。mRNAはmRNAキャプチャービーズによって精製されますが、要望に応じてオリゴdTクロマトグラフィー精製にも対応しています。マイクロ流体ミキサーによってmRNAのLNPカプセル化を行います。LNPの品質検査としてカプセル化効率とナノ粒子プロファイルがなされます。

IVT mRNAの品質検査結果例 (QC) 

mRNA integrity and capping efficiency

図2. IVT mRNAの品質検査例.

(A) IVT mRNAのインテグリティーを変性アガロースゲル上で評価した。 シャープなバンドが予想されるサイズで確認された。(B) ビオチン化 5' RNase H 処理後、アフィニティー濃縮した IVT mRNA のキャップ効率を、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC- MS)で分析した。キャップ関連切断生成物は、 質量値により同定され、 デコンボリュートされたマススペクトルの質量ピーク下の面積を使 用し、キャップ1構造のパーセンテージを計算した。

LNP-mRNA の品質検査について

VectorBuilderが製造したLNP-mRNAの品質管理(QC)として、基準となる安全性、安定性、効率を確認するために様々な測定を行います。デフォルトQCとしては粒子サイズ、多分散度指数(PDI)、ゼータ電位とカプセル化効率(EE%)などがあります。

VectorBuilderではカプセル化技術を最適化することで均質で効率的なLNP-mRNA製造を実現しています。非常に低いPDI(<0.1)を実現し、ゼータ電位も-10mVから+10mVの範囲に収まります。

図3. 代表的なLNP-mRNA QC結果

(A) 粒子サイズは粒子の運動による光の散乱強度差を測定する動的光散乱(DLS)によって決定された。多分散インデックス(PDI)は、試料の粒子サイズの異質性を反映する。(B) ゼータ電位はLNPの安定性を反映し、-1.872 mVから+1.872 mV範囲で計測された。

関連技術情報
化学物質等安全データシート (MSDS) 品質検査証明書 (Certificate of Analysis, COA) ユーザーインストラクション カタログとフライヤー

Q&A

mRNA capと capping methodの違いは何でしょうか?

Cap 0 は 真核生物mRNAsの 5’ 末端に 5’ から 5’ 三リン酸結合によってN7-methylguanosine (m7G) が付加されます。この修飾はいくつもの酵素反応を介して転写と共に行われ、核輸送や転写物の安定性、真核生物翻訳開始因子(eukaryotic translation initiation factor:eIF4E)による認識を促進します。Cap 1はm7G capに加えて、転写されたmRNAの最初のヌクレオチドの2’Oにメチル基を付加することを示します。哺乳類細胞ではcap1構造はmRNAが自身のものであると認識する上で重要であり、自然免疫系に標的とされないために必要です。Cap 1構造を合成mRNAに付加することにより、in vivoにおけるmRNAの発現増強と免疫原性を抑制できることが示されています。in vitro転写RNAへのキャッピングは転写をキャップアナログを使用して行うか、転写後に酵素反応によって行うことが可能です。弊社のキャッピング方法はLC-MSを用いた検証で効率も検証されています。

なぜ修飾ヌクレオチドの取り込みを検討するのでしょうか?またどの修飾を使うとよいでしょうか?

細胞は細胞質とエンドソームにRNAレセプターを持っているため、外来のRNAがレセプターによって認識されると免疫反応が活性化します。修飾ヌクレオチドは内因性RNAに共通して検出される構造です。そこで、特定の修飾ヌクレオチドを合成mRNAに取り込ませることにより、免疫原性を抑制することができます。またシークエンスを工夫するkとおで、mRNAの2次構造を変化させたり、翻訳効率を上げたり、半減期を伸ばすことが可能になります。当社では、使用例の多いN1-メチルシュードウリジン(N1-Methylpseudouridine :m1Ψ)を提供しています。 N1-Methylpseudouridine (m1Ψ) はtRNAで初めて同定された自然由来のヌクレオチドで、mRNAにおける有効利用は最近になって知られるようになりました。このメチル化ウリジンをウリジンの代わりにmRNA IVTで取り込ませ、ワトソンークリックの塩基対を変更することなく翻訳ななされます。この修飾ヌクレオチドを利用する一番のメリットはmRNA治療においてRNAレセプターによる認識を防ぎ、不必要な免疫反応を抑制し、転写物の安定性と翻訳を増強できることです。

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