VectorBuilderは世界初のAAV Superbankの構築に40.6億円を出資します
2022年7月6日、遺伝子送達ソリューションの大手受託製造元のVectorBuilder Inc.は、研究および創薬コミュニティ向けの「AAV Superbank」の構築を発表しました。この開発には今後40.6億円(30ミリオンUSドル)が出資されます。同社はヒトの疾病治療に関連性が認められている様々な主要組織や細胞を標的とする新規アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドの包括的なコレクションを開発し、詳細な生体分布データをSuperbankにデポジットします。このSuperbankは広く研究コミュニティーに公開され、非営利組織に所属する研究者への研究使用目的には無料で、営利組織での使用にはライセンス料の負担で利用できるようにします。
組換えAAVは、様々な研究および臨床用途として、遺伝子治療のツールとしては最もホットな遺伝子送達ベクターです。AAVの指向性、すなわち体内の特定の組織への標的特異性は、ウイルスの外殻を形成するカプシドタンパク質の構造に依存しています。現在、一般的に使用されているAAVカプシドバリアントは12種類以上ありますが、各カプシドが標的する組織内の細胞種類まで詳しく同定されていないことはもちろんのこと、バリアント数もそれほど多くないため、主要なヒト組織を包括的にカバーするにはほど遠いことが現実です。さらに特定の組織に標的指向性を示しても、標的効率や特異性に劣ることもあり、治療効果を達成するために大量のウイルスが投与されることがあり、大量のウイルスの一過的投与による重大な毒性のリスクや高い製造コストが問題になってきます。
これらの問題を解決するため、VectorBuilderは革新的なライブラリ構築技術とAIディープラーニングを組み合わせた非常に効果的なAAVキャプシドスクリーニングプラットフォームを開発しました。VectorBuilderのチーフサイエンティストであるBruce Lahn博士は、「このプラットフォームにより、膨大なカプシド空間配列を迅速に、かつ合理的なコストで調査することができるようになります。当社では非ヒト霊長類(NHP)を使い、新規キャプシドのスクリーニングを実施するプラットフォームを既に持ち、このプロジェクトに活用します。当社のスーパーバンクは、NHPで得られた結果がヒトにトランスレーションされ、情報が整っていることが最大の特徴になります。既に当社のNHPを使ったAAVカプシド指向性進化プラットフォームは、当社のR&Dおよび受託研究プロジェクトでその力を発揮しています。既に特定の組織の標的化が劇的に改善された新しいカプシド類も同定しています。これら新しいカプシドには、脳血液関門(BBB)の通過効率が桁違いに高いカプシドや、網膜の錐体および桿体細胞を特異的に標的とするカプシドも含まれています。
「私たちの計画は、NHPを直接スクリーニングプラットフォームとして用い、すべての主要組織と重要な細胞タイプを、高効率、高特異性で集合的に標的とするカプシドの大規模なパネルを同定および検証することです。かつ遺伝子治療における副作用を軽減するために毒性と免疫原性の低いカプシドをスクリーニングすることも計画しています。」とLahn博士が述べています。さらに、「AAV Superbankが完成するまでに数年はかかるでしょう。しかし急成長する遺伝子医学分野に大きな貢献をもたらすことが明らかです。当社は努力する価値があるとして、計画を推進します。」と述べました。
VectorBuilder Inc.(ベクタービルダー)について
ベクタービルダーは、遺伝子送達技術の世界的リーダーです。世界中の何千ものラボやバイオテクノロジー/製薬会社に信頼されたパートナーとして、VectorBuilderは基礎研究から臨床アプリケーションまでの遺伝子送達ソリューションの設計、開発、最適化をワンストップで提供します。独自開発したオンライン上のベクターデザインスタジオは、研究者がカスタムベクターをオンラインで設計し、見積もり発注プロセスに入れるように簡便化されています。ラボでベクター構築にかかわるクローニングやウイルスパッケージングなどの単純労働から研究者を解放します。ハイスループットのベクター構築技術、膨大なベクターおよびコンポーネントのインベントリー、はたまた1対1のCROサービス、最先端のCDMOサービスなど、研究への貢献を生業としています。VectorBuilderチームは最先端の研究開発とcGMP製造能力を持ち、 生命科学研究と遺伝子医学のための最も効果的な遺伝子送達ツールの開発を目指しています。
詳細については、VectorBuilder.com をご覧ください。