shRNAによるノックダウンが上手くいかない

すべてのshRNAが機能するわけではありません

通常、50‐70%のshRNAは、判別できる程度のノックダウン効果を示し、20‐30%は顕著なノックダウンをもたらします。特定の遺伝子に対して複数のshRNAを試しても、運が悪ければどのshRNAも満足できるレベルでノックダウンできないこともあります。そのような場合は別のshRNA、特に論文で確認されているshRNAを試すことをお勧めします。複数のshRNAを混ぜ合わせた“shRNAカクテル”を使うことでノックダウンの効率を改善する方法もあります。

ノックダウン効率の検証が適切に行われていない

ノックダウンの効率の検証にはRT-qPCR法が最も感度が高く、広く利用されています。信頼できる結果を得るためには、いくつかのプライマーペアを試し、特異性が高く高感度なプライマーのペアを選ぶ必要があります。ゲノムDNAを間違って増幅することを避けるために、可能性ならば2つのエクソンをまたぐRT-qPCRプライマーをデザインしてください。新しいプライマーを使うときは、PCR産物をアガロースゲル電気泳動、シークエンスによって確認することを推奨します。ゲノムDNAの混入レベルを調べるために逆転写反応をしていない比較実験を同時に行ってください。良質なプライマーをデザインするにはNCBIプライマーデザインツール(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/tools/primer-blast/) が役に立ちます。

ノックダウン効率はウェスタンブロットでも検証できます。しかしながら、特異性の低い抗体を使う場合、偽陽性反応のためにノックダウン効率の検証に間違いが生じることがあります。使用する抗体が特異的であるかどうかの確認をしてください。

shRNAが目的遺伝子のスプライシングバリアントの一部にしか作用しない

特定のスプライシングバリアントのノックダウンを目指しているのでなければ、すべてのバリアントを標的とするようshRNAをデザインしてください。ベクタービルダー社は一般的な生物種にたいして最適化されたshRNAのデータベースを作成しました。ベクタービルダー社でshRNAベクターをデザインする際には、当社のデータベースで目的遺伝子を検索することで、利用可能なshRNAすべてに関する詳細な情報(shRNAのゲノム上での場所及びすべてのスプライシングバリアントが表示されるUCSCゲノムブラウザへのリンクなど)を閲覧できます。

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