再生医療を加速させる:グローバルCRO/CDMOでの次なるキャリア
横浜・日本 — 2025年3月— ベクタービルダー・ジャパン代表取締役の亦勝実穂が、パシフィコ横浜ノースで開催された第24回日本再生医療学会総会(JSRM)にて、講演を行いました。「CRO/CDMOで活躍して再生医療のグローバルでの活性化」というタイトルで、バイオテクノロジー分野におけるCROおよびCDMOサービスの進歩について、最新の動向を紹介しました。

亦勝実穂(理学博士)ベクタービルダー・ジャパン 代表取締役
世界の遺伝子導入市場が2025年の170億ドル規模から2030年には450億ドルに拡大すると予測される中で、CRO/CDMO企業は遺伝子・細胞治療の開発とGMP製造を担う重要な存在になっています。亦勝は、こうした成長分野が先進医療の普及を後押しするだけでなく、アカデミアから産業界へのキャリアパスの増加をトピックとして講演しました。
アカデミアからCRO/CDMOへのキャリアチェンジ
亦勝自身の約25年にわたる経験と周囲の同僚の決断や同行を観察し、大学や大学院卒業後に選択するキャリアパスは、アカデミアだけではないこと、そしてCRO/CDMOへのキャリア選択を積極的に検討することを強調しました。特にCROやCDMOは、様々なキャリアステージや経歴を持つ人材を惹きつけます。CRO/CDMOもインパクトの高い分野で専門知識を発揮し発展する場が提供されています。
しかし、アカデミアからCRO/CDMOへの転身は、多くの研究者にとって不安を伴う挑戦です。そこで亦勝は、このキャリアシフトをできる限りスムーズに進めるための3つのステップを提案しました:
1. 自己分析(SWOT分析)を行う
自分の強み、弱み、チャンス、リスクを明らかにすることで、キャリアの方向性を明確にすることができます。そのため、業界内で自分のこれからの成長にかなうポジションにターゲットしやすくなります。
2. カバーレターとレジュメを応募ごとにカスタマイズ
応募するポジションに合わせてカバーレターとレジュメ(履歴書)を整えることは、自分のスキルや経験を際立たせるのに役立ちます。バイオテックでは、専門技術、コミュニケーション能力、チームワーク、適応力など様々な要素を興梠し、候補者を選択しています。
3. CRO/CDMOで成功するための4つの基本スキル
亦勝はCRO/CDMO業界での8年間の実務経験をもとに、成功を収めるための4種の重要で基本的なスキルを紹介しました:
・ 効果的なコミュニケーション力
異職種のチームとの協働やクライアントとのやり取りにおいては、明確かつ専門性の高いコミュニケーション力が必要となります。言語・非言語の両面での伝え方を磨くことで、円滑な相互理解と関係強化が可能になります。
・ プロジェクトおよびチームマネジメント能力
CRO/CDMOでは、複数のプロジェクトを担当し、同時進行させます。それぞれのプロジェクトを期限内に実行しなければならないことがよくあります。そして、勤務時間も残業ができない仕組みになっています。そのため、プロジェクトの優先順位の見極め、整理、効率的にチームを率いる能力がとても重要になります。
・ 科学的専門性と適応力
特定分野における高い専門性は貴重ですが、適応力も同じくらい重要です。インダストリー主導のプロジェクトでは、ハンズオントレーニングが無くても、新しい技術を ”理解“ することで取得していきます。
・リーダーシップとチームワーク
CRO/CDMOの専門家は、多様な利害関係者が関与する複雑なプロジェクトを進める場合があります。業務を円滑に進め、問題をより良い解決に導くためには、強いリーダーシップと協調性が必要です。
亦勝は、アカデミアからインダストリーへの転身は、アカデミアの経験が長い程、ハードルが高く感じられるかもしれない。しかし実際は、とても刺激的で充実した道のりだと強調しています。自身の30年のキャリアを振り返り、現在就いているCRO/CDMOの仕事は、複数のプロジェクトを同時進行させながら、新しい知識を習得し、顧客のプロジェクトへの貢献、自社の発展、そしてその先にある患者への医療貢献ができる、という理由で、やりがいあるキャリアだと言っています。亦勝にとって、シニアポスドクがアカデミアで雇用期限を心配して5年ごとの綱渡り生活で自分の能力をすり減らすよりも、プライベート時間が確保でき、金銭的な安心感があるインダストリーに飛び込んでみたらいい、と言います。そして、一番手でハイプロファイルジャーナルに発表することが重要視されるアカデミアの基礎研究より、3番手でも5番手もでいい、患者にとって最も安全で効果の高い遺伝子細胞医薬品の開発に切磋琢磨する、今の仕事が大変魅力があると語りました。
講演後、若手のポスドクや大学院生がVectorBuilderのブースを訪れ、亦勝の話に刺激を受けて初めてCROやCDMOでのキャリアを真剣に考え始めたと語っていました。
CRO/CDMO:再生医療を加速させる酵素
近年にわたって、CROやCDMOは、遺伝子・細胞治療の開発スピードを飛躍的に高める上で重要な役割を果たしてきました。これにより、革新的な治療法が患者に届けられるまでの時間が大幅に短縮されています。VectorBuilderは、こうした変革をリードする企業の一つで、最先端の遺伝子導入技術と拡張性のある製造プラットフォームを提供しています。シカゴ大学の人類遺伝学教授であるブルース・ラーン博士によって2014年に設立された当社は、当初100名ほどだったチームから、現在では世界中で700人以上のスタッフを抱えるグローバル企業へと成長しました。今日までに、90カ国以上の、4,500を超える大学、研究機関、バイオテック企業に遺伝子導入ソリューションを提供しています。
VectorBuilderは、国際的な連携と人材育成の促進を通じて、再生医療の進歩を加速させ続けています。亦勝は、再生医療とバイオテクノロジーの未来を形成する中で、CRO/CDMOがいかに重要な役割を担うかを強調し、参加者たちにこの分野でのキャリアを探索するよう呼びかけました。正しいスキルとマインドセットがあれば、世界中の患者のケアや科学の革新を形づける画期的な進歩に貢献することができるのです。
CRO(医薬品開発業務受託機構)とは?
CRO(医薬品開発業務受託機構)は、製薬会社、バイオテクノロジー企業、医療機器メーカーなどに対して、研究開発業務をアウトソーシングの形で提供する企業です。CROは、前臨床試験、臨床試験、データ解析、薬事申請支援など、研究開発(R&D)のさまざまな段階をサポートします。専門的な知識や設備、リソースを活用することで、開発コストや時間の節約を可能にし、開発プロセスの効率化を手助けします。
CDMO(医薬品受託開発製造機構)とは?
CDMO(医薬品受託開発製造機構)は、医薬品の開発、製造業務を提供する企業です。CDMOは、有効成分(API)や最終製剤の生産、そして製造プロセス全体を通して創薬と製薬をサポートします。CDMOは、医薬品の開発から大規模な商業生産まで、End-to-endのサービスを提供し、製薬企業が製品を効率的に市場に投入できるよう支援します。
日本再生医療学会(JSRM)について
日本再生医療学会は、幹細胞研究、遺伝子・細胞治療、組織工学など、再生医療に関連するあらゆる分野を対象とした学際的な学術団体です。基礎から臨床に至るまでの多様な医療領域において研究・開発を行う、産官学の幅広い分野の専門家たちによって構成されています。革新的な治療法としての再生医療の科学技術面だけでなく、生命倫理、法規制、社会的受容など、ELSI (倫理的・法的・社会的課題) にも本学会は取り組んでおり、声明や政策提言なども定期的に発信しています。